QC検定 実践編

【QC検定1級】社会的責任(CSR・CSV)|企業と品質管理の社会的役割

😣 こんな悩みはありませんか?
  • CSRとCSVの違いがよくわからない
  • ステークホルダーって具体的に誰のこと?
  • ISO 26000やSDGsと品質管理の関係が見えない
  • 社会的責任がQC検定でなぜ出題されるの?
✅ この記事でわかること
  • CSR(社会的責任)とCSV(共有価値の創造)の違い
  • ステークホルダーの種類と企業との関係
  • ISO 26000の7つの中核主題
  • 品質管理と社会的責任のつながり

「企業は利益を出せばいい」——そんな時代は終わりました。

今、企業には「社会の一員として責任を果たすこと」が求められています。環境問題、人権、地域貢献…。これらを無視した企業は、消費者からも投資家からも見放される時代です。

「でも、それって品質管理と何の関係があるの?」

実は、品質管理こそ社会的責任の最前線なんです。

安全な製品を届ける、環境に配慮した製造を行う、顧客の信頼に応える——これらはすべて品質管理の仕事であり、同時に社会的責任を果たす行為でもあります。

QC検定1級では、この「社会的責任」が重要なテーマとして出題されます。この記事では、CSR・CSV・ステークホルダー・ISO 26000といった概念を、イメージでわかりやすく解説します。

社会的責任(CSR)とは何か?

まず、「社会的責任」の基本を押さえましょう。

CSRの定義

📖 CSR(Corporate Social Responsibility)とは
企業が利益追求だけでなく、社会や環境に与える影響に責任を持ち、ステークホルダー(利害関係者)との関係を重視しながら事業活動を行うこと。

簡単に言えば、「企業は社会の一員として、良き市民であるべき」という考え方です。

イメージとしては、こんな感じです。

🏠 たとえ話:企業を「家族」に例えると
あなたが一軒家に住んでいるとします。

「自分の家だから何をしてもいい」と、夜中に大音量で音楽を流したり、ゴミを庭に放置したりしたらどうなるでしょう?

近所から苦情が来て、最終的には住みづらくなりますよね。

企業も同じです。「自分たちさえ儲かればいい」という姿勢では、社会から孤立し、長期的には事業を続けられなくなるのです。

なぜ今、CSRが重要なのか?

CSRが重視されるようになった背景には、以下のような社会の変化があります。

変化影響
環境問題の深刻化気候変動、資源枯渇への対応が必須に
SNSの普及企業の不祥事が瞬時に拡散される時代
消費者意識の変化「良い企業」から買いたいという志向
ESG投資の拡大社会的責任を果たす企業に投資が集まる
人材獲得競争若い世代は企業の社会貢献度を重視

つまり、CSRは「やったほうがいいこと」ではなく、「やらないと生き残れないこと」になっているのです。

CSRとCSVの違い|「コスト」から「投資」へ

CSRと並んで重要な概念がCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)です。この2つの違いを理解することは、QC検定1級で必須です。

CSRの限界

従来のCSRには、ある問題がありました。

⚠️ 従来のCSRの問題点
「社会貢献 = コスト」という考え方。

寄付をする、ボランティアをする、環境対策をする…。これらは「良いこと」だけど、企業の利益を減らす活動として捉えられていました。

結果として、「余裕がある時だけやる」「本業とは別の活動」という位置づけになりがちでした。

CSVという新しい考え方

2011年、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱したのがCSVです。

📖 CSV(Creating Shared Value)とは
社会的な課題を解決することで、社会的価値と経済的価値を同時に創造する経営戦略。「社会貢献」と「利益」を両立させる考え方。

CSVのポイントは、「社会貢献 = ビジネスチャンス」と捉えることです。

🌱 CSVの具体例
  • トヨタのハイブリッド車:環境問題を解決しながら、新市場を開拓
  • ユニクロのリサイクル:古着回収で環境貢献しながら、顧客接点を増やす
  • ネスレの農家支援:途上国の農家を支援することで、高品質な原料を安定調達

