はじめに
これまで学んできた実験計画法では、
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因子間の主効果や交互作用を調べる
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ばらつきをコントロールするためにブロック(乱塊法)を使う
という設計を行ってきました。
しかし、さらに複雑な条件が絡む実験(例えば、
大きな単位でしか設定できない因子と
小さな単位で自由に設定できる因子が混ざる場合)
には、特別な設計法が必要になります。
そこで登場するのが、
分割法(ぶんかつほう)です!
1. 分割法とは?
定義
分割法とは、大きな単位(粗い条件)と、小さな単位(細かい条件)の両方を効率的に実験できるように、2段階で割付けを行う設計法。
つまり、
粗い因子(変えにくい因子)と
細かい因子(簡単に変えられる因子)
を分けて考える方法です。
2. なぜ分割法が必要なのか?
現場の実験では、
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機械設定のように、1回変えるのにすごく手間がかかる因子
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温度設定のように、簡単に変えられる因子
が混ざることがよくあります。
もしすべての因子を同列に扱ってしまうと、
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機械設定を変えるたびに大きな準備コストがかかる
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非効率な実験になる
こんな問題が発生します。
分割法を使えば、
変えにくい因子はまとめて扱い、変えやすい因子は小分けで試す
ことで、効率よく実験できるのです!
3. 分割法の基本構成
項目 | 説明 |
---|---|
主プロット因子(大因子) | 変えるのに手間がかかる因子(例:機械の種類) |
副プロット因子(小因子) | その下で自由に変えられる因子(例:温度設定) |
イメージ図
→ 主プロット(機械)を固定して、その中で副プロット(温度)を試すイメージ!
4. 具体例:カレーの味評価で考える🍛
たとえば、カレーの実験で
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主プロット因子:調理器具(鍋1、鍋2)
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副プロット因子:スパイス量(少なめ・多め)
を検討したいとします。
鍋を交換するのは大変なので、
鍋は1回決めたらしばらく使い続け、
その鍋の中でスパイス量をいろいろ変えて試す。
これが分割法の考え方です!
5. 分割法の注意点
項目 | 説明 |
---|---|
ばらつきの扱いが異なる | 主プロット因子と副プロット因子では、ばらつき(誤差)の取り扱いが違う |
分析が2段階になる | 主プロット効果、副プロット効果、それぞれ別々に検定する必要がある |
実験設計がやや複雑 | 無作為化や繰返し回数に注意が必要 |
まとめ
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分割法は、「変えにくい因子」と「変えやすい因子」を分けて扱う実験設計
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主プロット因子と副プロット因子に区別して割付ける
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現場の実験(設備変更・条件変更が混ざる場合)で非常に重要なテクニック!
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次の記事では、
応答曲面法とは?最適条件を探すための設計方法
について詳しく解説していきます!
これを押さえると、
「もっと良い条件(ベストな設定)」を探し出す力がつきます!