- 「F=BIL」って、そもそも何のこと?
- フレミング左手の法則が、どうしても覚えられない
- モーターがなぜ回るのか、図でわかりやすく知りたい
- 2本の電線が引き合うって、どういうこと?
- 電磁力 F=BIL が「電線が押される力」だとスッとわかる
- フレミング左手の法則を、もう忘れない覚え方
- 身近なモーターが回る仕組みを、図で理解できる
「電磁力(でんじりょく)」と聞くと、なんだか難しそうに感じますよね。でも、正体はとてもシンプルです。磁石のそばで電線に電流を流すと、電線がピクッと動く。ただそれだけの現象を表したものなんです。
この記事では、電気がはじめての人でも理解できるように、電磁力の公式「F=BIL」を図とたとえでやさしく解説します。読み終わるころには、フレミング左手の法則を覚え、モーターがなぜ回るのかまで、自分の言葉で説明できるようになります。
電磁力とは、磁石のそばで電線に電流を流すと、その電線が押される力のことです。公式は F=B×I×L。磁石が強いほど(B)、電流が大きいほど(I)、電線が長いほど(L)、力は強くなります。この力こそが、扇風機や電車のモーターを回している正体です。
なお、この記事を読むには「磁界(じかい)」と「電流(でんりゅう)」がなんとなくわかっていると安心です。あやしいな…という方は、先にそもそも「電気」って何?|電子・電流・エネルギーの正体を5分で理解するを読んでおくと、この先がぐっとラクになります。
目次
そもそも「電磁力」って何?
電磁力とは、磁界(磁石の力がはたらく空間)の中に置いた電線に電流を流したとき、電線が受ける力のことです。「電気」と「磁石」が組み合わさって生まれる力なので、「電磁力」と呼ばれます。
具体的にイメージしてみましょう。磁石のN極とS極の間に、まっすぐな電線を置きます。そこに電流をスイッチオンすると——電線がスッと横に動きます。これが電磁力です。電流が逆向きなら、動く方向も逆になります。
プールの中で手を動かすと、水から「押し返す力」を感じますよね。磁界という“見えないプール”の中で電流を流すと、電線も同じように力を受ける——そんなイメージです。
この電磁力は「ローレンツ力(りょく)」とも呼ばれます。テストや参考書で両方の名前が出てきますが、同じものを指していると思って大丈夫です。
電磁力が生まれる材料は3つ。「磁石(磁界)」「電流」「電線」です。この3つがそろうと、力が生まれます。次は、その力の大きさを計算する公式を見ていきましょう。

公式「F=BIL」の意味を1つずつ
電磁力の大きさは、次の公式で計算できます。記号が並んでいて身構えるかもしれませんが、1つずつほぐせば全然こわくありません。
F = B × I × L
それぞれの記号の意味を、表で確認します。専門用語はその場で言い換えるので安心してください。
| 記号 | 意味(かんたんに言うと) | 単位 |
|---|---|---|
| F | 電磁力(電線が押される力の強さ) | N(ニュートン) |
| B | 磁束密度(磁石の力の強さ) | T(テスラ) |
| I | 電流(流れる電気の量) | A(アンペア) |
| L | 導体の長さ(電線の長さ) | m(メートル) |
公式が伝えていることは、とてもシンプルです。磁石が強いほど、電流が大きいほど、電線が長いほど、受ける力は大きくなる。3つをかけ算するだけなので、どれか1つを2倍にすれば、力も2倍になります。
「磁束密度(B)」は、ざっくり「磁石の力の強さ」と思えばOK。ただ、似た言葉に「磁界の強さ(H)」があり混同しやすいです。違いをスッキリさせたい方は関連記事で確認しましょう。
磁束密度Bと磁界Hの違いでモヤモヤする方は、磁界Hと磁束密度Bの違いを完全理解|HとBを混同しないための実践ガイドがおすすめです。そもそも磁気って何?という方は磁気とは何か?|磁力線・磁束・磁束密度の基礎からどうぞ。

数字を入れて計算してみよう
公式は、実際に数字を入れてみると一気に身近になります。とてもやさしい例で計算してみましょう。
磁束密度 B=0.5T の磁界の中に、長さ L=0.2m の電線を置き、I=10A の電流を流しました。電線が受ける力 F はいくつ?
公式を書きます。
F = B × I × L。
数字を入れます。
F = 0.5 × 10 × 0.2。
かけ算します。まず 0.5 × 10 = 5。次に 5 × 0.2 = 1。
答えは F = 1 N(ニュートン)。電線は1Nの力で押される、ということです。
「1N」というのは、だいたい100gのリンゴを手のひらに乗せたときの重さくらいの力です。電線がそれだけの力でグイッと押される、とイメージするとリアルですね。
単位をそろえるのが大事です(B→T、I→A、L→m)。また、この公式は「磁界と電線が直角に交わっている」のが前提。斜めの場合は別の計算が必要になるので注意しましょう。

