多変量解析

クラスター分析とは?デンドログラムの読み方を「不良の仲間分け」で解説

😣 こんなふうに思っていませんか?
  • 「クラスター分析」って言葉は聞くけど、結局なにをする分析なのかピンとこない
  • デンドログラム(あの木が枝分かれしたみたいな図)の読み方がさっぱりわからない
  • 「階層型」「k-means法」など、似た言葉が多くて混乱する
✅ この記事でわかること
  • クラスター分析が「似た者同士のグループ分け」だと一発でわかる
  • デンドログラム(樹形図)の読み方が、図でスッと理解できる
  • 階層型と非階層型(k-means法)の違いと使い分けがわかる
✅ 結論(まず30秒でわかる答え)

クラスター分析とは、たくさんのデータを「似た者同士」でいくつかのグループ(クラスター=かたまり)に自動で分ける手法です。たとえば、原因がバラバラに見える不良品でも、特徴が近いもの同士をまとめれば「同じ原因のグループ」が見えてきます。分け方には、似たもの同士を順番にくっつけていく「階層型」と、先にグループの数を決めて振り分ける「非階層型(k-means法)」の2種類があります。

「データを似た者同士でまとめる」と言われても、まだイメージしづらいかもしれません。でも大丈夫です。この記事では、工場で出た不良品を仲間分けするという身近な例を使って、専門用語を一つずつ噛み砕きながら進めます。数式が出てきても、電卓で押せるところまで丁寧に説明するので、安心して読み進めてください。

そもそもクラスター分析とは?「似た者同士を集める」だけ

クラスター分析とは、ひとことで言えば「似た者同士を、いくつかのグループに分ける」分析です。この「グループ」のことを、専門用語でクラスターと呼びます。クラスターとは英語で「房(ふさ)」や「かたまり」という意味です。ぶどうの房を思い浮かべてください。粒が集まって一つの房になっていますよね。あのかたまりが「クラスター」です。

たとえば、工場でいろいろな不良品が出たとします。「寸法がズレたもの」「表面にキズがあるもの」「色がおかしいもの」……。これを一個ずつ眺めても、原因はなかなか見えてきません。

そこで、特徴が似ている不良品どうしを同じ箱にまとめていきます。すると「寸法ズレの箱」「キズの箱」のようにグループが分かれ、「この箱の不良はぜんぶ同じ機械が原因かも」と原因にたどり着きやすくなります。この「似たもの同士で箱に仕分ける作業」を、コンピュータに自動でやってもらうのがクラスター分析です。

🧺 たとえると
洗濯物を「タオル」「シャツ」「靴下」に分けるのと同じです。最初はぐちゃぐちゃの山でも、似たもの同士でまとめれば、すっきり整理できますよね。クラスター分析は、この「似たもの同士の山分け」を数字の力で正確にやってくれる道具です。

つまり、クラスター分析は「正解を教えなくても、データの特徴だけを見て勝手にグループ分けしてくれる」のが最大の特徴です。「これはAの仲間」「これはBの仲間」と人間が事前にラベルを貼らなくていい。データ自身に「似ているもの同士で集まって」とお願いするイメージです。

なぜグループ分けできるの?カギは「距離」という考え方

ここで一つ疑問がわきます。コンピュータは、どうやって「似ている/似ていない」を判断しているのでしょうか。その答えが「距離」です。

クラスター分析では、データの特徴を数字に置き換えて、地図の上の点のように並べます。そして「点と点が近い=似ている」「点と点が遠い=似ていない」と判断します。地図の上で、近くにある町は性格が似ていて、遠く離れた町は別の地域……というイメージに近いです。

💡 ポイント
クラスター分析の世界では、「近い=似ている」「遠い=似ていない」と覚えてください。これさえ押さえれば、あとの話はすべてこの一本の軸でつながります。

不良品の例で考えてみましょう。それぞれの不良品について「寸法のズレ(mm)」と「表面キズの数(個)」という2つの特徴を測ったとします。すると、1個の不良品は「ズレ0.1mm・キズ2個」のように2つの数字で表せます。この2つの数字を、グラフの横軸と縦軸に置けば、不良品1個が点になります。

こうしてすべての不良品を点として置くと、近くに固まっている点のかたまりが見えてきます。そのかたまり一つひとつがクラスターです。つまりクラスター分析は、「点の距離を測って、近いものを仲間にする」というシンプルな仕組みで動いているのです。

距離はどう測る?中学で習った「あの公式」だけでOK

「距離を測る」と聞くと難しそうですが、使うのは中学校で習った三平方の定理(さんへいほうのていり)だけです。覚えていなくても大丈夫。これから一緒に確認します。

クラスター分析でいちばんよく使う距離をユークリッド距離と呼びます。なんだか難しそうな名前ですが、中身は「2つの点を結んだ、まっすぐな直線の長さ」のこと。定規でピッと測った、あの一番ふつうの距離です。