CSRとCSVの違いを一言で

比較項目CSRCSV
基本的な考え方社会に「還元」する社会と「共に成長」する
利益との関係コスト(利益を減らす)投資(利益を生む)
本業との関係本業とは別の活動本業そのもの
持続可能性余裕がある時だけ継続的に取り組める
一言で表すと「善行」「Win-Win」
💡 覚え方
CSR = 「Cost(コスト)としてSociety(社会)にReturn(還元)」
CSV = 「Company(企業)とSociety(社会)のValue(価値)を共有」

ただし、CSVがCSRを「置き換える」わけではありません。CSRの土台の上に、CSVの考え方を加えるのが理想的な姿です。

ステークホルダーとは?|企業を取り巻く利害関係者

社会的責任を考えるとき、必ず登場するのが「ステークホルダー(Stakeholder)」という概念です。

ステークホルダーの定義

📖 ステークホルダーとは
企業の活動によって影響を受ける、または影響を与えるすべての個人・集団・組織のこと。日本語では「利害関係者」と訳される。

「株主」だけが企業の関係者ではありません。企業は、様々なステークホルダーとの関係の中で存在しています。

主なステークホルダーと企業との関係

ステークホルダー企業が提供するもの企業が受け取るもの
顧客製品・サービス、安全、満足売上、信頼、フィードバック
従業員給与、働きがい、成長機会労働力、アイデア、忠誠心
株主・投資家配当、企業価値向上、情報開示資金、経営への信認
取引先・サプライヤー公正な取引、支払い、成長機会原材料、部品、サービス
地域社会雇用、税金、地域貢献活動操業許可、人材、インフラ
環境・地球環境保全、資源の持続的利用資源、エネルギー、生態系サービス
🌐 イメージ:企業は「ネットワークの中心」
企業を「孤立した存在」と考えるのではなく、様々なステークホルダーと「つながっている」存在と考えましょう。

どこか一箇所の糸が切れると、全体のバランスが崩れます。すべてのステークホルダーとの関係を大切にすることが、企業の持続可能性につながります。

株主至上主義からステークホルダー資本主義へ

かつては「企業は株主のもの」「株主利益の最大化が経営の目的」という考え方(株主至上主義)が主流でした。

しかし現在は、すべてのステークホルダーの利益をバランスよく考慮する「ステークホルダー資本主義」への転換が進んでいます。

2019年には、アメリカの大企業経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、株主至上主義からの転換を宣言。「企業はすべてのステークホルダーに価値を提供する」という声明を発表しました。

ISO 26000|社会的責任の国際ガイダンス

社会的責任について、国際的なガイダンスを示しているのがISO 26000です。QC検定1級では、この規格の内容が出題されます。

ISO 26000とは

📖 ISO 26000とは
2010年に発行された、社会的責任に関する国際ガイダンス規格。企業だけでなく、あらゆる組織が社会的責任を果たすための手引きを提供する。
⚠️ 重要なポイント
ISO 26000は「ガイダンス規格」であり、ISO 9001のような「認証規格」ではありません。

つまり、第三者機関による認証を受けることはできません。あくまで「参考にするもの」という位置づけです。

ISO 26000の7つの中核主題

ISO 26000では、社会的責任を7つの中核主題に整理しています。これはQC検定1級で頻出です。

中核主題内容
①組織統治意思決定の仕組み、説明責任、透明性
②人権差別禁止、児童労働・強制労働の排除
③労働慣行安全衛生、公正な労働条件、人材育成
④環境汚染防止、資源の持続的利用、気候変動対策
⑤公正な事業慣行汚職防止、公正な競争、サプライチェーン管理
⑥消費者課題製品安全、情報提供、プライバシー保護
⑦コミュニティへの参画地域貢献、教育・文化支援、雇用創出
💡 覚え方:「組人労環公消コ」
7つの中核主題の頭文字を並べると「組・人・労・環・公・消・コ」。

織統治で権を守り、働環境を整え、境に配慮し、正な取引で費者を守り、ミュニティに貢献する」と覚えましょう。

ISO 26000の7つの原則

ISO 26000では、社会的責任を果たすための7つの原則も定めています。

  1. 説明責任:自らの行動について説明する責任
  2. 透明性:意思決定や活動を明確にオープンにする
  3. 倫理的な行動:正直、公正、誠実に行動する
  4. ステークホルダーの利害の尊重:利害関係者の期待に応える
  5. 法の支配の尊重:法令を遵守する
  6. 国際行動規範の尊重:国際的な基準を尊重する
  7. 人権の尊重:基本的人権を尊重する

