信頼性工学

信頼度の計算(直列・並列)|信頼性ブロック図の作り方と例題

信頼性ブロック図の作り方。直列系・並列系・冗長系

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こんな疑問、ありませんか?

  • 「複数の部品を組み合わせたとき、全体の信頼度ってどう計算するの?」
  • 「直列と並列で、なぜ計算式が違うの?」
  • 「冗長設計って、具体的にどういう仕組み?」

○ この記事でわかること

  • 信頼性ブロック図(RBD)とは何か、なぜ必要か
  • 直列系の信頼度=「掛け算」で下がる理由
  • 並列系の信頼度=「1から引いて掛けて1から引く」で上がる理由
  • 冗長系の考え方と種類(待機冗長・並列冗長)
  • 複合系の計算方法=分解して順番に解くテクニック

結論(3秒で理解)

信頼性ブロック図とは、システムを構成する部品の「つながり方」を図にして、全体の信頼度を計算する設計図です。
直列なら「掛け算」、並列なら「補い合い」で計算します。

スマートフォン、自動車、飛行機、工場のライン。
私たちの身の回りには、たくさんの部品が組み合わさったシステムがあります。

ここで、ふと疑問が浮かびます。
「部品が10個あって、それぞれ99%の信頼度なら、全体は何%?」

答えは「つながり方」によって変わります。
直列(1つでも壊れたらアウト)なのか、並列(どれか1つ動けばOK)なのかで、全然違う結果になるのです。

この「つながり方」を図にして、全体の信頼度を計算するのが信頼性ブロック図(RBD:Reliability Block Diagram)です。

直列系の信頼度の図。A・B・Cの信頼度が各0.9なら、Rs=R1×R2×R3=0.9×0.9×0.9=0.729で、電球の直列のように1つ故障すると全体が止まる
直列系は掛け算で信頼度がどんどん下がる
結論|まず30秒でわかる答え

直列系の信頼度は各部品の信頼度の掛け算(Rs=R1×R2×…)、並列系の信頼度は「1−(全部が同時に故障する確率)」(Rp=1−(1−R1)(1−R2)…)で求めます。たとえば信頼度0.9の部品を2つつなぐと、直列では0.81、並列では0.99です。部品のつながり方を図にしたものが信頼性ブロック図で、複雑な系も直列と並列に分けて内側から順に計算します。

信頼性ブロック図(RBD)とは?

信頼性ブロック図の定義

システムを構成する各部品(ユニット)の「信頼性上のつながり方」を図にしたもの。
この図を使って、システム全体の信頼度を計算します。

別名:RBD(Reliability Block Diagram)

なぜブロック図が必要なのか?

たとえば、こんな状況を考えてみてください。

工場のラインを設計中…

「この機械、信頼度90%の部品を3つ使ってるけど、全体では何%の信頼度になるの?」
答えは…「つなぎ方」によって全然違います!

この「つなぎ方」を明確にして計算するのが、信頼性ブロック図の役割です。
主に3つのパターンがあります。

① 直列系

1つでも壊れたらアウト

② 並列系

全部壊れなければOK

③ 冗長系

予備を持っておく

直列系 ─「1つでも壊れたらアウト」

直列系とは

すべての部品が正常に動いて初めて、システム全体が動く構成。
1つでも故障したら、全体が停止する。

クリスマスツリーの電飾で理解する

直列系の身近な例は、昔のクリスマスツリーの電飾です。

直列接続の電球

昔の電飾は、電球が1本の線で数珠つなぎになっていました。

もし1個の電球が切れると…
→ 電気の流れが止まる → 全部の電球が消える!

これが「直列系」のイメージです。

直列系の公式

直列系の信頼度公式

Rs = R₁ × R₂ × R₃ × … × Rn

各部品の信頼度を「掛け算」する

なぜ「掛け算」なのか?

直列系が動くには、すべての部品が同時に正常でなければなりません。
確率の世界では、「AかつBかつC」が起きる確率は、それぞれの確率を掛け算します。

P(AかつBかつC) = P(A) × P(B) × P(C)

計算例:直列系

例題

3つの部品A、B、Cが直列に接続されている。
各部品の信頼度は、それぞれ R₁ = 0.9、R₂ = 0.9、R₃ = 0.9。
システム全体の信頼度は?

計算プロセス

Step 1:公式に数値を代入
Rs = 0.9 × 0.9 × 0.9

Step 2:掛け算して完了!
Rs = 0.729(= 72.9%)

○ 答え:Rs = 0.729(72.9%)

各部品90%でも、3つ直列にすると約73%に下がる!

