QC検定 実践編

【QC検定1級】作業標準書の作り方|誰がやっても同じ品質を実現する

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 「作業標準書」って何を書けばいいの?
  • ベテランと新人で品質に差が出てしまう
  • 作業標準書を作っても誰も読んでくれない
  • 「標準化」の本当の意味がわからない
✅ この記事でわかること
  • 作業標準書がなぜ必要なのか(料理レシピで理解)
  • 良い作業標準書の5つの条件
  • 作業標準書の作り方(7ステップ)
  • 作っただけで終わらせない運用のコツ

あなたは「カレーライス」を作れますか?

たぶん作れますよね。でも、あなたのカレーと、隣の人のカレー、同じ味になりますか?

ならないですよね。人によって「ちょっと多め」「適量」の感覚が違うし、煮込み時間も違う。同じ「カレー」でも、作る人によって味がバラバラになります。

でも、ココイチやCoCo壱番屋のカレーは、どの店舗で食べても同じ味ですよね?

その秘密は「レシピ(作業標準書)」にあります。

💡 作業標準書とは?(ひとことで言うと)

「誰がやっても、同じ品質の製品が作れるようになる
『料理のレシピ』のようなもの」

この記事では、作業標準書の必要性・作り方・運用方法を、身近な例でわかりやすく解説します。

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標準化の全体像を先に知りたい方はこちら。

【QC検定1級】標準化の目的・意義・考え方|なぜ標準が必要なのか →

なぜ作業標準書が必要なのか?|3つの理由

「別にマニュアルなんかなくても、仕事はできるよ」

そう思う人もいるかもしれません。確かに、ベテランは標準書を見なくても作業できます。

でも、作業標準書がない職場では、こんな問題が起きます。

理由①|人によって品質がバラバラになる

標準書がないと、作業者ごとに「自己流」が生まれます。

🍳 料理で例えると...
Aさん:「塩は少なめが好き」
Bさん:「塩は多めが美味しい」
Cさん:「塩?入れたっけ?」

→ 同じ料理なのに、毎回味が違う

工場でも同じです。「ネジの締め付けトルク」「検査のタイミング」など、人によってやり方が違うと、製品の品質もバラバラになります。

理由②|ベテランがいないと仕事が回らない

「この作業はAさんしかできない」という状態は危険です。

Aさんが病気になったら? 退職したら? 仕事が止まります

🍳 料理で例えると...
おばあちゃんの「秘伝の煮物」。
レシピを書き残していなかったら、おばあちゃんがいなくなったら二度と同じ味は作れません

でもレシピがあれば、孫の世代でも同じ味を再現できます。

作業標準書は、「ベテランの技術を次世代に伝える」ための記録でもあるのです。

理由③|問題が起きても原因がわからない

不良品が出たとき、「何が悪かったのか」を調べる必要があります。

でも、そもそも「正しいやり方」が決まっていないと、「どこが間違っていたのか」がわかりません

🍳 料理で例えると...
「このカレー、なんか変な味がする」

レシピがあれば「あ、塩を入れすぎた」とわかる。
レシピがないと「何が原因かわからない」。

作業標準書は、「基準」の役割も果たします。基準があるから、「基準と違う=異常」だとわかるのです。

良い作業標準書の5つの条件

「作業標準書はあるけど、誰も見てないんだよね...」

こんな声、よく聞きます。それは、作業標準書の「質」に問題があるからかもしれません。

良い作業標準書には、5つの条件があります。

条件①|誰が読んでもわかる(明確性)

新人が読んでも理解できる内容でなければ意味がありません。

❌ ダメな例✅ 良い例
「適量の油を入れる」「サラダ油を大さじ2杯入れる」
「しっかり締める」「トルクレンチで10N・mで締める」
「よく混ぜる」「時計回りに30秒間混ぜる」
「きれいに拭く」「アルコールを染み込ませたウエスで3回拭く」
💡 ポイント
「数字」で書くことが大切です。「しっかり」「適量」「きれいに」は人によって解釈が違います。

条件②|写真・図が入っている(視覚性)

文字だけの標準書は読む気がしません。写真や図を入れると、一目で理解できます。

📸 写真を入れるべき場所
・正しい状態(良品の写真)
・間違った状態(NG例の写真)
・作業の手順(手の動きがわかる写真)
・使用する工具・材料の写真
・危険な箇所の写真

特に「OK例」と「NG例」を並べると効果的です。「こうなったらダメ」がわかると、ミスを防げます。

条件③|「なぜ」が書いてある(理由の明示)

「何をするか」だけでなく、「なぜそうするのか」を書くと、守られやすくなります。

❌ 理由なし✅ 理由あり
「必ず手袋をする」「必ず手袋をする(指紋が付くと不良になるため)
「30分以内に使う」「30分以内に使う(時間が経つと硬化するため)

理由がわかると、「面倒だけど、やらないとマズいんだな」と納得できます。納得すれば、手抜きをしなくなります

条件④|現場で使いやすい(実用性)

分厚いマニュアルを事務所に置いても、誰も見ません。

💡 実用性を高める工夫
作業場所に掲示する(ラミネート加工して壁に貼る)
A4〜A3で1枚にまとめる(長すぎない)
汚れても読めるようにする(防水加工)
QRコードで動画を見られるようにする

条件⑤|定期的に更新される(最新性)

5年前に作った標準書を、そのまま使っていませんか?

