目次
⚡ 送電方式とは? 発電所から家庭まで電気を届ける仕組み
発電所で作られた電気は、さまざまな方法で私たちの家庭や工場に届けられます。この電気を運ぶ方法を「送電方式」と呼びます。
🔌 電気が届くまでの流れ
- 発電所:11〜20kVで発電
- 昇圧変電所:500kV/275kV/154kVに昇圧(電圧を上げる)
- 送電線:高電圧で長距離を送電(損失を減らすため)
- 変電所:66kV → 22kV → 6.6kVと段階的に降圧
- 柱上変圧器:100V/200Vに変換
- 家庭・工場:電気を使用
💡 なぜ高電圧にするの?
電圧を上げると電流が小さくなり、送電線での電力損失(P=I²R)が減るからです! ⚡
📊 送電方式の3つの種類
電験三種では、次の3つの送電方式を理解することが重要です。
| 送電方式 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 架空送電 | 鉄塔に電線を吊るす(最も一般的) | 一般的な送電(約95%) |
| 地中送電 | 地下にケーブルを埋設 | 都市部・景観重視地域 |
| 直流送電(HVDC) | 交流を直流に変換して送電 | 超長距離・海底ケーブル・周波数変換 |
🎯 電験三種で最重要!
架空送電が最も出題頻度が高い(構造、離隔距離、雷害対策など)ですが、地中送電・直流送電との比較問題も頻出です!
次の図で、送電方式の全体像を視覚的に確認しましょう! 👇

🗼 架空送電:最も一般的な送電方式
架空送電は、鉄塔に電線を吊るして送電する方式で、日本の送電線の約95%を占めています。
🏗️ 架空送電の構造
- 鉄塔:電線を支える構造物
- がいし:電線と鉄塔を絶縁する
- 電線(導体):電気を運ぶ線(アルミ導線やACSRなど)
- 架線金具:電線を固定する金具
- 架空地線:雷から電線を守る保護線
✅ 架空送電のメリット
- ✅ 建設コストが安い:地中送電の1/10〜1/20
- ✅ 保守点検が容易:目視で確認できる
- ✅ 故障箇所の発見が早い:パトロールですぐ発見
- ✅ 通風による冷却効果:自然に冷やされる
- ✅ 増設・改修が容易:工事がしやすい
❌ 架空送電のデメリット
- ❌ 景観を損なう:鉄塔が目立つ
- ❌ 雷・風雨の影響を受けやすい:落雷事故、台風被害
- ❌ 樹木との離隔が必要:定期的な伐採が必要
- ❌ 塩害・着雪の影響:海岸部・雪国で劣化
- ❌ 用地取得が必要:鉄塔建設用の土地
🎯 電験三種頻出ポイント!
・電線のたるみ計算(D = WL²/8T)
・離隔距離(電線と地面、建物との最小距離)
・雷害対策(架空地線、アークホーン、避雷器)
・風圧荷重の計算
🌍 地中送電との違い
架空送電と地中送電は、コスト・保守性・景観の点で大きく異なります。詳しい比較を次の図で確認しましょう! 👇

🏙️ 地中送電:都市部で使われる送電方式
地中送電は、地下にケーブルを埋設して送電する方式で、都市部や景観が重視される地域で採用されます。
🔧 地中送電の構造
- 導体:電気を運ぶ芯線(銅またはアルミ)
- 絶縁層:導体を絶縁(CVケーブルなど)
- シース(外装):ケーブルを保護
- 防食層:腐食を防ぐ
- 管路:ケーブルを収める管(直埋式もある)
✅ 地中送電のメリット
- ✅ 景観への影響なし:地下なので目立たない
- ✅ 風雨・雷の影響を受けない:気象災害に強い
- ✅ 都市部で省スペース:土地を有効活用
- ✅ 電磁誘導障害が少ない:シールド効果
- ✅ 塩害・着雪の影響なし:地中なので安心
❌ 地中送電のデメリット
- ❌ 建設コストが非常に高い:架空送電の10〜20倍!
- ❌ 故障時の復旧に時間がかかる:掘り起こしが必要
- ❌ 放熱が困難:地中なので熱がこもる
- ❌ 保守点検が困難:目視確認できない
- ❌ 許容電流が小さい:冷却効果が悪い
💰 コスト比較(重要!)
| 項目 | 架空送電 | 地中送電 |
|---|---|---|
| 建設コスト | 1(基準) | 10〜20倍 |
| 保守性 | 容易◎ | 困難× |
| 故障復旧 | 早い◎ | 遅い× |
| 景観 | 影響大× | 影響なし◎ |
🎯 電験三種頻出!
「都市部で地中送電を採用する理由は?」
→ 答え:景観への影響がなく、省スペース。ただしコストは高い。
架空送電と地中送電の詳細比較を、上の図で確認しました。次は、特殊な送電方式である「直流送電」を見ていきましょう! 👇

