信頼性工学

【図解】B10ライフとは?|"10%が壊れる時間"でベアリングの寿命を予測する

💭 こんな疑問、ありませんか?

  • 「B10ライフって、カタログでよく見るけど何のこと?」
  • 「なぜ『10%』という数字が使われるの?」
  • 「ワイブル分布のηとB10って、どう違うの?」

✅ この記事でわかること

  • B10ライフとは何か=「10%が故障するまでの時間」
  • Bxライフの考え方=xを変えればいろんな寿命が分かる
  • なぜ「10%」が業界標準として使われるのか
  • ワイブル分布からB10を計算する方法
  • 実務での寿命予測・保全計画への活用法

📌 結論(3秒で理解)

B10ライフとは、「全体の10%が故障するまでの時間」のこと。
ベアリングなどの機械部品では、この値を基準に交換時期や保証期間を決めます。
「90%はまだ使える」という安全マージンを持った寿命指標です。

ベアリング、歯車、モーター。
機械部品のカタログを見ると、「B10寿命:○○時間」という表記をよく見かけます。

この「B10」、なんとなくスルーしていませんか?
実は、これを理解すると「いつ部品を交換すべきか」が数字で判断できるようになります。

この記事では、B10ライフの意味と計算方法を図解たっぷり・中学生でもわかる言葉で解説します。

🎯 B10ライフとは?

📖 B10ライフの定義

同じ条件で使用した製品のうち、全体の10%が故障するまでの時間(または回数)

別の言い方をすると、「90%がまだ生き残っている時間」のこと。

記号:B10 または L10(Lはlife:寿命の意味)

🎱 100個のボールで考える

💡 イメージで理解しよう

100個の同じベアリングを同時に動かし始めたとします。

しばらくすると、1個、2個…と故障していきます。
そして、10個目が故障した瞬間の時間。

これがB10ライフです。

この時点で、90個(90%)はまだ動いている状態です。

🟢 Bxライフ ─ xを変えればいろんな寿命が分かる

B10の「10」は「10%」を意味します。
この数字を変えれば、いろいろな寿命を表現できます。

記号意味用途・特徴
B11%が故障する時間超高信頼性が必要な場合(航空宇宙など)
B55%が故障する時間安全性重視の製品
B1010%が故障する時間最も一般的(業界標準)
B5050%が故障する時間中央寿命(メジアン寿命)
B9090%が故障する時間ほとんどが寿命を迎える時間

🤔 なぜ「10%」が標準なのか?

B10が業界標準になった理由は、3つのバランスにあります。

🏆 B10が選ばれる3つの理由

  1. 実験で確認しやすい
    1%故障を待つには大量のサンプルと長い時間が必要。10%なら現実的。
  2. 安全マージンがある
    B10の時点で「90%はまだ使える」ので、交換時期の基準として安全。
  3. 歴史的に定着
    1924年にスウェーデンのSKF社がベアリング寿命の指標として提唱。

📌 B10とη(特性寿命)の違い

ワイブル分布のη(イータ)は「約63.2%が故障する時間」でした。
一方、B10は「10%が故障する時間」。

つまり、B10 < η が常に成り立ちます。
B10のほうが「早い段階」の寿命を表しているのです。

🔴 B10ライフの計算方法

B10ライフは、ワイブル分布のパラメータ(m、η)から計算できます。
公式を導出してみましょう。

📐 公式の導出

Step 1:B10の定義を確認

B10とは「累積故障確率F(t)が10%になる時間
つまり、F(B10) = 0.10、R(B10) = 0.90

Step 2:ワイブル分布の信頼度関数を使う

R(t) = exp[−(t/η)m]

R(B10) = 0.90 を代入すると…
0.90 = exp[−(B10/η)m]