📐 ユークリッド距離の公式
距離 = √( 横の差² + 縦の差² )

「²(2乗)」は「同じ数を2回かける」という意味です(例:3² = 3×3 = 9)。「√(ルート)」は「2乗する前の数に戻す」記号です(例:√9 = 3)。式だけ見ると身構えますが、要は「横にどれだけ離れているか」と「縦にどれだけ離れているか」を組み合わせて、ナナメの直線の長さを出しているだけです。

📐 たとえると
地図で「東に3km、北に4km」の場所までまっすぐ歩いたら何km?という問題と同じです。答えは√(3²+4²)=√25=5km。これがユークリッド距離です。難しい計算ではなく、まっすぐ測った道のりのことなんです。
⚠️ ここで間違えやすい
距離の測り方はユークリッド距離だけではありません。「碁盤の目を曲がって進む距離(マンハッタン距離)」など他の測り方もあります。ただ、初心者のうちは「いちばん基本はユークリッド距離(まっすぐな直線の長さ)」と覚えておけば十分です。

不良品で計算してみる|どの2個がいちばん「似ている」?

百聞は一見にしかず。実際に数字を入れて計算してみましょう。ここでは説明用に作った架空のデータを使います。3個の不良品について「寸法のズレ(mm)」と「キズの数(個)」を測ったとします。

不良品 寸法のズレ(mm) キズの数(個)
A11
B21
C54

「AとB」「AとC」、どちらのペアが似ているでしょうか。数字をなんとなく眺めると、AとBが近そうですよね。これを距離の計算でハッキリ確かめます

STEP 1

AとBの距離を計算する。横の差(ズレ)は 2−1=1。縦の差(キズ)は 1−1=0。これを公式に入れます。
距離 = √(1² + 0²) = √(1 + 0) = √1 = 1.0

STEP 2

AとCの距離を計算する。横の差は 5−1=4。縦の差は 4−1=3。同じ公式に入れます。
距離 = √(4² + 3²) = √(16 + 9) = √25 = 5.0

STEP 3

2つの距離をくらべる。AとBは「1.0」、AとCは「5.0」。距離が短いほど似ているので、AとBのほうがずっと似ている、と数字で証明できました。

💡 ポイント
つまり、クラスター分析は「全部のペアの距離を計算して、近いもの同士からくっつけていく」だけ。電卓があれば手計算でも追えるくらい、仕組みはシンプルなんです。

2つのやり方|「階層型」と「非階層型(k-means法)」の違い

クラスター分析には、大きく分けて2つのやり方があります。名前は難しそうですが、考え方はまったく違うので、たとえで一気に整理しましょう。

① 階層型クラスター分析(下から積み上げる方式)

階層型(かいそうがた)は、「いちばん近い者同士を1組ずつくっつけていく」やり方です。まず2個の最も似たもの同士をペアにし、次に近いものをそのペアに加え……と、少しずつグループを大きくしていきます。最後は全部が1つの大きなグループになります。

この方式の良いところは、あとから「何グループに分けるか」を決められること。くっついていく過程が全部記録されるので、「3グループがちょうどいいな」と後から選べます。少ないデータの分析に向いています。

② 非階層型クラスター分析(k-means法)

非階層型(ひかいそうがた)の代表がk-means法(ケイミーンズほう)です。「k」は分けるグループの数、「means」は平均(重心)という意味。こちらは「先にグループの数を決めてから、データを振り分ける」やり方です。たくさんのデータをサッと分けたいときに向いています。

階層型

  • 近い者から順にくっつける
  • グループ数はあとで決める
  • 樹形図(デンドログラム)が描ける
  • 少ないデータ向き

非階層型(k-means法)

  • 先にグループ数を決めて振り分ける
  • グループ数は最初に決める
  • 樹形図は描けない
  • 大量のデータ向き
🧺 たとえると
階層型は、トーナメント表を下から作るように「似たもの同士をペアにして勝ち上げていく」イメージ。k-means法は、「3つの箱を先に用意して、近い箱にポイポイ放り込む」イメージです。ゴールは同じ"仲間分け"でも、進め方が逆なんですね。

k-means法はどう動く?「重心の引っ越し」を繰り返すだけ

k-means法の動きは、ちょっと意外で面白いです。「グループの中心(重心)を引っ越しさせながら、振り分けをやり直す」のを繰り返します。重心とは、グループに属する点たちの真ん中の位置のこと。やじろべえの支点のような「つり合いの中心」だと思ってください。

