💡 こんな悩みを解決する記事です
- センサを配線したのに、PLCの入力ランプがまったく点かない
- シンクとソースを何度調べても、翌週にはまた分からなくなっている
- 「これNPNだから」と言われても、何がどう違うのかピンとこない
- S/S端子をどこにつなげばいいのか、毎回マニュアルを開いている
シンクとソースの違いは、電流が端子に「入ってくる」か「出ていく」かの1点だけです。それだけの話なのに、なぜこれほど多くの人が繰り返しつまずくのか。理由ははっきりしています。説明する人によって「誰から見た向きなのか」がバラバラだからです。
ある本には「シンクは電流を吸い込む」と書いてあり、別のサイトには「シンク入力の端子からは電流が出ていく」と書いてある。どちらも間違いではありません。見ている場所が違うだけです。でもそれを知らずに読むと、頭の中で情報が衝突して、理解したはずのものが次の日には崩れてしまいます。
この記事では、まず電流の向きという1つの原理を押さえ、そのうえで「呼び名が誰目線で決まっているのか」を表で固定します。ここを一度整理してしまえば、もう調べ直す必要はなくなります。
✅ 結論:シンクとソースは必ず「ペア」になります
シンクは電流を吸い込む側、ソースは電流を吐き出す側です。回路が成立するには、片方が出して、もう片方が受け取る必要があります。だから「シンク同士」「ソース同士」の接続は絶対に成立しません。
NPNセンサ(シンク) ⇔ シンク入力のPLC
PNPセンサ(ソース) ⇔ ソース入力のPLC
📌 この記事で扱う範囲
扱うこと:シンクとソースの定義、電流経路の違い、NPN/PNPセンサとの対応関係、呼び名が混乱する理由、三菱S/S端子の考え方、間違えたときの症状と見分け方。
扱わないこと:センサの種類ごとの選び方、2線式センサの漏れ電流対策、出力側のリレー・トランジスタ比較は、それぞれ別記事で扱います。ここは「電流の向き」に集中します。
シンクとソースの違いとは?電流の向きが逆なだけです
シンクとは電流がその端子に流れ込むこと、ソースとは電流がその端子から流れ出ることを指します。これがすべての土台です。難しい理論は一切ありません。
言葉の意味そのままで覚えられる
英語の意味を知ると、一気に腹落ちします。sinkは台所の「シンク」と同じ単語で、水が吸い込まれていく場所のことです。sourceは「源」、つまり水が湧き出てくる場所です。
電気の世界でも意味はそのままです。電流を吸い込む側がシンク、電流を送り出す側がソース。水道の蛇口(ソース)から出た水が、排水口(シンク)に吸い込まれていく。この絵をそのまま電流に置き換えれば、それが答えです。
電流は必ず「+24Vから出て、0Vに戻る」
FAの制御回路は、ほとんどがDC24Vで動いています。プラス側の電線が+24V、マイナス側が0Vです。電流はこの2本の間を、必ず+24Vから0Vへ向かって流れます。
センサとPLCは、この2本の間に直列に並んでいます。つまり+24V → どちらか一方 → もう一方 → 0Vという順番です。この「どちらが先に来るか」の違いが、そのままシンクとソースの違いになります。
| 項目 | シンク接続 | ソース接続 |
|---|---|---|
| 電流の並び順 | +24V → PLC → センサ → 0V | +24V → センサ → PLC → 0V |
| センサの信号線 | 電流を吸い込む | 電流を吐き出す |
| センサの出力形式 | NPN | PNP |
| ON時の信号線の電圧 | 約0V(0Vにつながる) | 約24V(24Vにつながる) |
| 主に使われる地域 | 日本・アジア | 欧州・北米 |
💡 電流の流れが不安な方へ
「電流が+から-へ流れる」という前提が曖昧だと、この先の理解が崩れます。電圧・電流・抵抗の関係を水の流れで整理したオームの法則の記事を先に読んでおくと、この記事の図がすべて自然に見えるようになります。
この章のまとめ:シンクは吸い込む側、ソースは吐き出す側。回路上でセンサとPLCのどちらが先に来るかの違いです。

なぜ混乱するのか?「誰から見た向きか」が統一されていないから
シンクとソースが分からなくなる最大の原因は、PLCの入力だけが「相手の名前」で呼ばれているという業界の慣習にあります。ここが本記事の核心です。
先に結論から言ってしまいます。センサとPLCの出力は自分の端子から見た向きで名前が付いています。ところがPLCの入力だけは、つなぐ相手のタイプで名前が付いているのです。
| 呼び名 | 名前の由来 | 実際の端子での電流 |
|---|---|---|
| シンクタイプのセンサ(NPN) | 自分の端子から見た向き | 信号線に流れ込む |
| ソースタイプのセンサ(PNP) | 自分の端子から見た向き | 信号線から流れ出る |
| シンク出力のPLC | 自分の端子から見た向き | 出力端子に流れ込む |
| ソース出力のPLC | 自分の端子から見た向き | 出力端子から流れ出る |
| シンク入力のPLC | つなぐ相手(NPN)の名前 | 入力端子から流れ出る |