設備が変わった、材料が変わった、もっと良いやり方が見つかった——状況が変われば、標準書も更新する必要があります。

⚠️ 古い標準書の危険性
・現場の実態と合っていない
・「どうせ古いから」と誰も見なくなる
・改善したはずの問題が再発する

標準書には必ず「作成日」「改訂日」「版数」を記載し、いつの情報かわかるようにしましょう。

作業標準書の作り方|7ステップ

では、実際に作業標準書を作る手順を見ていきましょう。

料理のレシピを作るイメージで考えると、わかりやすいですよ。

ステップ①|「何の作業」の標準書を作るか決める

まずは、対象となる作業を明確にします。

🍳 料理で例えると...
「料理全般のレシピ」ではなく、
「カレーライスのレシピ」のように、具体的な料理を決める。

工場でも同じです。「組立作業全般」ではなく、「製品Aのネジ締め作業」のように具体的に決めます。

ステップ②|ベテランの作業を観察する

次に、その作業を一番うまくできる人(ベテラン)の作業を観察します。

ポイントは「見る」だけでなく、「なぜそうするのか」を聞くことです。

👀 観察時に聞くべきこと
・「なぜこの順番でやるんですか?」
・「なぜこの工具を使うんですか?」
・「どこに注意していますか?」
・「失敗しやすいポイントはどこですか?」
・「これをしないとどうなりますか?」

ベテランは無意識にやっていることが多いので、細かく質問することが大切です。

ステップ③|作業を「ステップ」に分解する

観察した作業を、小さなステップに分解します。

🍳 カレーの例
① 野菜を切る
② 肉を炒める
③ 野菜を炒める
④ 水を入れて煮る
⑤ ルーを入れる
⑥ 煮込む

ステップは「1つの動作」を1ステップとするのがコツ。「野菜を切って炒める」は2ステップに分けます。

ステップ④|各ステップの「急所」を明確にする

「急所」とは、そのステップで特に注意すべきポイントのことです。

これを間違えると、品質問題や安全問題につながる「絶対に守るべきこと」を書きます。

ステップ急所(ポイント)理由
野菜を切る大きさを揃える(2cm角)火の通りを均一にするため
水を入れて煮る水は800ml濃さを一定にするため
ルーを入れる火を止めてから入れるダマになるのを防ぐため

ステップ⑤|写真・図を撮影する

各ステップの写真を撮影します。

📸 撮影すべき写真
・作業の全体像(作業者の姿勢も含めて)
・手元のアップ(細かい作業がわかるように)
・良品の状態(これがOK)
・不良品の状態(これがNG)
・使用する工具・材料

写真は「後からでは撮れない」ことが多いので、このタイミングでしっかり撮っておきましょう。

ステップ⑥|標準書のフォーマットに落とし込む

集めた情報を、標準書のフォーマットに整理します。

📄 作業標準書に記載する項目

ヘッダー部分
・文書番号、版数、作成日、改訂日
・作業名、対象製品、担当部署
・作成者、承認者

本体部分
・ステップ番号
・作業内容(何をするか)
・急所(注意点)
・理由(なぜそうするか)
・写真・図
・使用する工具・材料
・品質基準(OK/NGの判断基準)

フッター部分
・安全上の注意事項
・異常時の対応方法
・関連文書へのリンク

ステップ⑦|現場で検証・修正する

作った標準書を、実際に新人に使ってもらって検証します。

「この説明でわかる?」「迷うところはない?」と聞きながら、わかりにくい部分を修正していきます。

⚠️ よくある失敗
ベテランが書いた標準書は、「当たり前のことが省略されている」ことが多い。

新人に読んでもらうと、「ここがわからない」というフィードバックがもらえます。

作業標準書のフォーマット例

実際の作業標準書がどんな形になるか、フォーマット例を見てみましょう。

作業標準書 | 文書No: WS-001 | 版数: Rev.3 | 改訂日: 2026/01/10
作業名製品Aのネジ締め作業対象製品製品A(型番: ABC-123)
担当部署組立課作成者/承認者田中/鈴木
No.作業内容急所(ポイント)理由写真
1部品Aと部品Bを準備する部品の向きを確認する逆向きだと組み立たない[写真1]
2ネジ(M4×10)を取り出す必ず4本取り出す不足すると製品不良[写真2]
3トルクドライバーで締めるトルク:1.5N・m弱いと緩み、強いと破損[写真3]
4締め付け確認をする4箇所すべてにマーキング締め忘れ防止[写真4]
⚠️ 安全上の注意: トルクドライバー使用時は保護メガネを着用すること

