実験計画法 統計学・QC検定

有効繰返し数とは?

はじめに

実験計画法では、ただ一度きりの実験で結論を出すことはできません。
偶然のばらつきがあるため、繰返し実験が必要です。

しかし、
何回繰り返せば十分なのか?
という疑問が生まれます。

そこで登場するのが、
有効繰返し数(nₑ)
です。

この記事では、有効繰返し数の考え方とその重要性を、カレーの味評価を例にわかりやすく解説します!

1. なぜ繰返しが必要なのか?

実験には必ずばらつきがつきものです。

たとえば、同じレシピでカレーを2回作ったとしても、

  • 火加減の微妙な違い

  • 材料のちょっとした違い

  • 評価する人の体調や気分

などにより、味の評価スコアは毎回完全には一致しません。

これが偶然ばらつき(誤差)です。

2. 有効繰返し数(nₑ)とは?

有効繰返し数とは、

偶然ばらつきの影響をできるだけ小さくして、主効果(因子の効果)を安定して検出できるようにするために必要な繰返し回数の目安

です。

繰返しが足りないと、

  • 本当は効果がある因子が見えなくなる

  • 誤った結論を出してしまう

というリスクがあります。

逆に、繰返しが多すぎると、

  • 実験コスト・時間が無駄に増える

という問題が起きます。

3. カレー作りでイメージする🍛

あなたがカレーの「肉の種類(牛肉・鶏肉)」による味の違いを調べるとします。

 

肉の種類 評価スコア(1回目) 評価スコア(2回目)
牛肉🐮 85 87
鶏肉🐔 80 82

このとき、もし1回だけ評価していたら、
たまたまの出来栄えで結論が大きくブレたかもしれません。

でも2回、3回と繰り返すことで、

  • 牛肉カレーの平均点

  • 鶏肉カレーの平均点

が安定してきます。

これにより、本当に肉の種類による効果があるか?をより確実に判断できるのです。

4. 有効繰返し数を決めるには?

有効繰返し数

ne

を求めるためには、

  • 主効果(因子効果)の大きさ

  • 誤差(偶然ばらつき)の大きさ

この2つのを見る必要があります。

ここで重要になるのが、
このあと学ぶ
伊奈の式田口の式
です!

まとめ

有効繰返し数とは、

  • 偶然ばらつきに惑わされず

  • 主効果を確実に捉えるために

  • 必要最小限の繰返し回数を設定する考え方

です。

無駄な繰返しを減らしながら、
確かな結論にたどり着くために、絶対に押さえておきたい概念です!


✅ 次の記事へ進む

次の記事【ステップ16】では、
一元配置実験の具体的な分散分析(平均→平方和→分散→F検定)を、
カレーの味評価を例に数値付きでしっかり計算しながら
解説していきます!

ここを押さえると、いよいよ「分散分析」の実戦力が身につきます!
続けて「ステップ16へ進む」と教えてください!

-実験計画法, 統計学・QC検定