| ソース入力のPLC | つなぐ相手(PNP)の名前 | 入力端子に流れ込む |
黄色い行を見てください。「シンク入力」なのに、電流は端子から流れ出ている。言葉と現象が逆転しています。ここに気づかないまま図と文章を突き合わせると、必ず混乱します。多くの人が「何度覚えても忘れる」と感じるのは、頭が良くないからではなく、この矛盾を無意識に検知しているからです。
では、なぜこんな呼び方になっているのか。理由はシンプルで、ユーザーが選ぶのはセンサだからです。「うちはNPNセンサを使うから、それに対応した入力ユニットをください」という会話が自然に成立するよう、入力側は相手の名前で呼ばれています。不便に見えて、実務的には理にかなった命名なのです。
⚠️ 記憶すべきはこの1行だけ
細かい理屈を全部忘れても、「NPNセンサ=シンク入力」「PNPセンサ=ソース入力」という対応さえ覚えていれば、現場で困ることはありません。電流の向きは、迷ったときに立ち返るための保険だと考えてください。
この章のまとめ:PLCの入力だけは「つなぐ相手の名前」で呼ばれます。この例外を知っておけば混乱は起きません。


NPNセンサとPNPセンサの中身は、スイッチの位置が違うだけ
NPNセンサとPNPセンサの違いは、内部のスイッチ(トランジスタ)が0V側に付いているか、+24V側に付いているかの違いです。難しそうな名前ですが、構造は驚くほど単純です。
3線式センサには、茶・青・黒の3本の電線が出ています。茶が+24V、青が0V、黒が信号線です。このうち茶と青はセンサ自身を動かすための電源で、実際に情報を伝えているのは黒の1本だけです。
NPNセンサ:黒線を0Vにつなぐスイッチ
NPNセンサは、物を検出すると黒線と青線(0V)を内部でつなぎます。すると黒線は0Vになります。PLCから見ると、それまで宙ぶらりんだった線が急に0Vに落ちるので、そこへ向かって電流が流れ出す。この流れ出した電流をセンサが吸い込むので、シンクタイプと呼ばれます。
PNPセンサ:黒線を+24Vにつなぐスイッチ
PNPセンサは逆です。物を検出すると黒線と茶線(+24V)を内部でつなぎます。黒線が24Vになり、そこからPLCへ向かって電流が押し出される。電流を送り出すので、ソースタイプです。
| 電線の色 | 役割 | 接続先 |
|---|---|---|
| 茶(Brown) | 電源プラス | +24V |
| 青(Blue) | 電源マイナス | 0V |
| 黒(Black) | 出力信号 | PLCの入力端子 |
| 白(White) | 第2出力(4線式のみ) | 別の入力端子 |
☕ 部屋の照明スイッチで考える
部屋の照明を消すとき、スイッチは電線の「上流」に付けても「下流」に付けても、照明は同じように消えます。NPNとPNPの違いは、まさにこのスイッチの取り付け位置の違いです。動作としてやっていることは同じ。ただ、どちら側で切るかによって、つなぐ相手に求められる条件が変わってしまうのです。
この章のまとめ:NPNは黒線を0Vに落とすスイッチ、PNPは黒線を24Vに上げるスイッチ。構造の違いはそれだけです。

S/S端子とは?1本のジャンパで切り替わる仕組み
S/S端子とは、その入力ユニットをシンク入力として使うかソース入力として使うかを、配線1本で切り替えるための共通端子です。三菱電機のMELSEC-Fシリーズなどに搭載されています。
S/Sという名前は、Sink/Sourceの頭文字です。ここをどこにつなぐかで、入力回路全体の向きが決まります。
S/S端子を「24V」につなぐ → シンク入力
入力端子(X0など)と0Vの間を短絡するとONになります。NPNセンサを接続する場合はこちらです。日本国内の設備は、ほとんどがこの配線です。
S/S端子を「0V」につなぐ → ソース入力
入力端子と24Vの間を短絡するとONになります。PNPセンサを接続する場合、および海外向け装置ではこちらです。
重要なのは、S/S端子の設定はユニット全体に効くという点です。同じユニットの中で「X0だけシンク、X1はソース」という使い方はできません。NPNとPNPが混在する設備では、入力ユニットを分けるか、いずれかに統一する判断が必要になります。
⚠️ すべての機種で切り替えられるわけではありません
S/S端子を持つのは主に端子台タイプの機種です。コネクタ接続タイプの一部にはシンク入力専用のものがあり、その場合PNPセンサは物理的に接続できません。機種選定の段階で、使うセンサのタイプを確定させておくことが手戻りを防ぐ最大のポイントです。
💡 覚え方のコツ
「S/Sをつないだ側と反対側を入力端子に短絡するとONになる」。S/Sが24Vなら0Vで、S/Sが0Vなら24VでONです。これは回路が+24Vから0Vまで一周つながる必要がある、という当たり前の話を言い換えただけです。
この章のまとめ:S/Sを24Vにつなげばシンク入力、0Vにつなげばソース入力。設定はユニット単位で効きます。

🌏 なぜ日本はNPN、欧州はPNPなのか?──「安全思想の違い」でした
ここまで読んで、こう思いませんでしたか?
