日常統計学

【日常統計学】ガチャの神引きは奇跡?「10連でSSR3枚」が誰かに必ず起きる理由

こんにちは、シラスです。

SNSを見ていると、こんな投稿が流れてくることがあります。

ユーザーA

「えっ、待って。無料10連でSSR3枚抜きしたんだけど!?今年の運使い果たしたかも😭✨」
#神引き #ガチャ

これを見て、「うわぁ、すごい確率!選ばれた人間だ!」と羨ましくなるかもしれません。
一方で、自分のガチャ結果を見て「なんで自分だけ爆死するんだ…」と落ち込むこともあるでしょう。

しかし、統計学的に見れば、この神引きは「奇跡」でも何でもありません。
何万人ものプレイヤーがいれば、誰かには「必ず(必然的に)」起こる現象なのです。

今日は、ガチャという身近な運試しを題材に、確率のカラクリと人間の心理バイアスについて解説します。

1. 「1%」の本当の意味

まず、ガチャの確率計算をしてみましょう。
例えば、SSR(最高レア)の排出率が「1%」だとします。

「100回引けば1回は当たるだろう」
多くの人は直感的にそう考えますが、現実はもっとシビアです。

100連で1枚も当たらない確率

$(0.99)^{100} \approx 0.366$

つまり、約37%(3人に1人)は爆死します。

逆に言えば、63%の人は当たります。
しかし、「3人に1人は1万円使っても何も得られない」というのは、確率的にはごくありふれた日常なのです。

2. 「10連で3枚抜き」の確率は?

では、冒頭の「10連で1%のSSRが3枚出る」確率はどれくらいでしょうか?
これは「二項分布」を使って計算できます。

  • 計算式: $_{10}C_3 \times (0.01)^3 \times (0.99)^7$
  • 答え: 約 0.00011
  • パーセント: 約 0.01%(1万人に1人)

「0.01%!やっぱり奇跡じゃないか!」
そう思いますよね。

しかし、ここで視点を「個人」から「全体」に変えてみましょう。

プレイヤー数という分母

人気ゲームのアクティブユーザー数が100万人だと仮定します。
全員が10連ガチャを一回引いたとしたら、どうなるでしょうか?

$1,000,000 \text{人} \times 0.01\% = 100 \text{人}$

なんと、100人ものプレイヤーが「10連3枚抜き」を達成することになります。

その100人のうち、何人かが嬉しくてSNSにスクショを投稿します。
あなたのタイムラインに「神引き報告」が流れてくるのは、奇跡でも何でもなく、「大数の法則(試行回数の暴力)」による必然なのです。

3. なぜ「自分だけ運が悪い」と感じるのか?

SNSでは神引きばかりが目立ちますが、その裏には「何も当たらなかった99.99%の沈黙」があります。

  • 当たった人は、嬉しくて投稿する(生存者バイアス)。
  • 外れた人は、何も投稿しない(死人に口なし)。

このフィルターを通した情報だけを見ていると、脳が錯覚を起こします。
「みんな当たってるのに、なんで俺だけ…」

いいえ、安心してください。
あなたと同じように外れた何十万人もの同志たちが、画面の向こうで静かにスマホを閉じているのです。

まとめ

✅ ガチャの神引きは、個人レベルでは奇跡だが、全体レベルでは日常茶飯事
✅ 1%の確率でも、100万人引けば1万人が当たる。
✅ SNSの報告は「氷山の一角」。見えない大多数の爆死を想像しよう。

確率の仕組みを知っていれば、他人の神引きを見ても「ああ、今日は君の番だったんだね」と冷静でいられます。
そして、自分が爆死しても「まあ、37%の確率で起きる普通の現象だしな」とダメージを減らせます。

統計学は、感情が揺さぶられがちな現代社会において、心を平穏に保つための「精神安定剤」にもなるのです。

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