実験計画法

実験の3原則|ランダム化・反復・局所管理を図解|実験計画法の基礎概念⑤

📌 この記事の位置づけ

「実験計画法の基礎概念シリーズ」第5回。前回は「繰り返し」の重要性を学びました。今回は実験計画法の土台となる「3つの原則」を解説します。

「ランダム化?反復?局所管理?何それ?」

「実験ってただやればいいんじゃないの?」

実は、この3原則を守らないと、どんなに頑張っても正しい結論が出せないのです。

統計学の父・フィッシャーが提唱した「鉄の掟」を、わかりやすく解説します。

実験の3原則とは?【フィッシャーの鉄の掟】

実験計画法には、絶対に守るべき3つのルールがあります。

これは、統計学の父と呼ばれるロナルド・フィッシャーが1920年代に提唱したものです。

📖 実験の3原則(フィッシャーの3原則)

① ランダム化 実験の順序をランダム(無作為)にする
反復 同じ条件で複数回実験する
③ 局所管理 似た条件のものをグループ化する

1つずつ、具体例を交えて解説していきます。

① ランダム化【実験順序をシャッフルする】

🎲 ランダム化とは?

ランダム化とは、実験を行う順序をランダム(無作為)に決めることです。

英語では「Randomization(ランダマイゼーション)」と言います。

目的:時間の経過や環境変化など、コントロールできない要因の影響を、すべての条件に均等に散らばらせること。

❌ ランダム化しないとどうなる?

たとえば、3つの条件(A、B、C)を順番通りにテストするとします。

❌ 順番通りに実験した場合

朝9時 → 条件A
昼12時 → 条件B
夕方17時 → 条件C

→ もし「条件Cの結果が悪い」となっても、それは条件のせい?それとも夕方で疲れていたから?区別できない!

時間帯によって室温が変わったり、機械が温まったり、作業者が疲れたり…。こうした「時間の流れに伴う変化」が、特定の条件だけに偏ってしまいます。

⭕ ランダムに実験した場合

朝9時 → 条件B
昼12時 → 条件A
夕方17時 → 条件C
翌朝9時 → 条件C
…(サイコロで決める)

→ 時間帯の影響が、すべての条件に均等に散らばる!

ランダム化によって、「見えない偏り」を防ぐことができるのです。

② 反復【同じ条件を複数回やる】

🔄 反復とは?

反復とは、同一条件の実験を複数回行うことです。

英語では「Replication(レプリケーション)」と言います。

目的:データのバラつき(誤差)の大きさを把握し、結果の信頼性を高めること。

これは前回の「繰り返し」の記事で詳しく解説しました。

1回だけの結果は「たまたま」かもしれない。だから複数回やって、本当の効果かどうかを確かめるのです。

③ 局所管理【似た者同士をグループ化】

📦 局所管理とは?

局所管理とは、似た条件のものをグループ(ブロック)化して、その中で比較することです。

英語では「Local Control(ローカルコントロール)」または「Blocking(ブロッキング)」と言います。

目的:実験環境のバラつき(ロット差、機械差、日差など)を除去し、因子の効果だけを正確に比較すること。

🌾 農業で考える局所管理

フィッシャーは農業試験場で働いていました。畑での実験を例に考えてみましょう。

「肥料Aと肥料B、どちらが良いか?」を調べたいとします。

❌ 局所管理なしの場合

・畑の「北側」に肥料Aをまく
・畑の「南側」に肥料Bをまく

→ 南側の方が日当たりが良くて育ちやすい場合、肥料の効果なのか、日当たりのせいなのか区別できない!

⭕ 局所管理ありの場合

畑を「北ブロック」「中ブロック」「南ブロック」に分ける。
各ブロック内で、肥料AとBを両方テストする。

→ 各ブロック内で比較するから、日当たりの影響を除去できる!

局所管理によって、「ノイズ(邪魔な変動)」を取り除き、純粋な因子の効果だけを見られるようになります。

3原則の関係【セットで使う】

この3つは、どれか1つだけではなく、セットで使うことで効果を発揮します。

原則 何を防ぐ? キーワード
ランダム化 系統的な偏り 🎲 シャッフル
反復 「たまたま」の誤認 🔄 繰り返す
局所管理 環境差によるノイズ 📦 グループ化

3つの原則を守ることで、「本当に因子の効果があったのか?」を統計的に証明できる実験になります。

まとめ

📌 この記事のポイント

  • 実験の3原則=ランダム化・反復・局所管理
  • ランダム化:順序をシャッフルして偏りを防ぐ
  • 反復:複数回やって「たまたま」を排除
  • 局所管理:似た条件をグループ化してノイズを除去
  • 3つセットで使うことで、信頼できる結論が出せる

次の記事では、混同しやすい「繰り返しと反復の違い」を解説します。「え、同じじゃないの?」と思った方は要チェックです。

📚 次に読む記事

「繰り返し」と「反復」は同じ意味?実は違います。この違いを知らないと、誤差の見積もりを間違えます。実験順序の罠を図解で解説します。

繰り返しと反復の違い|基礎概念⑥ →

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