「どっちか片方に統一してくれれば、こんなに悩まなくて済んだのに……」
まったくその通りです。でも、この分裂にはそれぞれちゃんとした理由があります。理由がわかると、暗記ではなく「納得」で覚えられるようになります。
日本がNPNを選んだ理由|「安かったから」
身も蓋もない話ですが、これが最大の理由です。
1960〜70年代、トランジスタの製造技術上、NPNトランジスタのほうがPNPより作りやすく、安く、性能が良いという事情がありました。半導体の材料であるシリコンの中では、電子(マイナスの粒)のほうが正孔(プラスの穴)より約3倍速く動けるからです。
💡 かんたんに言うと
「NPNのほうが素直に速く動いて、しかも安い」。日本のFA機器メーカーは、この“コスパの良いNPN”を前提に製品を作りました。そして一度そのルールで工場が埋まってしまうと、もう変えられません。今の日本の現場は、50年前のコスト判断の上に立っているわけです。
欧州がPNPを選んだ理由|「安全だから」
一方、欧州はコストより安全を選びました。ポイントは「電線が傷ついて、機械のフレーム(金属の箱)に触れてしまったとき、何が起きるか」です。
工場の制御盤では、24V電源のマイナス側(0V)をフレームに接続(アース)するのが一般的です。この状態で、信号線がフレームに触れると──
| 方式 | 信号線がフレームに触れると… | 結果 |
|---|---|---|
| NPN (シンク) |
信号線は0V側につながる線。フレーム(=0V)に触れると、センサが動いていないのに「0Vにつながった」状態が完成してしまう。 | ⚠ 勝手にONになる (機械が動き出す) |
| PNP (ソース) |
信号線は24V側につながる線。フレーム(=0V)に触れると、24Vと0Vが直結=ショート。 | ✅ ヒューズが切れて止まる (機械は動かない) |
⚠ ここが決定的な差です
故障したときに「勝手に動く」のか「止まる」のか。安全の世界では、壊れたときに安全側に倒れることをフェールセーフと呼びます。欧州の機械安全規格(IEC 60204-1)は、地絡が起きても意図しない動作が起きない配線を求めており、この考え方に素直に合うのがPNP(ソース)だったのです。
つまり、NPNは「安さの選択」、PNPは「安全の選択」。優劣というより、時代と価値観の違いです。ただし近年は日本国内でも、輸出装置や安全規格対応の現場を中心にPNP(ソース)が確実に増えています。これから覚えるなら、「PNPが世界標準になりつつある」と頭に入れておくと損をしません。
📌 実務での判断ルール
・国内向け・既存ライン増設 → NPN(シンク)に合わせる(周りと揃えるのが正義)
・輸出装置・CEマーキング対応 → PNP(ソース)で統一
・新規ライン → PNPで統一しておくと将来の海外展開がラク

🔍 「動かない!」を5分で切り分ける|症状別・現場診断マニュアル
ここからは実戦編です。現場で起きるトラブルのほとんどは、次の4パターンのどれかに当てはまります。印刷して制御盤に貼っておいてもいいくらいの内容です。
症状①|センサのランプは点くのに、PLCの入力ランプが点かない
✅ 犯人はほぼ100%「極性の不一致」です
センサ自身は元気に動いています(=センサは正常)。でもPLCが受け取れていない。つまりNPNセンサをソース入力に、あるいはPNPセンサをシンク入力につないでいる状態です。
確認手順:
- センサ本体の型番末尾を見る(例:
-PやPNPの表記があるか) - PLCのS/S端子(三菱の場合)に何がつながっているか確認する
- S/S=24V ならシンク入力=NPNセンサ用/S/S=0V ならソース入力=PNPセンサ用
症状②|入力がずっとONのまま/ずっとOFFのまま
これはテスター1本で判定できます。入力端子と0Vの間の電圧を測ってください。正常な状態は次の通りです。
| 方式 | センサOFFのとき | センサONのとき |
|---|---|---|
| シンク入力 (NPNセンサ) |
約 24V | 約 0〜2V |
| ソース入力 (PNPセンサ) |
約 0V | 約 22〜24V |