🎯 送電方式の選択基準:どの方式を選ぶ?
実際の送電線建設では、距離・場所・コストを考慮して最適な送電方式を選びます。
🔍 選択フローチャート
ステップ1:距離をチェック
・超長距離(500km以上)または海底ケーブル → HVDC直流送電
・それ以外 → ステップ2へ
ステップ2:設置場所をチェック
・都市部・景観重視地域 → 地中送電
・郊外・一般地域 → 架空送電
📊 3方式の徹底比較表(電験三種必修!)
| 比較項目 | 架空送電 | 地中送電 | 直流送電(HVDC) |
|---|---|---|---|
| 建設コスト | 安い(1) | 高い(10-20倍) | 中程度+変換設備 |
| 保守性 | 容易◎ | 困難× | 変換設備が複雑 |
| 故障復旧 | 早い◎ | 遅い× | 中程度 |
| 電力損失 | 中程度 | やや大(放熱困難) | 小さい◎ |
| 適用距離 | 〜数百km | 〜50km以下 | 超長距離◎ |
| 景観影響 | 大× | なし◎ | 変換所のみ |
| 外的影響 | 雷・風雨・塩害 | ほぼなし◎ | 少ない |
| 主な用途 | 一般送電(約95%) | 都市部・地下 | 海底・超長距離・周波数変換 |
📝 電験三種出題頻度
- ⭐⭐⭐⭐⭐ 架空送電:最頻出!(構造、離隔距離、雷害対策、計算問題)
- ⭐⭐⭐☆☆ 地中送電:コスト比較、特徴の穴埋め問題
- ⭐⭐⭐☆☆ 直流送電:用途、メリット・デメリット
送電方式の選択基準と比較表を、次の図でまとめて確認しましょう! 👇

✅ まとめ:送電方式の全体像を完全マスター!
🎯 この記事のポイント
- 架空送電:最も一般的(約95%)、低コスト、保守容易
- 地中送電:都市部で使用、景観良好だがコスト高(10-20倍)
- 直流送電(HVDC):超長距離・海底ケーブル・周波数変換に使用
- コスト順:架空 < 直流 < 地中
- 保守性順:架空 > 直流 > 地中
- 長距離適性:直流 > 架空 > 地中
📝 電験三種で覚えるべき数値
- ✅ 地中送電のコスト:架空の10〜20倍
- ✅ 直流送電のブレークイーブン距離:約50km
- ✅ 架空送電の占有率:約95%
- ✅ 送電電圧:500kV(超高圧)、275kV、154kV、66kV...
🎓 過去問で頻出のパターン
- 📝 「都市部で地中送電を採用する理由は?」
- 📝 「直流送電が長距離に有利な理由を3つ述べよ」
- 📝 「架空送電と地中送電のコスト比は?」
- 📝 「北海道本州間連系に直流送電を使う理由は?」
- 📝 「架空送電線のたるみ計算(D = WL²/8T)」
💡 合格への学習ポイント
- 架空送電を最優先:構造、計算問題、雷害対策を重点的に
- 3方式の比較表を暗記:コスト、保守性、適用場所
- 直流送電の用途を覚える:海底・長距離・周波数変換
- 過去問10年分を解いて出題パターンを把握
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