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『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』レビュー。なぜ早起きに失敗するのか?答えは「夜」と「目的」にあった。

「毎日、何かに追われるように過ぎていく」 「自分のための時間なんて、まったくない」 「夜、ドカ食いしたり、ダラダラとスマホを見てしまったりして、結局自己嫌悪で眠りにつく」

もし、あなたがそんな日々に息苦しさを感じているなら、ぜひ手に取ってほしい一冊があります。

それが、キム・ユジン氏の『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』です。


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私自身、これまで何度も「朝活」に挑戦しては、三日坊主で終わってきました。しかし、この本を読んで、なぜ自分が失敗し続けてきたのか、少しわかった気がします。

この記事では、本書の要約と、特に私の心に突き刺さった「感想・考察」を分けて、詳しくご紹介します。


『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』とは?(本の要約)

まずは、この本がどのような内容なのか、そのエッセンスを要約してご紹介します。

著者はどんな人?

著者のキム・ユジン氏は、アメリカの2つの州で弁護士資格を持つ才媛です。ロースクール時代から早朝の時間を活用し、超難関の司法試験に合格。弁護士として働きながら、人気YouTuberとしても活躍するなど、まさに「ひとり時間」を駆使して人生を切り開いてきた人物です。

彼女の言葉には、ただの精神論ではない、実践に裏打ちされた説得力があります。

核心1:朝は「唯一コントロールできる」魔法の時間

本書で最も強調されているのが、この点です。

私たちは日中、仕事、会議、電話、メール、家事、育児など、絶え間なく押し寄せる「他者からの要求」や「やらなければならないタスク」に振り回されています。自分の予定通りに進むことなど、ほとんどありません。

夜は夜で、残業や付き合い、あるいは疲労困憊で「ご褒美」としての暴飲美食や受動的なコンテンツ消費(SNS、動画など)に時間を奪われがちです。

しかし、家族も、同僚も、世界もまだ眠っている「早朝」だけは違います。 誰からも邪魔されない、静かで、クリアな頭で、「自分が本当にやりたいこと」だけを選んで実行できる、唯一無二の「聖域」なのです。

核心2:早起きは「苦行」ではなく「ご褒美」

多くの人が「朝活=ストイックな自己研鑽」と捉えがちです。眠い目をこすり、無理やり資格の勉強や運動を詰め込む……。これでは続くはずがありません。

著者は、早朝の時間を「自分をリフレッシュさせ、ご機嫌にするための時間」と再定義します。

  • お気に入りの豆で丁寧にコーヒーを淹れる
  • 好きな音楽を聴きながら、頭に浮かんだことをノートに書き出す
  • 誰のためでもない、自分のためだけの読書をする

これらは「タスク」ではなく、自分への「ご褒美」です。この「ご褒美」が待っていると思えば、ベッドから出る足取りも軽くなります。

核心3:早起きの鍵は「早く寝る」こと

本書は「睡眠時間を削って早起きしろ」とは一言も言いません。むしろ、それは「最悪の選択」だと断言します。

十分な睡眠(著者は7〜8時間を推奨)を確保することが大前提。日中のパフォーマンスを落としてしまっては、元も子もありません。

ではどうするか? 答えはシンプルです。 「早く起きる」ことを目標にするのではなく、「早く寝る」ことを目標にするのです。

早起きの成功は、アラームが鳴る瞬間ではなく、前日の夜、ベッドに入った瞬間に決まっている。この視点の転換こそが、継続の最大の鍵となります。


私の感想と考察。なぜ、私たちの早起きは失敗するのか?

ここからは、本書を読んだ私の個人的な感想と、特に「ハッ」とさせられたポイントについて、深く掘り下げて考察します。

考察1:最大の発見。「何のために起きるのか」という問い

早起きに成功する人とそうでない人の一番の違いは、「何のために起きるのか」ということである。

この一節を読んだとき、あ、確かにそうだわとなりました。 これまでの私の失敗は、すべてここに集約されていたのです。

実は、私自身も過去にこの「目的意識の力」を強く体感した経験があります。

QC検定や電験三種といった試験の突破を目指していた時期、私は自分を追い込み、早起きを実践していました。「絶対に合格する」という強い目的があったからです。

最初はキツくても、毎日続けるうちにそれは「習慣」となり、そこまで辛いと感じなくなりました。「今日も勉強できた」という達成感が、次の日のモチベーションになっていたのです。