SDGsと企業の社会的責任

近年、社会的責任を語る上で欠かせないのがSDGs(持続可能な開発目標)です。

SDGsとは

📖 SDGs(Sustainable Development Goals)とは
2015年に国連で採択された、2030年までに達成すべき17の目標。貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー、水、エネルギー、経済成長、イノベーション、不平等、都市、消費と生産、気候変動、海洋、陸上、平和、パートナーシップの17分野。

SDGsは政府だけでなく、企業の積極的な参画も求めています。なぜなら、地球規模の課題解決には、企業のリソースとイノベーションが不可欠だからです。

品質管理とSDGsの関係

品質管理は、SDGsの複数の目標に貢献できます。

SDGs目標品質管理の貢献
目標3:すべての人に健康と福祉を安全な製品の提供、製品安全の確保
目標8:働きがいも経済成長も安全な労働環境の整備、生産性向上
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう継続的改善、イノベーションの推進
目標12:つくる責任つかう責任不良削減、資源の効率的利用、廃棄物削減
目標13:気候変動に具体的な対策を省エネ、CO2削減、環境マネジメント
💡 品質管理者の視点
品質管理の基本である「不良を減らす」「ムダをなくす」「安全を確保する」という活動は、そのままSDGsへの貢献につながります。

日々の品質管理活動が、実は地球規模の課題解決に貢献している——そう考えると、仕事のやりがいも増しますよね。

品質管理と社会的責任のつながり

ここまでCSR、CSV、ステークホルダー、ISO 26000、SDGsについて見てきました。最後に、品質管理と社会的責任がどうつながるのかを整理しましょう。

品質管理は社会的責任の「実践」

品質管理の活動は、そのまま社会的責任を果たす行為です。

品質管理の活動社会的責任との関係
製品の安全性確保顧客の安全を守る(消費者課題)
不良率の低減資源のムダを減らす(環境)
正確なデータ管理透明性と説明責任(組織統治)
作業環境の改善従業員の安全と健康(労働慣行)
サプライヤー管理公正な取引、人権配慮(公正な事業慣行)
顧客満足の追求ステークホルダーへの価値提供
🔑 キーメッセージ
「良い品質管理 = 社会的責任を果たすこと」

品質管理者は、単に「良い製品を作る」だけでなく、「社会に貢献する」という大きな役割を担っています。

QC検定1級での出題ポイント

最後に、QC検定1級で社会的責任がどのように出題されるか、ポイントを整理します。

頻出テーマと出題ポイント

頻出テーマ出題ポイント
CSRとCSVの違いコスト vs 投資、還元 vs 共創の違い
ステークホルダー6つのステークホルダーと企業との関係
ISO 260007つの中核主題、7つの原則、ガイダンス規格である点
SDGsとの関係品質管理がSDGsにどう貢献するか
品質管理との関連品質管理活動がなぜ社会的責任につながるか
💡 試験対策のポイント
社会的責任の問題は、用語の定義と違いを正確に覚えることが重要です。

特に「CSRとCSVの違い」「ISO 26000の7つの中核主題」は頻出。暗記するだけでなく、なぜそうなのかを理解しておくと、応用問題にも対応できます。

まとめ:品質管理は社会貢献

最後に、この記事のポイントをまとめます。

📝 この記事のまとめ
  • CSRは社会に「還元」する考え方、CSVは社会と「共に成長」する考え方
  • ステークホルダーは顧客、従業員、株主、取引先、地域社会、環境の6つ
  • ISO 26000は社会的責任のガイダンス規格(認証規格ではない)
  • ISO 26000の7つの中核主題:組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ
  • SDGsと品質管理は密接に関連している
  • 品質管理活動そのものが、社会的責任を果たす行為である

企業の社会的責任は、もはや「余裕があればやること」ではありません。企業が存続するための必須条件です。

そして、品質管理者は社会的責任の最前線にいます。

安全な製品を届ける、環境に配慮した製造を行う、正確なデータで透明性を確保する——これらはすべて、社会への貢献です。

「良い品質管理 = 社会への貢献」。この視点を持って、日々の業務に取り組みましょう。

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