QC検定 実践編

【QC検定1級】第三者認証制度とQMSの運用|認証取得から維持までを完全図解

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 「認証」と「認定」の違いがよくわからない…
  • ISO認証を取得するまでの流れを知りたい
  • サーベイランスや更新審査って何をするの?
✅ この記事でわかること
  • 第三者認証制度の仕組みと「認定」「認証」の違い
  • 認証機関・認定機関・IAFの役割と関係
  • 審査の種類(初回審査・サーベイランス・更新審査)
  • 認証取得から維持までの全体像

「ISO 9001認証を取得しています」——この言葉の意味を正確に理解していますか?

ISO 9001は国際規格ですが、規格を満たしているかどうかを自分で宣言するだけでは信頼性がありません。そこで登場するのが「第三者認証制度」です。

この記事では、第三者認証制度の仕組みから、認証取得・維持の流れまでを図解で解説します。

📘 前提知識
【QC検定1級】ISO 9001の要求事項|品質マネジメントシステムの国際規格を完全図解 →

ISO 9001の10の箇条を先に理解しておくと、この記事の内容がより深く理解できます

第三者認証制度とは?

「第三者」の意味を理解する

まず、「第三者」とは何かを理解しましょう。監査には3つの立場があります。

区分実施者内容
第一者自分(組織自身)自社で自社を監査する内部監査
第二者利害関係者顧客が供給者を監査するサプライヤー監査
第三者独立した機関利害関係のない機関が監査する認証審査

第三者認証とは、組織(第一者)でも顧客(第二者)でもない、独立した第三者機関が審査を行い、規格への適合性を証明する仕組みです。

💡 なぜ第三者が必要?
第一者(内部監査):自分で自分を評価→客観性に限界
第二者(顧客監査):顧客ごとに監査を受ける→非効率
第三者(認証審査):一度の認証で多くの顧客に信頼性をアピール→効率的

第三者認証制度のメリット

第三者認証を取得することで、組織には以下のようなメリットがあります。

📐 認証取得のメリット

① 対外的な信頼性向上
「ISO 9001認証取得」は品質管理の国際的な「お墨付き」

② 取引条件のクリア
取引先から認証取得を求められるケースが増加

③ 組織内部の改善
審査を受けることでQMSの問題点が明確になる

④ 顧客監査の削減
個別の顧客監査を減らせる可能性

認証機関と認定機関の違い

「認証」と「認定」を混同しない

第三者認証制度を理解する上で、最も重要なのが「認証」と「認定」の違いです。この2つは似ていますが、まったく異なる概念です。

用語英語意味
認証Certification認証機関組織のQMSを審査し、規格への適合を証明すること
認定Accreditation認定機関認証機関を審査し、審査能力があることを証明すること
💡 たとえ話で理解
運転免許に例えると…

認証:教習所(認証機関)があなた(組織)に免許を発行する
認定:公安委員会(認定機関)が教習所(認証機関)を「ちゃんとした教習所」と認める

つまり、「認定」は認証機関への"お墨付き"です。

認定・認証の階層構造

第三者認証制度は、以下のような階層構造になっています。

📐 認定・認証の階層

【最上位】IAF(国際認定フォーラム)
 ↓ 相互承認
【認定機関】JAB、UKAS、ANABなど
 ↓ 認定
【認証機関】SGS、BSI、JQA、日本検査キューエイなど
 ↓ 認証
【組織】ISO 9001認証を取得した企業

主な機関の役割

機関種類役割
IAF国際フォーラム各国の認定機関の相互承認を推進。世界中で認証の信頼性を担保
JAB認定機関(日本)日本適合性認定協会。日本国内の認証機関を認定する
UKAS認定機関(英国)英国認定機関。世界で最も歴史ある認定機関の一つ
JQA、BSIなど認証機関組織のQMSを審査し、ISO 9001認証を発行する
⚠️ 認定を受けていない認証機関に注意
認証機関の中には、認定機関から認定を受けていない機関も存在します。認定を受けた認証機関から認証を取得することで、国際的な信頼性が担保されます。

審査の種類と流れ

認証取得までの流れ

ISO 9001の認証を取得するまでの一般的な流れは以下の通りです。

📐 認証取得の流れ

① QMSの構築:ISO 9001の要求事項に沿ってシステムを構築
 ↓
② 内部監査・マネジメントレビューの実施:自社での運用実績を作る
 ↓
③ 認証機関の選定・申請:審査を依頼する機関を選ぶ
 ↓
④ 初回審査(第一段階):文書審査、準備状況の確認
 ↓
⑤ 初回審査(第二段階):現地審査、実施状況の確認
 ↓
⑥ 認証取得:適合が確認されれば認証書が発行される