このように、1枚で完結するのが理想です。現場に貼って、すぐに確認できるようにしましょう。

作業標準書を「生きた文書」にするコツ

せっかく作った標準書も、使われなければ意味がありません

「作って終わり」ではなく「使い続ける」ための運用のコツを紹介します。

コツ①|作業者と一緒に作る

品質管理部門が一方的に作った標準書は、現場に受け入れられません。

実際に作業する人と一緒に作ることで、「自分たちの標準書」という意識が生まれ、守られやすくなります。

コツ②|改善のたびに更新する

「もっと良いやり方」が見つかったら、すぐに標準書を更新します。

これがSDCA(標準化→実行→チェック→処置)サイクルの考え方です。

🔄 SDCAサイクルとは

S(Standardize):標準を決める
D(Do):標準通りに実行する
C(Check):標準通りにできているか確認する
A(Act):問題があれば標準を改訂する

コツ③|教育とセットで使う

標準書を渡して「これ読んどいて」では、読んでくれません。

OJT(実地教育)の教材として使うと効果的です。

  • 先輩が標準書を見せながら、実演する
  • 新人が標準書を見ながら、実際にやってみる
  • 先輩がチェックして、フィードバックする

コツ④|定期的に「標準書通りか」を確認する

時間が経つと、「自己流」が入り込んできます

定期的に「標準書通りに作業しているか」を確認し、ズレていたら是正します。

💡 確認のタイミング
・毎日の朝礼で、急所を読み上げる
・週1回、監督者が作業を観察する
・月1回、品質パトロールで確認する
・4M変更時(人が変わった時など)に重点確認する

標準化と改善の関係|「守る」と「変える」の両立

「標準を守れ」と言われると、「新しいことをやっちゃダメなの?」と思うかもしれません。

答えは「NO」です。標準化と改善は、対立するものではなく、セットで回すものです。

🔄 標準化と改善の関係

① まず標準を決める(現時点のベストなやり方)
② 標準を守る(バラつきをなくす)
③ もっと良いやり方を見つける(改善)
④ 標準を更新する(新しいベストにする)
⑤ 新しい標準を守る(①に戻る)

つまり、「今の標準を守りながら、より良い標準を目指す」のが正しい姿勢です。

勝手に自己流でやるのはNG。でも、「こうしたほうがいいのでは?」という提案は大歓迎。提案が認められたら、標準書を更新して、全員で新しいやり方に切り替えます。

まとめ|作業標準書は「品質の土台」

この記事では、作業標準書の必要性・作り方・運用方法を解説しました。

📝 この記事のポイント

✅ 作業標準書は「料理のレシピ」のようなもの。誰がやっても同じ品質を実現する

✅ 標準書がないと、品質がバラバラになり、ベテラン頼みになり、原因究明もできない

✅ 良い標準書の条件は「明確性」「視覚性」「理由の明示」「実用性」「最新性」の5つ

✅ 作り方は7ステップ:対象決定→観察→分解→急所明確→撮影→整理→検証

✅ 運用のコツは「一緒に作る」「更新する」「教育とセット」「定期確認」

✅ 標準化と改善は対立しない。守りながら、より良い標準を目指す

作業標準書は、品質管理の「土台」です。この土台がしっかりしていれば、その上に工程管理、検査、改善活動を積み上げていけます。

まずは身近な作業から、「誰がやっても同じ品質になるレシピ」を作ってみませんか?

キーワード解説一覧|試験対策用

用語意味
作業標準書作業の手順、方法、注意点などを文書化したもの。誰がやっても同じ品質を実現するためのルール
標準作業作業標準書に基づいて行う、決められた通りの作業
標準化最も良いやり方を決めて、全員で同じようにやること
急所作業の中で特に注意すべきポイント。これを間違えると品質や安全に問題が出る
手順書作業の手順を記載した文書。作業標準書とほぼ同義で使われることが多い
マニュアル手引書、説明書。作業標準書より広い概念で使われることが多い
SDCAサイクルStandardize(標準化)→Do(実行)→Check(確認)→Act(処置)のサイクル。日常管理の基本
PDCAサイクルPlan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Act(処置)のサイクル。改善活動の基本
OJTOn the Job Training。実際の仕事を通じて行う教育訓練
ポカヨケ人間のミス(ポカ)を物理的に防ぐ仕組み。標準書と併用して効果を発揮する
技能伝承ベテランの技術・ノウハウを次世代に引き継ぐこと。標準書はその記録手段
暗黙知言葉にしにくい、経験に基づく知識。標準書を作ることで「形式知」に変換できる
形式知言葉や文書で表現できる知識。標準書は形式知の代表例
改訂履歴標準書がいつ、何を、なぜ変更されたかの記録
版数管理文書のバージョンを管理すること。古い版と最新版を区別する
承認権限を持つ人が文書の内容を認め、使用を許可すること

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