しかし、問題はその後です。無事に試験が終わり、あの強烈なプレッシャーから解放された途端、ピタリと起きられなくなったのです。

アラームが鳴っても二度寝してしまう。あれほど苦もなく起きられていたのに、まるで別人のようになってしまいました。

この本を読んで、その理由がはっきりと分かりました。私から「何のために起きるのか」という、あの強烈な目的意識が消えてしまっていたのです。

「強い目的意識こそが早起きの最大のコツである」

これは、まさに私が身をもって体感した真実であり、本書が指摘する核心でした。

私たちが失敗するのは、意志が弱いからではありません。「明日から6時に起きよう」という「早起きすること自体」を目的にしてしまうからです。

「明日から6時に起きよう」 「健康のために早起きしよう」

これらはすべて、「Have to(〜しなければならない)」という義務であり、苦痛です。だから、アラームが鳴っても「あと5分…」とスヌーズボタンを押してしまう。

しかし、本書が説く成功する人のマインドセットは違います。

「明日の朝、あの静かな時間で、買ったばかりの本の続きを読むのが楽しみだ」 「朝イチで、資格の勉強を誰にも邪魔されずに練り上げたい」 「淹れたてのコーヒーを飲みながら、自分のキャリアプランを見直す時間が必要だ」

これは「Want to(〜したい)」という権利であり、楽しみです。

目的が「早起き」ではなく、「早起きした先にある、ワクワクする何か」に設定されているか。 この差は、天と地ほどあります。

アラームは「起きろ!」と命令する拷問の道具ではなく、「楽しみなご褒美の時間が始まりましたよ」と教えてくれる合図に変わるのです。 このマインドセットの転換こそ、本書から得られた最大の収穫でした。

考察2:「唯一コントロールできる時間」という概念が、夜の暴走を止める

明け方の時間は、人生の中で唯一自分がコントロールできる時間。

この言葉も、深く刺さりました。 日中、私たちはどれだけ「自分」を後回しにしているでしょうか。

上司の指示、顧客の要求、家族の用事……。常に「他者」を優先し、自分の意志とは関係ないタスクに忙殺される。自分をすり減らし、ストレスは溜まる一方です。

その結果、どうなるか。 夜になって、ようやく手に入れた(ように見える)自由時間。ここで「反動」が起きます。 「こんなに頑張ったんだから、これくらい良いだろう」 そう言って、必要以上に食べて飲んだり、ダラダラと意味のない動画を見続けたりする。

これは、日中に「自分で時間をコントロールできなかった」ことへの、無意識の「復讐」であり「埋め合わせ」なのです。 (私自身、夜のドカ食いがやめられない時期がありましたが、まさしく日中のストレスとコントロール不能感が原因だったと痛感します)

しかし、もし朝に「自分が完全にコントロールできる時間」を確保できていたら?

朝イチで「自分のやりたいこと」をやり遂げ、「今日も私は自分を大切にできた」という自己肯定感を持って1日をスタートできたら?

日中に多少振り回されることがあっても、夜に過剰な「埋め合わせ」をする必要がなくなります。朝の充実感が、夜の暴走の「防波堤」となってくれるのです。

人生の主導権を他人や環境に明け渡すのではなく、朝の1時間だけでも、自分の手に取り戻す。その小さな成功体験が、日中を乗り切る「心の盾」となり、夜の過ごし方まで変えてくれるのです。

考察3:早起きの敵は「朝の弱さ」ではなく「夜のダラダラ」

ポイントはやはり早く寝ること。

頭では分かっている。分かっているけど、できない。 なぜ私たちは早く寝られないのでしょうか?

それは、前述の通り「夜の時間こそが唯一の自由時間だ」と錯覚しているからです。 「このまま寝てしまったら、今日一日、自分のための時間が何もないまま終わってしまう」 その恐怖心と焦りが、私たちをスマホに、テレビに、お酒に執着させます。

しかし、本書はその「夜の自由時間」の質を問い直します。 疲れた脳で見るSNSは、本当にあなたを豊かにしていますか? それは「自由」ではなく、ただの「浪費」や「現実逃避」ではないですか?

本書の提案は、「質の低い夜の時間」を捨て、「質の高い朝の時間」と交換しよう、というトレードオフの提案です。

夜の2時間をダラダラ過ごすのをやめて、その分早く寝る。 そして、朝に1時間、誰にも邪魔されない「ゴールデンタイム」を手に入れる。 (差し引き1時間、睡眠時間が増えることにもなります)

これは「我慢」ではありません。より価値のあるものを選ぶ「賢い選択」です。

「早く寝る」ことを「一日の終わり・諦め」と捉えるのではなく、「明日の朝の楽しみな時間のための、積極的な準備」と捉え直す。 夜の過ごし方こそが、早起きというプロジェクトの最重要タスクなのだと、この本は教えてくれました。

まとめ:人生の主導権を取り戻したいすべての人へ

『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』は、単なる早起きのテクニック本ではありません。

「自分の人生のハンドルを、いかにして自分の手に取り戻すか」

それを問い直す、マインドセット変革の書です。

もしあなたが、日々の忙しさに追われ、自分を見失いそうになっているなら。 もしあなたが、「試験が終わったら起きられなくなった」という私と同じ経験を持つなら。 この本は、その負のループを断ち切り、新たな「目的」を見つける強力な武器になるはずです。

朝の1時間を制する者が、1日を制し、そして人生を制する。 大げさではなく、そう思わせてくれる一冊でした。

【追伸】この本、Kindle Unlimitedで無料で読めました

今回ご紹介した『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』ですが、私はKindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)の会員なので、追加料金なしの無料で読むことができました。

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