初回審査の2段階

初回審査は2段階に分けて実施されます。

段階目的主な確認事項
第一段階
(Stage 1)
QMSの構築状況を確認し、第二段階の準備ができているか評価・文書化した情報の確認
・適用範囲の確認
・内部監査・MRの実施状況
・重大な懸念事項の有無
第二段階
(Stage 2)
QMSの実施状況を確認し、規格への適合を評価・現場でのプロセス確認
・従業員へのインタビュー
・記録の確認
・パフォーマンスの評価

第一段階で重大な問題が見つかった場合、第二段階に進む前に是正が求められます。

審査での指摘事項

審査で問題が見つかった場合、指摘事項として報告されます。指摘事項には主に以下の種類があります。

種類内容対応
重大な不適合
(メジャー)
規格要求事項を満たしていない、またはQMSの有効性に重大な影響是正処置が完了するまで認証不可
軽微な不適合
(マイナー)
規格要求事項からの逸脱があるが、QMSの有効性への影響は限定的是正処置計画を提出し、次回審査で確認
観察事項
(オブザベーション)
不適合ではないが、改善の余地がある事項対応は任意(推奨)

認証維持のための審査

3年サイクルの認証管理

ISO 9001の認証は「取得して終わり」ではありません。認証の有効期間は通常3年間で、その間に定期的な審査を受ける必要があります。

📐 3年間の審査サイクル

初年度:初回審査(認証取得)
 ↓
1年後:サーベイランス審査(1回目)
 ↓
2年後:サーベイランス審査(2回目)
 ↓
3年後:更新審査(認証更新)→ 新たな3年サイクルへ

サーベイランス審査

サーベイランス(surveillance)審査は、「定期審査」「維持審査」とも呼ばれます。認証取得後、通常年1回実施されます。

💡 サーベイランス審査の特徴
・初回審査よりも規模は小さい(全プロセスではなくサンプリング)
・QMSが継続的に運用されているかを確認
・前回の審査からの改善状況を確認
重大な不適合があれば認証の一時停止もあり得る

更新審査(再認証審査)

認証の有効期限(3年)が近づくと、更新審査を受けます。

💡 更新審査の特徴
・サーベイランスよりも規模が大きい(初回審査に近い)
・QMS全体の有効性を評価
・3年間のパフォーマンス全体をレビュー
・合格すれば新しい認証書が発行される

審査の種類まとめ

審査の種類タイミング規模目的
初回審査新規取得時QMS全体の適合性を確認し、認証を付与
サーベイランス年1回中〜小QMSが継続的に運用されているか確認
更新審査3年ごとQMS全体の有効性を再評価し、認証を更新
臨時審査必要時状況による重大な変更、苦情、問題発生時などに実施
⚠️ 認証の一時停止・取消し
サーベイランスや更新審査で重大な不適合が是正されない場合、認証が一時停止または取消しになることがあります。認証は「取得したら安心」ではなく、継続的な維持が必要です。

認証取得・維持のポイント

認証機関の選び方

認証機関を選ぶ際には、以下のポイントを確認しましょう。

💡 認証機関選びのチェックポイント
認定を受けているか:JABやUKASなど認定機関から認定を受けているか
業種の専門性:自社の業種に詳しい審査員がいるか
審査費用:初回審査、サーベイランス、更新審査の費用
審査員の質:実務経験のある審査員か
サポート体制:審査以外の支援があるか

審査を有効活用するために

第三者審査は、単に「認証を維持するため」だけのものではありません。外部の目でQMSを評価してもらう貴重な機会として活用しましょう。

📐 審査を活用するコツ

・指摘事項を改善のきっかけと捉える
・審査員の業界知見を吸収する
観察事項も積極的に改善する
・審査結果を全社で共有し、学びを広げる

まとめ

この記事では、第三者認証制度の仕組みと、認証取得・維持の流れを解説しました。

📝 この記事のポイント
・第三者認証は独立した機関がQMSの適合性を証明する仕組み
「認証」は組織に対して、「認定」は認証機関に対して行われる
・日本の認定機関はJAB(日本適合性認定協会)
・初回審査は2段階(文書審査→現地審査)で実施
・認証は3年サイクルで維持(サーベイランス→更新審査)
・審査は「義務」ではなく「改善の機会」として活用する

ISO 9001認証は、取得がゴールではありません。認証を維持し、審査を通じてQMSを継続的に改善していくことが、本当の意味での品質経営につながります。

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