信頼性工学

【図解】アベイラビリティ(可用性)とは?|"使いたいときに使える確率"を計算する

💭 こんな疑問、ありませんか?

  • 「アベイラビリティって、信頼性と何が違うの?」
  • 「MTBFとMTTRから、どうやって計算するの?」
  • 「稼働率と可用性って、同じ意味?」

✅ この記事でわかること

  • アベイラビリティ(可用性)の意味を「ATMの例」でイメージ理解
  • 計算公式 A = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) の導出と使い方
  • 稼働率・可用性・アベイラビリティの関係を整理
  • 具体的な計算例で、実際に手を動かして理解

📌 結論(3秒で理解)

アベイラビリティとは、「使いたいときに、ちゃんと使える確率」のこと。
壊れにくさ(MTBF)直りやすさ(MTTR)の両方を考慮した、
システムの「総合的な使いやすさ」を表す指標です。

銀行のATM、駅の改札、会社のサーバー。
私たちの生活は、「いつでも使えて当たり前」の機械やシステムに支えられています。

でも、ふと考えてみてください。
「この機械、100回使おうとしたら、何回ちゃんと動いてるんだろう?」

この「使える確率」を数値化したのが、アベイラビリティ(Availability)です。
日本語では「可用性」「稼働率」とも呼ばれます。

この記事では、アベイラビリティの意味と計算方法を、
図解たっぷり・中学生でもわかる言葉で解説します。
一緒に学んでいきましょう。

📚 前提知識(先に読むとスムーズ)

MTBFとMTTRの意味がわからない方は、先にこちらをどうぞ👇

🎯 アベイラビリティとは? ─「使いたいときに使える確率」

📖 アベイラビリティ(Availability)の定義

ある時点で、システムや機器が
「正常に動作している確率」のこと。

別名:可用性稼働率アベイラビリティ(すべて同じ意味)

💡 ATMで考えてみよう

想像してみてください。
あなたは銀行のATMにお金を下ろしに行きました。

😊 アベイラビリティが高い

「お金を下ろしたい!」と思ったとき、
いつもATMが動いている。

→ 安心して使える

😢 アベイラビリティが低い

「お金を下ろしたい!」と思ったとき、
しょっちゅう故障中で使えない。

→ イライラ、困る

この「使いたいときに、ちゃんと使える確率」が、アベイラビリティです。
言い換えると、「お客さんが来たとき、何%の確率で動いているか」ですね。

🔧 「壊れにくさ」だけでは不十分

ここで重要なポイントがあります。
「壊れにくい」だけでは、アベイラビリティは高くならないのです。

💡 アベイラビリティを決める2つの要素

  • ① 壊れにくさ(MTBF)
    平均故障間隔。長いほど、壊れにくい。
  • ② 直りやすさ(MTTR)
    平均修復時間。短いほど、すぐ直る。

どんなに壊れにくくても、一度壊れたら修理に1週間かかるようでは、
その間ずっと「使えない」状態が続きます。

逆に、よく壊れるけど5分で直る機械は、意外と使える時間が長いかもしれません。

アベイラビリティは、この「壊れにくさ」と「直りやすさ」の両方を考慮した指標なのです。

🚃 電車の遅延で考えると…

A路線:滅多に止まらないけど、止まったら復旧に3時間かかる
B路線:たまに止まるけど、止まっても10分で復旧する

「どっちが『使いやすい』?」と聞かれると、
単純に「壊れにくいA」とは言えませんよね。

これがアベイラビリティの考え方です。

📐 アベイラビリティの公式

🔑 アベイラビリティの公式

A = MTBF / (MTBF + MTTR)

A:アベイラビリティ(0~1、または0%~100%)

🧩 公式の意味をイメージで理解

この公式、実はとてもシンプルな意味です。

アベイラビリティ

稼働時間 ÷ 全体の時間

MTBF ÷ (MTBF + MTTR)

MTBF + MTTR は、「壊れるまでの時間」+「直るまでの時間」。
つまり、1サイクル全体の時間を表しています。

その中で、MTBF(稼働している時間)が何%を占めるか
これがアベイラビリティの正体です。

🤔 なぜこの式になるのか?

