はじめに
前回の記事で、直交配列表とは何か、なぜ実験に必要なのかを学びました。
今回は、
代表的な直交配列表「L4」と「L8」について、
具体的な使い方と割付け方法を、やさしく解説します!
直交配列表を実際に使いこなせると、
「効率的で無駄のない実験設計」ができるようになります!
1. L4直交表とは?
構成
-
2水準因子(低/高、OFF/ONなど)
-
3因子を扱う
-
試行回数は4回
つまり、
の全数実験を行わず、
たった4通りの試行だけで主効果を推定できる表です。
L4直交表の具体形
試行 | 因子A | 因子B | 因子C |
---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 1 | 2 | 2 |
3 | 2 | 1 | 2 |
4 | 2 | 2 | 1 |
ここで、
-
1=水準1(例えば低レベル)
-
2=水準2(例えば高レベル)
を意味します。
2. L8直交表とは?
構成
-
2水準因子を7因子まで扱える
-
試行回数は8回
つまり、
本来は
必要な試行を、
たった8通りに圧縮して実験できる強力な直交表です。
L8直交表の具体形
試行 | 因子A | 因子B | 因子C | 因子D | 因子E | 因子F | 因子G |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 |
3 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 2 |
4 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
5 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 |
6 | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 | 2 | 1 |
7 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 2 | 1 |
8 | 2 | 2 | 1 | 2 | 1 | 1 | 2 |
(※例によって1=低レベル、2=高レベル)
3. 直交表への割付け方
直交表を使うとき、
「どの因子をどの列に割り付けるか?」
が非常に重要です。
1️⃣重要な因子は早い列(左側)に割り付けるのが基本
理由:
直交表の左側の列ほど、交互作用の影響を受けにくく、
より純粋に主効果を推定しやすいからです。
例:因子A(肉の種類)が最重要なら、列1に割り付ける。
2️⃣あまり重要でない因子は「後ろの列(右側)」に置く
理由:
後ろの列は、場合によって交互作用と交絡することがあるため、
多少ズレても大丈夫な因子を配置します。
例:煮込み時間など細かい条件は、列3や列4に割り付ける。
(交互作用については次の記事で詳しく解説します!)
3️⃣交互作用を重視したい場合は「交互作用が分離できる列配置」を選ぶ
例えばL8直交表では、
-
列1と列2の交互作用(AB)が列3に現れる
-
列4と列5の交互作用(DE)が列6に現れる
という特性を持っています。
交互作用を明確に測りたい場合は、
対応する列の交互作用成分が別列に割り付けられるようにします。
4. 割付けの具体的な手順
例えば、あなたがカレーの味実験を設計するとします。
項目 | 内容 |
---|---|
重要因子① | 肉の種類(牛・鶏) |
重要因子② | スパイス量(少・多) |
あまり重要でない因子 | 煮込み時間(短・長) |
この場合の割付け例:
直交表の列 | 割付ける因子 |
---|---|
列1 | 肉の種類(最重要) |
列2 | スパイス量(次に重要) |
列3 | 煮込み時間(優先度低め) |
5. 注意点
-
割付けた後、交互作用が交絡しないか確認する
-
特にL8、L9のような大きな直交表では、「列の組み合わせで交互作用がどこに現れるか」が決まっているので要注意
-
実験目的に合わせた柔軟な設計が必要
6. 割付けのコツまとめ
ポイント | 解説 |
---|---|
重要な因子は前列に! | 列1、列2を優先的に使う |
交互作用を見たいなら意識して列を選ぶ | 直交表の交互作用表を参考にする |
あまり重要でない因子は後列に回す | 列4、列5など |
7. 直交表を使うメリットまとめ
項目 | メリット |
---|---|
効率化 | 少ない試行で必要な情報を得られる |
バランス | 各水準が均等に現れるので主効果を正確に推定できる |
分析しやすい | 直交性により、因子間の影響を簡単に分離できる |
まとめ
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L4直交表は「3因子2水準を4回の試行」で調べる表
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L8直交表は「7因子2水準を8回の試行」で調べる表
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割付けは慎重に!
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直交表を使えば、実験効率が劇的に向上する!
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次の記事では、
交互作用の交絡とは何か?直交配列表の限界と注意点
について詳しく解説します!
ここを押さえると、
「直交表を使うとき、どんな注意が必要か」がわかるようになります。