日常統計学

【日常統計学】推しを1位にするには?総選挙の勝敗を分ける「パレートの法則」と太客の力

こんにちは、シラスです。

アイドルの総選挙や、VTuberの投げ銭ランキング。
ここで1位を取る人には、ある共通の「統計的特徴」があります。

それは、「ファンの数」が多いことではありません。

「Aちゃんの方がフォロワー数は多いのに、なんで総選挙ではBちゃんが勝つの?」
「知名度は高いはずなのに、ランキングは圏外…」

こんな逆転現象が起きる理由は、統計学の有名な法則「パレートの法則(2:8の法則)」で説明できます。

今日は、推し活という熱狂の世界を、冷徹な「数字」の視点から分析してみましょう。

1. パレートの法則とは?:世界の不均衡

まずは法則のおさらいです。

「全体の数値の8割は、
全体を構成する要素のうちの2割が生み出している」

これはビジネスの世界でよく使われます。

  • 売上の8割は、全顧客の上位2割(常連客)が作っている。
  • 仕事の成果の8割は、勤務時間の2割(集中タイム)で出している。

そして、これは「推し活(総選挙)」の世界でも残酷なほど当てはまります。

2. 票の内訳:浮動票 vs 太客

総選挙の得票数を分解してみましょう。
ファンには大きく分けて2種類います。

① ライト層(浮動票)

「テレビで見て可愛いと思った」「曲が好き」という層。
人数は多い(全体の8割)ですが、1人あたり「1票(CD1枚)」しか入れません。

② コア層(太客)

「推しのためなら生活費を削る」という層。
人数は少ない(全体の2割)ですが、1人で「100票、1000票」を投入します。


では、どちらが勝敗を決めるのか計算してみましょう。

アイドルXの場合(ファン総数 10,000人)

  • ライト層(8,000人):
    8,000人 × 1票 = 8,000票
  • コア層(2,000人):
    2,000人 × 50票(平均) = 100,000票
  • 合計: 108,000票

衝撃的な結果です。
全体の票数のうち、92%以上が「少数のコア層」によって作られているのです。

3. 1位になるための戦略

この構造を理解すると、ランキングで勝つための戦略が見えてきます。

「知名度を上げて、ファンを増やそう!(ライト層の拡大)」
これは、実は遠回りです。8000人のライト層を倍の16000人にしても、票数はたった8000票しか増えません。

正解は、「今いる2割のコア層の熱量をさらに上げること(LTVの向上)」です。
彼らが「あと10票追加しよう」と思うだけで、一気に2万票も増えるからです。

「広く浅く」ではなく、「狭く深く」。

選挙に強いアイドルが、テレビ(大衆)よりも握手会や劇場(現場)を大切にするのは、統計的に極めて合理的な判断なのです。

まとめ

パレートの法則:成果の8割は、2割の要素が生み出す。
✅ 総選挙の勝敗は、ファンの人数ではなく「太客(コア層)の熱量」で決まる。
✅ 1位を目指すなら、浮動票集めよりも、既存ファンを大切にすべき。

もしあなたが誰かを「推して」いるなら。
あなたのその1票(あるいは100票)は、ライト層の何百人分もの価値がある「重い1票」です。

自信を持って推してください。
ランキングを動かしているのは、紛れもなくあなた自身なのですから。

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