直列系の落とし穴

直列系では、部品を増やすほど信頼度が下がります。
例:信頼度90%の部品を10個直列 → 0.910 = 0.349(約35%)
だから、重要なシステムでは「並列」や「冗長」を使うのです。

並列系の信頼度の図。信頼度0.9のA・B・Cを並列にすると、Rp=1−(1−R1)(1−R2)(1−R3)=1−0.1×0.1×0.1=0.999で、全部壊れなければ動く
並列系は補い合って信頼度が上がる

並列系 ─「全部壊れなければOK」

並列系とは

複数の部品のうち、1つでも正常に動いていれば、システム全体が動く構成。
全部が故障したときだけ、全体が停止する。

駅のエスカレーターで理解する

並列系の身近な例は、駅のエスカレーターです。

3台並んだエスカレーター

大きな駅では、エスカレーターが3台並んでいることがあります。

もし1台が故障しても…
→ 残り2台が動いている → 乗客は問題なく移動できる!

全部が同時に故障しない限り、機能は維持されます。これが「並列系」のイメージです。

並列系の公式

並列系の信頼度公式

Rp = 1 − (1−R₁)(1−R₂)(1−R₃)…(1−Rn)

「1から引いて掛けて、1から引く」

なぜこの式になるのか?

並列系が故障するのは、「すべての部品が同時に故障」したとき。

① 各部品の「故障確率」を求める
故障確率 = 1 − 信頼度 例:R = 0.9 なら、故障確率 = 0.1

② 「全部が故障」の確率を求める
全部故障 = 0.1 × 0.1 × 0.1 = 0.001

③ 「1つでも動く」確率を求める
システム信頼度 = 1 − 0.001 = 0.999

これを1つの式にまとめたのが、並列系の公式です。

計算例:並列系

例題

3つの部品A、B、Cが並列に接続されている。
各部品の信頼度は、それぞれ R₁ = 0.9、R₂ = 0.9、R₃ = 0.9。
システム全体の信頼度は?

計算プロセス

Step 1:各部品の故障確率を求める
1 − 0.9 = 0.1(各部品とも)

Step 2:「全部故障」の確率を求める
0.1 × 0.1 × 0.1 = 0.001

Step 3:1から引いて完了!
Rp = 1 − 0.001 = 0.999(= 99.9%)

○ 答え:Rp = 0.999(99.9%)

各部品90%でも、3つ並列にすると99.9%に上がる!

直列 vs 並列の比較(同じ部品3つの場合)

接続方式 計算式 結果
直列系 0.9 × 0.9 × 0.9 72.9%
並列系 1 − (0.1)³ 99.9%

同じ部品3つでも、つなぎ方で27%も差が出るのです!

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冗長系の図。メインが壊れたら予備に切り替える待機冗長と、メインと予備が同時に動く並列冗長があり、飛行機のエンジンのように余裕を持たせる設計
冗長系は予備を持っておく設計:待機冗長と並列冗長

冗長系 ─「予備を持っておく設計」

冗長系とは

予備の部品やシステムを用意しておき、メインが故障したら切り替える構成。
「冗長」= 余裕・余分(redundancy)を持たせること

飛行機のエンジンで理解する

なぜ飛行機のエンジンは複数あるのか?

旅客機には、通常2〜4つのエンジンが搭載されています。

これは「速く飛ぶため」だけでなく、「1つ止まっても飛び続けられる」ため。
実際、双発機はエンジン1つでも着陸できる設計になっています。
これが「冗長設計」の考え方です。

冗長系の2つの種類

① 待機冗長(スタンバイ)

普段は予備機が停止している。
メインが故障したら、予備機を起動して切り替え。

例:データセンターの予備サーバー

○ メリット:予備機の劣化が少ない
デメリット:切り替え時間がかかる

② 並列冗長(アクティブ)

常に複数が同時稼働している。
1つが故障しても、残りがそのまま継続。

例:飛行機のエンジン、RAID

○ メリット:切り替え不要で瞬断なし
デメリット:全機が常に劣化

並列冗長の計算は、並列系と同じ

「常に同時稼働」の並列冗長は、先ほどの並列系の公式で計算できます。
待機冗長は、切り替え成功率などを考慮した別の計算が必要です(発展的内容)。

複合系の計算 ─「分解して攻略」

現実のシステムは、直列と並列が組み合わさった「複合系」であることがほとんどです。
複雑に見えますが、分解して順番に計算すれば解けます。

複合系の解き方(3ステップ)

  1. 直列部分を見つけて、まとめて1ブロックにする
    直列部分 → 掛け算で1つの信頼度に
  2. 並列部分を見つけて、まとめて1ブロックにする
    並列部分 → 「1から引いて掛けて1から引く」で1つに
  3. 簡略化を繰り返して、最終的に1つの値にする

計算例:複合系

例題

以下のシステムの信頼度を求めなさい。

┌─ A (R=0.9) ─ B (R=0.9) ─┐
│              │
入力 ─┤              ├─ 出力
│              │
└─ C (R=0.9) ─ D (R=0.9) ─┘

上段(A→B直列)と下段(C→D直列)が、並列に接続されている。

計算プロセス

Step 1:直列部分を計算(上段)
R上 = 0.9 × 0.9 = 0.81

Step 2:直列部分を計算(下段)
R下 = 0.9 × 0.9 = 0.81

Step 3:並列部分を計算(上段と下段を合成)
R全体 = 1 − (1 − 0.81)(1 − 0.81) = 1 − (0.19 × 0.19) = 1 − 0.0361

Step 4:完了!
R全体 = 0.9639(= 96.39%)

○ 答え:R全体 = 0.9639(96.39%)

直列だけなら81%に下がるが、並列にすることで96%以上に回復!

