日常統計学

【日常統計学】宝くじの正体とは?還元率45%の「愚か者の税金」と呼ばれる理由

こんにちは、シラスです。

年末ジャンボやサマージャンボの季節になると、売り場の前に長蛇の列ができます。
「10億円当たったらどうする?」なんて夢を語り合うのは楽しいものです。

しかし、統計学や経済学の世界では、宝くじにはある残酷な別名がつけられています。

「愚か者の税金(Tax on the stupid)」

なぜ、夢を買う行為が「愚か」と言われてしまうのか?
それは、ギャンブルとしての「還元率(期待値)」があまりにも低すぎるからです。

今日は、宝くじというシステムの裏側を、数字で解剖してみましょう。

1. 衝撃の還元率:半分以上はテラ銭

ギャンブルには「還元率(RTP)」という指標があります。
「集めたお金のうち、何%を賞金として参加者に返すか」という数字です。

身近なギャンブルと比較してみましょう。

種類 還元率(平均) 運営の取り分(テラ銭)
カジノ(スロット等) 約 90〜95% 約 5〜10%
パチンコ 約 80〜85% 約 15〜20%
競馬・競艇 約 75% 約 25%
宝くじ 約 46% 約 54%

ご覧の通り、宝くじの還元率は圧倒的に低い(46%)です。

これはどういうことかと言うと、
「窓口で1万円を払った瞬間、その価値は数学的に『4,600円』に暴落している」
ということです。

残りの5,400円はどこへ消えたのか?
経費や、自治体への公共事業費(事実上の税金)として徴収されています。

2. 「夢」の値段が高すぎる

「でも、当たれば一発逆転でしょ? 夢を買ってるんだよ」
そう反論する人もいるでしょう。

では、その夢が叶う確率を視覚化してみましょう。
年末ジャンボの1等(7億円)が当たる確率は、およそ「2000万分の1」です。

2000万分の1のイメージ

  • 🍚 お米: 2000万粒は約400kg(お米の袋 80俵分)。その中の「たった1粒」を探す。
  • 雷: 1年の間に雷に打たれて死ぬ確率とほぼ同じ。
  • 🗼 東京ドーム: 満員の東京ドーム(5万人)を400個用意して、その中のたった一人。

私たちは「雷に打たれるかも」と思って避雷針を持ち歩いたりはしません。
それくらい「あり得ないこと」なのに、宝くじに関しては「当たるかも」と思ってしまう。

これは、人間の脳が極端に小さな確率を正しく認識できない「確率の過大評価バイアス」によるものです。

3. 賢い人は「買わない」という選択をする

統計学や経済学を学んだ人が宝くじを買わないのは、夢がないからではありません。
「期待値マイナスのゲーム」に参加することが、資産形成において自殺行為だと知っているからです。

🎫 宝くじに毎月1万円

30年後、投資総額360万円。
手元に残る期待値は、約165万円
(約200万円をドブに捨てた計算)

📈 S&P500に毎月1万円

30年後(年利5%想定)。
手元に残る期待値は、約832万円
(複利効果で資産は倍増)

「愚か者の税金」という言葉は辛辣ですが、真実を突いています。
数学的なリテラシーを持たない人ほど、この割の悪い税金を自ら進んで納めてしまい、結果として貧困から抜け出せなくなってしまうのです。

まとめ

✅ 宝くじの還元率は約45%。買った瞬間に価値が半減する。
✅ 1等が当たる確率は、雷に打たれるのと同じレベル。
✅ 夢を買う代金としては高すぎる。そのお金は「投資」に回すべき。

もちろん、エンターテインメントとして「3000円だけ買って楽しむ」のを否定はしません。
しかし、「これで人生変えてやる!」と本気でお金をつぎ込むのはやめましょう。

人生を変える確率が一番高いのは、神頼みの宝くじではなく、地道な「知識への投資」なのですから。

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