力の向きは「フレミング左手の法則」で一発
公式 F=BIL で力の「大きさ」はわかりました。でも、「力はどっち向きに働くの?」という疑問が残りますよね。それを解決するのが、フレミング左手の法則です。
左手の親指・人差し指・中指を、それぞれ直角になるように開きます。すると、3本の指がそれぞれ「力・磁界・電流」の向きを表してくれるのです。
| 指 | 表すもの | 覚え方 |
|---|---|---|
| 親指 | 力(F) | 親(おや)は力持ち |
| 人差し指 | 磁界(B) | 人(ひと)は磁石が好き |
| 中指 | 電流(I) | 中(なか)は電流が流れる |
「親(F)は磁石(B)で中電流(I)」——親指から順に F・B・I と覚えるだけ。試験中に左手をそっと開けば、いつでも確認できます。
使い方の3ステップ
人差し指を磁界の向き(N極→S極)に向ける。
中指を電流の向き(プラス→マイナス)に向ける。
残った親指が指す向きが、力(F)の向き!
うっかり右手を使ってしまうミスが多発します。右手は「発電機(電流を作る側)」用です。電磁力で電線が動く話は、必ず左手。「左手=モーター、右手=発電機」とセットで覚えましょう。
左手の法則をもっとじっくり練習したい方はフレミングの左手の法則|電動機(モーター)の原理をマスター、対になる右手はフレミングの右手の法則|発電機の原理でどうぞ。左右セットで覚えると混乱しません。

2本の電線が引き合う・反発する話
電磁力の応用として、もう1つ覚えておきたいのが「平行導線間の力」です。2本の電線を平行に並べて両方に電流を流すと、電線同士が引き合ったり、反発したりします。これも電磁力の仲間です。
なぜそうなるかというと、電流が流れる電線のまわりには磁界ができ、その磁界がとなりの電線に F=BIL の力を及ぼすからです。向きは、電流の流れ方で決まります。
電流が同じ向き → 引き合う
同じ方向=仲良し=吸引力(くっつこうとする)
電流が逆向き → 反発する
逆方向=ケンカ=反発力(離れようとする)
「同じ向き=仲良し=引き合う」「逆向き=ケンカ=反発」。磁石のN・S(異極が引き合う)とは逆なので、混同しないよう注意です。
力の大きさは次の公式で表されます。記号が多いですが、電験を目指す人向けなので、まずは「電流が大きいほど強く、離れるほど弱い」とだけ押さえれば十分です。
F = (μ₀ × I₁ × I₂ × L) ÷ (2π × d)
μ₀(ミューゼロ)は「真空の透磁率」という決まった定数で、4π×10⁻⁷ H/m。I₁・I₂はそれぞれの電線の電流、dは電線どうしの距離です。μ₀の値は試験では問題文に書いてあることが多いので、無理に暗記しなくても大丈夫です。
この公式は電験三種を目指す人向けの内容です。「モーターの仕組みが知りたいだけ」という方は、ここは飛ばして次のモーターの話へ進んでOKです。

モーターが回るのも、すべてF=BILのおかげ
いよいよ、電磁力のいちばん有名な応用です。扇風機も電車も動かしている「モーター(電動機)」。これは、電磁力を使って電気を回転の力に変える装置です。
モーターの基本は3つの部品
- 磁石(N極とS極):磁界(B)をつくる
- コイル(電線をぐるぐる巻いたもの):電流(I)を流す
- 整流子(せいりゅうし):電流の向きを切り替えるスイッチ役
コイルに電流を流すと、フレミング左手の法則によって、コイルの片側は上向き、反対側は下向きの力を受けます。上と下で逆向きの力がかかるので、コイルがクルッと回り始めます。
なぜ「回り続ける」のか?
ここがモーターの面白いところです。もし電流の向きがずっと同じだと、コイルは90度回ったところで力のつり合いがとれて止まってしまいます。ブランコが一番高い位置で一瞬止まるのと似ています。
そこで活躍するのが「整流子」です。コイルが半回転するたびに電流の向きを自動で切り替え、いつも同じ方向に回す力をかけ続けます。これで、コイルはぐるぐる回り続けるのです。
ブランコを押すとき、相手が戻ってくる絶妙なタイミングで押し続けると、ずっと揺れますよね。整流子は、その“押すタイミング”を自動で合わせてくれる係なのです。
私たちの身の回りは、モーターだらけです。扇風機、洗濯機、電車、ドローン、パソコンのファン——これらはすべて、F=BIL の電磁力で動いています。モーターの仕組みをもっと知りたい方はモーターはなぜ回る?|洗濯機・扇風機の「回転する電気の力」を中学生でもわかるように解説がおすすめです。

電磁力の「よくあるつまずき」を先回り
最後に、初心者がやりがちなミスをまとめておきます。ここを知っておくだけで、テストの失点がぐっと減ります。
電線が動く(モーター)話は左手。電流を作る(発電機)話は右手。「動かすなら左、作るなら右」と覚えましょう。
磁石は「異極が引き合う」ですが、電線は「同じ向きの電流どうしが引き合う」。逆に覚えやすいので要注意です。
cmをmに直し忘れる、などのケアレスミスが多いです。F=BIL は B→T、I→A、L→m でそろえてから計算しましょう。
つまり、電磁力は「左手・向き・単位」の3点に気をつければ、ほとんどのミスは防げる、ということですね。

よくある質問
まとめ
- 電磁力:磁石のそばで電流を流すと電線が押される力
- F=B×I×L:磁石・電流・長さが大きいほど力も大きい
- フレミング左手の法則:親=力、人=磁界、中=電流
- 平行導線:同じ向きは引き合う、逆向きは反発
- モーター:F=BILで回転、整流子が回り続けるカギ
電磁力は、最初は記号や法則が多くて戸惑って当然です。でも、正体は「磁石・電流・電線がそろうと力が生まれる」というシンプルな話。公式は丸暗記ではなく、イメージできるようになることが大切です。
扇風機を見たら「あ、F=BILで回ってるんだ」と思える。そうなれば、もう電磁力はあなたの得点源です。本文中のリンクで、苦手なところを1つずつ埋めていきましょう。

自動車部品メーカーで電気設計・品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて電気を学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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