複合系を解くコツ

  • 内側から外側へ:一番深い入れ子から計算
  • 直列を先に:直列部分を1つにまとめてから並列計算
  • 図を描く:複雑な場合は、計算後の図を描いて確認
複合系の信頼度の解き方の図。直列部分を先に計算してRAB=0.9×0.8=0.72、RCD=0.85×0.7=0.595、次に並列部分を計算して全体はRp=1−(0.28)(0.405)=0.8866
複合系は直列部分→並列部分の順に分解して計算する

応用:同じ4個でも二重化のしかたで信頼度が変わる

信頼度0.9の部品 A・B・C・D の4個で、「A→B」の働きを二重にしたいとします。二重化のしかたは2通りあります。

二重化のしかたブロック図計算信頼度
系統ごと(系統冗長)(A→B)と(C→D)を並列直列 0.9×0.9=0.81 を2本並列:1−(1−0.81)²=1−0.03610.9639
部品ごと(部品冗長)(A と C の並列)→(B と D の並列)並列 1−0.1²=0.99 を2段直列:0.99×0.990.9801

同じ部品を同じ数だけ使っても、部品ごとに二重化したほうが信頼度は高くなります。系統ごとの二重化では、上の系統の A と下の系統の D が同時に壊れただけで両方の系統が止まりますが、部品ごとの二重化なら A と D が壊れても C→B の道が残るためです。

ただし、部品ごとの二重化は切り替えの仕組みが段ごとに必要になり、その切り替え部分の故障も考える必要があります。試験では切り替えを完全とみなして計算します。

3つのうち2つ動けばよい系(2 out of 3)

3台のうち2台以上が動けばよい系もあります。信頼度0.9の部品3台なら、「3台とも動く」と「ちょうど2台動く」の確率を足します。

3台とも動く:0.9×0.9×0.9=0.729

ちょうど2台動く:どの1台が壊れるかで3通り。3×0.9×0.9×0.1=0.243

合計:0.729+0.243=0.972

1台でよい並列(0.999)より低く、3台すべてが必要な直列(0.729)より高い、中間の値になります。

つまり

同じ部品数なら「部品ごとの二重化」が「系統ごとの二重化」より信頼度が高い。k out of n は、動く台数ごとの確率を足して求める。

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各部品の信頼度 R を、故障率から R=e^(−λt) で求める方法は指数分布の記事で解説しています。

よくある質問

Q. 並列系の信頼度はどう求める?

A. 1から、全部の部品が同時に故障する確率を引きます。信頼度0.9の部品2つなら、1−0.1×0.1=0.99です。

Q. 直列系の信頼度はどう求める?

A. 各部品の信頼度を掛け算します。信頼度0.9の部品を3つ直列にすると、0.9×0.9×0.9=0.729です。

Q. 部品冗長と系統冗長はどちらが信頼度が高い?

A. 同じ部品数なら部品ごとに二重化する部品冗長のほうが高くなります。0.9の部品4個では0.9801と0.9639です。

まとめ

○ この記事のポイント

  • 信頼性ブロック図(RBD)は、システムの「信頼性上のつながり方」を図にしたもの
  • 直列系:1つでも故障 → 全体停止
    公式:Rs = R₁ × R₂ × … × Rn(掛け算で下がる)
  • 並列系:全部故障して初めて停止
    公式:Rp = 1 − (1−R₁)(1−R₂)…(補い合いで上がる)
  • 冗長系:予備を持たせて信頼度を高める設計
    待機冗長(スタンバイ)と並列冗長(アクティブ)がある
  • 複合系:直列部分→並列部分の順に分解して計算

覚えておくべき公式

直列系

Rs = ∏Ri

並列系

Rp = 1 − ∏(1−Ri)

語呂合わせで覚える

直列=「掛け算」=どんどん下がる
並列=「1から引いて掛けて1から引く」=補い合って上がる

信頼性ブロック図を理解できたら、次は「故障データの解析」を学びましょう。
実際の故障データから信頼度を推定する方法が、信頼性工学の次のステップです。

信頼性ブロック図は、「つなぎ方を変えるだけで信頼度が劇的に変わる」ことを教えてくれる強力なツールです。
直列と並列を意識した設計で、信頼性の高いシステムを作りましょう!

信頼性ブロック図のまとめの図。直列系はRs=R1×R2×…×Rn、並列系はRp=1−Π(1−Ri)、複合系は分解して順番に計算する
信頼性ブロック図のまとめ:直列・並列・複合

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