機械は「稼働」と「修理」を繰り返します。
この1サイクルを図にすると…

稼働(MTBF) 修理(MTTR) 繰り返し…

この「緑の部分(稼働)」が全体の何%か=アベイラビリティ

✏️ 実際に計算してみよう

📝 例題

あるサーバーの性能データ:
MTBF = 990時間(平均して990時間動くと故障する)
MTTR = 10時間(故障したら平均10時間で修理完了)

このサーバーのアベイラビリティは?

📊 計算プロセス

Step 1:公式に数値を代入
A = MTBF / (MTBF + MTTR)
A = 990 / (990 + 10)

Step 2:分母を計算
A = 990 / 1000

Step 3:割り算して完了!
A = 0.99(= 99%)

✅ 答え:A = 0.99(99%)

「1000時間のうち、990時間は使える状態」という意味!

📊 もう1問:MTTRが長い場合

📝 例題2

別のサーバー:
MTBF = 900時間
MTTR = 100時間(修理に時間がかかる)

アベイラビリティは?

計算:
A = 900 / (900 + 100) = 900 / 1000 = 0.90(90%)

💡 比較してみると…

サーバーMTBFMTTRA(可用性)
サーバーA990時間10時間99%
サーバーB900時間100時間90%

MTBFは近い値でも、MTTRの差が可用性に大きく影響していますね。
「直りやすさ」も超重要ということがわかります。

🏭 「稼働率」と「可用性」は同じ意味?

ここで、よくある質問にお答えします。
「稼働率」「可用性」「アベイラビリティ」って、全部同じ意味なの?

✅ はい、基本的に同じ意味です!

📝 業界による呼び方の違い

🏭 製造業・工場

「稼働率」と呼ぶことが多い

「この機械の稼働率は95%です」
「ラインの稼働率を上げたい」

💻 IT・システム業界

「可用性」「アベイラビリティ」と呼ぶことが多い

「SLAで可用性99.9%を保証」
「アベイラビリティを高める設計」

計算方法は同じです。
現場によって「呼び方」が違うだけと覚えておきましょう。

🎯 実務で求められるアベイラビリティの目安

では、実際の現場ではどのくらいの可用性が求められるのでしょうか?

可用性年間停止時間用途の例
99%約3.65日一般的なWebサービス
99.9%約8.76時間企業の基幹システム
99.99%約52.6分金融システム、ECサイト
99.999%約5.26分通信インフラ、医療システム

💡 「ファイブナイン」という言葉

IT業界では、99.999%の可用性を
「ファイブナイン(Five Nines)」と呼びます。

年間停止5分以内という超高信頼性。
通信キャリアや金融機関が目指す最高水準です。

📈 アベイラビリティを高める2つの戦略

公式 A = MTBF / (MTBF + MTTR) から、
アベイラビリティを高める方法は2つしかありません。

① MTBFを大きくする

= 壊れにくくする

・部品の品質を上げる
・冗長構成(予備機を用意)
・定期メンテナンスで劣化を防ぐ

② MTTRを小さくする

= 直りやすくする

・交換部品を常備しておく
・故障箇所の特定を自動化
・マニュアルを整備して修理時間短縮

📝 まとめ

✅ この記事のポイント

  • アベイラビリティ(可用性)とは、
    「使いたいときに、ちゃんと使える確率」のこと
  • 公式は A = MTBF / (MTBF + MTTR)
    「稼働時間 ÷ 全体時間」というシンプルな意味
  • 「壊れにくさ」だけでなく「直りやすさ」も重要
    MTTRが長いと、可用性は下がる
  • 稼働率 = 可用性 = アベイラビリティ
    業界による呼び方の違いだけで、同じ意味

🔑 覚えておくべき公式

A = MTBF / (MTBF + MTTR)

🚀 次に読むべき記事

アベイラビリティを理解できたら、次は「システム全体の信頼性」を学びましょう。
複数の機器を組み合わせたとき、信頼性はどう計算するのか?
信頼性ブロック図で理解できます。

📚 関連記事

📖 信頼性工学シリーズ

  1. 信頼性工学とは?
  2. MTBFとMTTFの違い
  3. 故障率曲線(バスタブカーブ)
  4. アベイラビリティ(可用性)← 今ここ
  5. 信頼性ブロック図 ← 次はこれ!
  6. ワイブル分布(準備中)
  7. B10ライフ(準備中)
  8. 打ち切りデータ
  9. ワイブル確率紙(準備中)

💡 アベイラビリティは、「壊れない」と「すぐ直る」のバランス
この2つを両立させることで、
「いつでも使える」信頼されるシステムが生まれます。

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