Step 3:両辺の自然対数をとる

ln(0.90) = −(B10/η)m

−ln(0.90) = (B10/η)m

ln(1/0.90) = (B10/η)m

Step 4:B10について解く

B10/η = [ln(1/0.90)]1/m

B10 = η × [ln(1/0.90)]1/m

🔑 B10ライフの公式

B10 = η × [ln(1/0.90)]1/m

※ ln(1/0.90) ≈ 0.1054

📐 一般化:Bxライフの公式

「10%」を「x%」に一般化すると、以下の公式になります。

🔑 Bxライフの一般公式

Bx = η × [ln(1/(1−x/100))]1/m

x = 故障率(%)、例:x=10 なら B10

💡 よく使う ln(1/(1−x/100)) の値

x(%)ln(1/(1−x/100))意味
10.01005B1
50.05129B5
100.10536B10(最もよく使う)
500.69315B50(中央寿命)
63.21.00000= η(特性寿命)

🟠 計算例:B10ライフを求める

📝 例題

あるベアリングの故障データを分析したところ、以下のワイブルパラメータが得られた。

形状パラメータ m = 2
尺度パラメータ η = 10,000時間

このベアリングのB10ライフを求めなさい。

📊 計算プロセス

Step 1:公式を確認
B10 = η × [ln(1/0.90)]1/m

Step 2:ln(1/0.90) を計算
ln(1/0.90) = ln(1.111...) ≈ 0.1054

Step 3:1/m乗を計算
[0.1054]1/2 = [0.1054]0.5 = √0.1054 ≈ 0.3246

Step 4:ηを掛けて完了!
B10 = 10,000 × 0.3246 = 3,246時間

✅ 答え:B10 ≈ 3,246時間

約3,246時間で全体の10%が故障する(90%はまだ使える)

💡 結果の解釈

η = 10,000時間(約63%故障)に対して、
B10 = 3,246時間(10%故障)。

B10はηの約32%の位置にあります。
つまり、「特性寿命の約1/3の時点で10%が故障し始める」ということ。

保全計画では、3,000時間を超えたら点検・交換を検討するのが安全です。

🔵 実務でのB10ライフの活用

🏭 活用シーン①:保全計画の策定

「いつ部品を交換すべきか?」の判断基準として使えます。

例:B10 = 3,246時間 のベアリングの場合
3,000時間を目安に予防交換を計画
→ 「90%はまだ使える」という安全マージンを確保

🏭 活用シーン②:部品の選定・比較

複数のメーカーの部品を比較するとき、B10ライフが長いほうが長寿命です。

メーカーB10ライフ価格
A社3,000時間5,000円
B社5,000時間7,000円

→ B社は40%高いが、B10は67%長い → 長期的にはB社がお得かも

🏭 活用シーン③:保証期間の設定

💡 メーカーの保証期間の考え方

製品の保証期間は、B1〜B5程度に設定されることが多いです。

理由:保証期間内の故障を1〜5%以下に抑えたいから。

例:B5 = 1,000時間 の製品 → 保証期間を「1,000時間または1年」に設定

📝 まとめ

✅ この記事のポイント

  • B10ライフとは、「全体の10%が故障するまでの時間」
    =「90%がまだ生き残っている時間」
  • Bxライフ:xを変えればいろんな寿命が分かる
    B1, B5, B10, B50 など用途に応じて使い分け
  • B10が業界標準の理由
    実験しやすい、安全マージンがある、歴史的に定着
  • 計算公式:Bx = η × [ln(1/(1−x/100))]1/m
    ワイブル分布のm、ηから計算可能
  • 実務活用:保全計画、部品選定、保証期間の設定

🔑 覚えておくべき公式

B10ライフ

B10 = η × [0.1054]1/m

Bxライフ(一般形)

Bx = η × [ln(1/(1−x/100))]1/m

ポイント:B10 < η(特性寿命)は常に成り立つ

💡 B10とηの関係を覚えるコツ

η(イータ):約63%が故障する時間 → 「過半数がダメになる時間」
B10:10%が故障する時間 → 「そろそろ壊れ始める時間」

B10で交換すれば、90%は無事という安全マージンの考え方!

🚀 次に読むべき記事

B10ライフを理解できたら、次は「ワイブル確率紙」を学びましょう。
実際の故障データからm、ηを推定する方法がわかります。

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💡 B10ライフは、「安全マージンを持った寿命」を表す実務で超重要な指標です。
カタログでB10を見つけたら、「10%が壊れる時間」と読み替えましょう!

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