実践編

片側規格の工程能力指数とは?Cpu・Cplの計算式と判定、不良率を例題で図解|計算ツール付き

片側規格の工程能力指数を表すアイキャッチ。分布の山と、片側だけにある規格の線、平均から規格までの距離

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 規格が「○○以下」しかないとき、工程能力指数をどう出すかわからない
  • Cpu・Cpl・Cpkの関係がごちゃごちゃになる
  • 片側規格のCpu=1.33で、不良がどれくらい出るのか知りたい
この記事でわかること
  • 片側規格の工程能力指数とは何か、Cpu・Cplの計算式
  • Cpkとの関係と、教科書・会社による書き方のちがい
  • 判定の目安と、片側の不良率(ppm)
  • データを入れるだけの計算ツール
結論|まず30秒でわかる答え

片側規格の工程能力指数とは、上限か下限の片方だけに規格がある特性について、規格に対する工程のゆとりを表す数です。上限だけならCpu=(上限規格−平均)÷3σ、下限だけならCpl=(平均−下限規格)÷3σで求めます。両側規格のCpkは、CpuとCplの小さいほうです。判定の目安は両側と同じで、1.33以上なら工程能力は十分とされます。

片側規格の工程能力指数を表すアイキャッチ。分布の山と、片側だけにある規格の線、平均から規格までの距離

片側規格とは?「以下だけ」「以上だけ」の規格

小さいほどよい特性には上限だけ、大きいほどよい特性には下限だけの規格がつきます。これが片側規格です。

規格特性の性質例指数
上限だけ(○○以下)小さいほどよい反り・平面度、もれ電流、不純物、ばりの高さCpu(Upper)
下限だけ(○○以上)大きいほどよい引張強度、絶縁抵抗、めっきの厚さ、電池の容量Cpl(Lower)
両側(上限と下限)ねらいの値がある軸の直径、抵抗値Cp・Cpk

「小さいほどよい→上限→Cpu」「大きいほどよい→下限→Cpl」と覚えると迷いません。両側規格の判定基準や、Cpkそのものの考え方は、Cpkの記事でくわしく解説しています。

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片側規格の2種類の図。反りのように小さいほどよい特性は上限だけでCpu、強度のように大きいほどよい特性は下限だけでCpl

Cpu・Cplの計算式とCpkとの関係

公式

Cpu =(上限規格 USL − 平均 μ)÷ 3σ
Cpl =(平均 μ − 下限規格 LSL)÷ 3σ
Cpk = CpuとCplの小さいほう(両側規格)

どちらも「規格から平均までの距離が、3σの何個ぶんあるか」を表しています。Cpu=1なら、平均+3σがちょうど上限に届く状態です。両側規格では上と下の両方を計算し、きびしいほう(小さいほう)をCpkとします。片側規格では、規格のある側だけを計算します。

書き方は文献や会社でちがう

場面片側規格の指数の書き方
日本の品質管理の教科書・QC検定Cp=(SU−x̄)÷3s のように「Cp」と書くことが多い
自動車業界(AIAGなど)・統計ソフトCPU・CPL(上側・下側)
社内報告・客先への提出「Cpk」として報告することも多い(あるほうの片側だけの値)

中身の計算は同じで、呼び名がちがうだけです。報告するときは「上限規格のみ、Cpu(片側)で計算」のように、何を計算したかを書きそえると誤解がありません。

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Cpu・CplとCpkの関係の図。Cpuは上限から平均までの距離÷3σ、Cplは平均から下限までの距離÷3σ、両側規格のCpkは小さいほう

例題|Cpu・Cplを計算する

例題1:樹脂部品の反り(上限0.50mm以下)

平均0.30mm、標準偏差0.05mm のとき、Cpu=(0.50−0.30)÷(3×0.05)=0.20÷0.15=1.33。工程能力は十分です。上限をこえる割合は、正規分布なら約32ppm(100万個に約32個)です。

例題2:部品の引張強度(下限500N以上)

平均560N、標準偏差15N のとき、Cpl=(560−500)÷(3×15)=60÷45=1.33。こちらも十分です。もし平均が545Nに下がれば Cpl=45÷45=1.00 となり、下限を下回る割合は約1,350ppm(約0.13%)に増えます。

判定の目安と片側の不良率

Cpu・Cpl判定の目安片側の規格外(正規分布)
1.67以上十分すぎる約0.3ppm以下
1.33〜1.67十分約33ppm〜0.3ppm
1.00〜1.33まずまず(管理を続ける)約1,350ppm〜33ppm
0.67〜1.00不足約2.2%〜0.135%
0.67未満非常に不足約2.2%以上

片側規格では規格外になるのは片側だけなので、同じ指数の両側規格(Cp)よりも不良率は半分になります。たとえばCp=1.00(両側)では約2,700ppmですが、Cpu=1.00(片側)では約1,350ppmです。

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片側規格の例題の図。反りの上限0.50mm、平均0.30mm、標準偏差0.05mmなら、Cpu=0.20÷0.15=1.33

片側規格の工程能力指数 計算ツール

規格は、あるほうだけ入れてください(両方入れるとCpkも出します)。平均と標準偏差のかわりに、測定データを貼ることもできます。

入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

片側規格の工程能力指数の判定と不良率の図。1.00で約1,350ppm、1.33で約33ppm、1.67で約0.3ppm

片側規格でよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
片側規格でもCp=(USL−LSL)÷6σを使う規格幅がないので6σでは割れない。片側の距離÷3σ
下限を0として両側で計算する規格にない下限を勝手に作らない。Cpuだけで評価する
不良率は両側と同じはみ出すのは片側だけ。同じ値なら両側の半分
0に近い特性でも正規分布で不良率を出す右に長い分布になりやすい。分布を確かめ、必要なら変換や別の方法で
「Cpk」と書いたら誤り呼び名のちがい。片側で計算したことを明記すればよい

また、工程能力指数は、工程が安定している(管理状態にある)ことが前提です。管理図で異常が出ている工程の指数は、将来の不良率の目安になりません。

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片側規格の工程能力指数のよくある間違いの図。6σで割らない、ない下限を作らない、不良率は両側の半分、0に近い量は分布の形を確かめる

よくある質問

Q. 片側規格の工程能力指数はどう求める?

A. 上限だけならCpu=(上限−平均)÷3σ、下限だけならCpl=(平均−下限)÷3σです。

Q. CpkとCpu・Cplの関係は?

A. 両側規格のCpkは、CpuとCplのうち小さいほうです。片側規格では、規格のある側だけを計算します。

Q. 片側規格でCpkと書いてもいい?

A. 呼び名は文献や会社でちがいます。QC検定ではCpと書くことも多いので、片側で計算したと書きそえます。

Q. Cpl=1.33の不良率は?

A. 正規分布なら、下限を下回る割合は約33ppm(100万個に約33個)です。1.00なら約1,350ppmです。

Q. 判定の基準は両側と同じ?

A. 目安は同じで、1.33以上で十分、1.00未満は不足です。客先から指定があればそちらに従います。

まとめ
  • 小さいほどよい→上限→Cpu、大きいほどよい→下限→Cpl
  • Cpu=(USL−μ)÷3σ、Cpl=(μ−LSL)÷3σ、Cpk=小さいほう
  • 呼び名は文献でちがう(QC検定はCp)。何を計算したか書きそえる
  • 1.33で片側約33ppm、1.00で約1,350ppm
  • 0に近い特性は分布の形を確かめる
片側規格の工程能力指数のまとめの図。上限だけならCpu、下限だけならCpl、両側規格のCpkは小さいほう、1.33で片側約33ppm
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S
シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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