STEP 1

グループ数を決め、中心を仮置きする。「3グループに分けよう」と決めたら、とりあえず3つの中心(重心)を適当な場所に置きます。

STEP 2

各データを「いちばん近い中心」に振り分ける。すべての点を、3つの中心のうち最も近いものの仲間にします。

STEP 3

中心を計算し直して引っ越す。振り分けが終わったら、各グループの真ん中(重心)を計算し直し、中心をそこへ動かします。

STEP 4

動かなくなるまで繰り返す。STEP2とSTEP3を、中心が引っ越さなくなるまで繰り返します。落ち着いたら完成です。

つまりk-means法は、「振り分ける→中心を動かす→また振り分ける」をグルグル繰り返して、しっくりくる場所に落ち着かせる方法です。難しい数式の裏側でも、やっていることはこの繰り返しだけなんです。

⚠️ ここで間違えやすい
k-means法は最初の中心を「適当に」置くため、同じデータでも実行するたびに結果が少し変わることがあります。また、極端に外れた値(外れ値)があると中心が引っぱられて、分け方が乱れやすい弱点もあります。「一回やって終わり」ではなく、何度か試すのがコツです。

デンドログラムの読み方|「合流の高さ」だけ見ればいい

階層型クラスター分析の結果は、デンドログラムという図で表されます。「デンドロ」はギリシャ語で「木」という意味。木の枝のように枝分かれした図なので、日本語では樹形図(じゅけいず)とも呼びます。一見ややこしそうですが、見るポイントはたった一つです。

💡 読み方のすべて
「低い位置でくっつく=似ている」「高い位置でくっつく=似ていない」。これだけです。横軸(または縦軸)は距離を表していて、合流する高さが、その2つがどれくらい離れていたかを示します。

不良品の例で考えましょう。AとBが低い位置(距離が短い)で線が合流していたら、「AとBはとても似た不良品」という意味です。逆に、別のグループとうんと高い位置で合流していたら、「そのグループとは全然タイプが違う」とわかります。

何グループに分ければいい?「横線でスパッと切る」

デンドログラムの便利なところは、好きな高さで横線を引いて、木を切れば、その本数がグループ数になることです。低い位置で切れば細かくたくさんのグループに、高い位置で切ればざっくり少ないグループに分かれます。

では、どこで切るのがよいのでしょうか。目安は「合流するまでの高さが急に大きくジャンプする直前」です。高さが大きく飛ぶということは、「似ていない者同士を無理やりくっつけ始めた」という合図。その手前で切れば、似たもの同士だけがきれいに分かれた、ちょうどいいグループ数になります。

✂️ たとえると
家系図を途中で横にスパッと切るイメージです。低い位置で切れば「兄弟ごと」の細かいグループ、高い位置で切れば「一族まるごと」の大きなグループ。どの世代で切るかを自分で選べるのが、デンドログラムの強みです。

よくある質問(FAQ)

Q. クラスター分析とは何ですか?

A. データを「似た者同士」でいくつかのグループ(クラスター)に自動で分ける手法です。正解を教えなくても、特徴の近さだけで分類できます。

Q. デンドログラムの読み方は?

A. 「低い位置で合流=似ている」「高い位置で合流=似ていない」と読みます。好きな高さで横線を引いて切れば、その本数がグループ数になります。

Q. 階層型とk-means法はどう使い分ける?

A. データが少なくグループ数を後で決めたいなら階層型、データが大量で計算を速くしたいならk-means法が向いています。

Q. クラスター分析と判別分析の違いは?

A. クラスター分析は正解なしで自動でグループを作り、判別分析は既にあるグループのどちらに入るかを当てる手法です。出発点が逆です。

Q. 距離はユークリッド距離だけですか?

A. いいえ。マンハッタン距離など他の測り方もありますが、基本はまっすぐな直線の長さ=ユークリッド距離と覚えれば十分です。

まとめ|クラスター分析は「似た者同士の仲間分け」

📌 この記事の要点
  • クラスター分析とは、データを「似た者同士」でグループ(クラスター)に分ける手法。正解を教えなくても自動で分けてくれる。
  • カギは「距離」。点が近い=似ている、遠い=似ていない。基本の測り方はユークリッド距離(まっすぐな直線の長さ)
  • 階層型は近い者から順にくっつけ、あとでグループ数を決める。k-means法は先にグループ数を決めて振り分ける。
  • デンドログラム(樹形図)は「低い位置で合流=似ている」。好きな高さで切れば、その本数がグループ数になる。

クラスター分析は、難しそうな名前とは裏腹に「似たもの同士を仲間にする」というとてもシンプルな発想でできています。最初は戸惑って当然ですが、「近い=似ている」という一本の軸さえ押さえれば、もう怖くありません。

次の一歩として、クラスター分析と仲間の手法(多変量解析)を全体像でつかむと、理解がぐっと深まります。下の関連記事もぜひのぞいてみてください。

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シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

自動車部品メーカーで電気設計・品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめてデータ分析を学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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