💡 読み取り方のコツ
センサをON/OFFさせても電圧がまったく変化しないなら、断線・センサ故障・電源未供給のいずれか。変化はするのにPLCが反応しないなら、入力ユニットの故障か、コモン(S/S)配線ミスです。「変化するか/しないか」で犯人が半分に絞れます。
症状③|入力ランプが薄く点灯する/チラつく
これは漏れ電流(リーク電流)が原因であることが多いです。2線式センサや近接スイッチは、OFFのときも「自分が生きるための電流」をわずかに流し続けています。この微弱な電流をPLCが「ONかも?」と誤検知してしまうのです。
🔧 対処法
入力端子と0Vの間にブリーダ抵抗(ダミー抵抗)を並列に入れ、漏れ電流を逃がします。目安は数kΩ〜十数kΩ。ただし抵抗値・電力(W)はセンサとPLCの仕様書から必ず計算してください。
※抵抗にかかる電圧と電流から消費電力を求める考え方は、オームの法則そのものです。自信がない方は先に基礎を固めておくと安心です。
→ オームの法則を水道管でイメージする記事はこちら
症状④|つないだ瞬間にセンサが壊れた/煙が出た
⚠ 最悪のパターン。原因は「出力線を電源に直結」です
NPNセンサの出力線(黒)をうっかり24Vに、PNPセンサの出力線(黒)をうっかり0Vにつなぐと、負荷(抵抗)を通らずに電流が流れ、内部のトランジスタが一瞬で焼けます。
予防策:茶(+24V)・青(0V)・黒(出力)の色分けを死守すること。そして通電前に、必ず「黒線の先が、負荷を通ってから電源に戻っているか」を指でなぞって確認してください。この30秒でセンサ1個分のお金が守れます。
🧭 この章のまとめ
・センサのランプが点くのにPLCが反応しない → 極性ミス
・入力が張り付く/反応しない → テスターで電圧の変化を見る
・チラつく → 漏れ電流。ブリーダ抵抗で対処
・壊れた → 出力線の直結。色分けを守る


❓ よくある質問(FAQ)
📝 まとめ|「電流がどっちに流れるか」だけ見ればいい
🎯 この記事の要点
① シンク=電流を吸い込む、ソース=電流を吐き出す。台所の「流し」で覚える。
② NPNセンサ=シンク入力、PNPセンサ=ソース入力。この対応表がすべて。
③ 三菱FXならS/S端子に24V=シンク/0V=ソース。ここを間違えると全入力が死ぬ。
④ 日本がNPNなのは安かったから、欧州がPNPなのは地絡時に安全だから。
⑤ センサのランプが点くのにPLCが反応しない=ほぼ極性ミス。
⑥ 新規設計はPNP(ソース)統一が無難。ただし既存ラインは既存に合わせる。
シンクとソースは、FAを学び始めた人がほぼ全員つまずくポイントです。でも、つまずくのはあなたの理解力が足りないからではありません。「どっち視点で呼んでいるのか」が曖昧なまま現場用語だけが飛び交っているからです。
この記事の1枚の図が、あなたの中に残ってくれたら嬉しいです。次に制御盤の前に立ったとき、きっと落ち着いて配線図が読めるはずですよ。
🚪 次に読むべき記事
FA・制御設計|仕組み
FAの仕組みを図解|センサ→PLC→アンプ→モータ「信号の旅」を追う
配線の極性がわかったら、次は「その信号がどこへ行き、何ミリ秒で機械を動かすのか」を追いかけましょう。センサが反応してからモータが回るまでの約32ミリ秒を、1つずつ分解して図解しました。
記事を読む →FA・制御設計|入門
FA(ファクトリーオートメーション)とは?全体像を1記事で理解する
そもそもFAとは何か、5層構造と6つの主要機器、そして学習ロードマップまで。「自分は今どこを学んでいるのか」を見失わないための地図です。
記事を読む →✍ この記事を書いた人
シラス(@shirasusolo)
30代のメーカー電気設計エンジニア。電験三種/QC検定などの資格を保有し、「専門知識を、誰にでもわかる言葉で」をテーマに技術ブログsoloblogを運営しています。HSP気質で騒がしい現場は少し苦手ですが、静かに図面と向き合う時間は大好きです。
※本記事の配線仕様は三菱電機・オムロン各社の公開マニュアルを参照しています。実際の設計・施工の際は、必ずご使用機器の最新の取扱説明書をご確認ください。