実験計画法 統計学・QC検定

繰返しのない二元配置実験とは?

はじめに

これまでの実験では、「繰返し」をしっかり行うことの大切さを学びました。
しかし、現実の現場では、

  • 試作に時間がかかる
  • 材料費が高い
  • 作業量に限界がある

といった理由で、何度も繰り返すのが難しいこともあります。

この記事では、そんなときに使えるテクニック、
繰返しのない二元配置実験について解説します。

繰返しのない二元配置実験とは?🔍

定義

繰返しのない二元配置実験とは、各組み合わせについて一度ずつしか試行しない二元配置実験のこと。

つまり、
通常なら「同じ条件で2回、3回と試す」ところを、
1回ずつしか試さない設計です。

これにより、
実験回数を大きく減らすことができます。

カレー作りで考える🍛

今回も調べたい因子は2つ。

因子水準1水準2
肉の種類牛肉🐮鶏肉🐔
スパイス量少なめ多め

通常の二元配置実験なら、
各組み合わせを例えば3回ずつ繰り返すところですが…

繰返しなしなら、

肉の種類スパイス量1回だけ実施
牛肉🐮少なめ
牛肉🐮多め
鶏肉🐔少なめ
鶏肉🐔多め

この4つの実験だけで済みます!

繰返しがないとどうなる?🤔

項目内容
メリット実験回数が少ないので早く終わる、コストが減る
デメリット偶然のばらつきを検出できない、信頼性がやや低くなる

つまり、
早く結果を知りたいときや、リソースが限られているときには有効ですが、
結果を解釈するときには慎重さが必要になります。

たとえ話:カレー店の限定メニュー開発🍛

あるカレー店が、
「次のフェアで出す新カレーを、まずざっくり決めたい」
と思ったとします。

  • 牛肉 or 鶏肉
  • スパイス少なめ or 多め

この組み合わせをそれぞれ1回だけ作って、スタッフに試食してもらい、
「どのパターンが一番ウケがよさそうか」
をサクッと判断する。

これがまさに、繰返しのない二元配置実験です。

時間がない中でざっくり方向性を決めたいときに、とても有効です。

使い方のポイント🎯

ポイント内容
試行回数を減らしたいときに使う試作コストを抑えられる
初期スクリーニングに向いている大まかな傾向を見るため
本当に重要な実験では繰返しが必要最終決定には慎重な実験が必要

つまり、
「まずは方向性を見たい」ときに使い、
「本当に大事な決定」をするときには、後から繰返しを加えてしっかり検証する
という使い分けが大切です。

繰返しあり・なし比較表📋

項目繰返しあり繰返しなし
試行回数多い少ない
精度高い低め
コスト高い安い
適用シーン本番の検証初期のスクリーニング

まとめ📝

繰返しのない二元配置実験とは、
各条件を一度ずつしか試さない二元配置実験です。

  • 短期間・低コストでおおまかな傾向をつかめる
  • ばらつき(誤差)の影響を読み取ることは難しい
  • 重要な判断には繰返しを追加するべき

この特徴を理解して、賢く使い分けることが、実験設計の上級テクニックにつながります!

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次の記事では、
「交絡とは何か?実験結果が狂ってしまう危険なワナ」
について詳しく解説していきます。

ここを理解すると、より正しい結論にたどり着くための注意点が見えてきます!
ぜひ続けて読んでください!

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