- マーケティングと品質管理の関係がわからない
- 4PやSTPって何?QC検定でなぜ出題されるの?
- VOC(顧客の声)をどう品質に活かせばいいの?
- 市場調査の方法を体系的に理解したい
- マーケティングの基本フレームワーク(4P・STP)
- VOC(顧客の声)を品質に変換する方法
- 定量調査・定性調査の違いと使い分け
- 品質管理とマーケティングの連携ポイント
「マーケティングって、営業や広告の話でしょ?品質管理と何の関係があるの?」
そう思っていませんか?
実は、マーケティングと品質管理は切っても切れない関係にあります。
なぜなら、品質の出発点は「顧客が何を求めているか」だからです。どんなに技術的に優れた製品を作っても、顧客のニーズに合っていなければ「品質が良い」とは言えません。
マーケティングは、その「顧客のニーズ」を把握するための活動。つまり、マーケティングは品質管理の「入口」なのです。
QC検定1級では、このマーケティングの基本概念が出題されます。この記事では、4P、STP、VOC、市場調査といったマーケティングの基礎を、品質管理との関連を意識しながら解説します。
目次
マーケティングとは何か?
まず、「マーケティング」の定義を確認しましょう。
マーケティングの定義
顧客のニーズを理解し、そのニーズを満たす製品・サービスを創造・伝達・提供するための活動全体。「売れる仕組みづくり」とも言われる。
ポイントは、マーケティングは「売ること」ではないということ。
「売り込まなくても売れる状態」を作ることがマーケティングの本質です。そのためには、顧客が本当に欲しいものを理解し、それを提供する必要があります。
「マーケティングの目的は、販売を不要にすることである」
顧客を深く理解すれば、製品は「売り込まなくても」自然と売れる——これがマーケティングの理想形です。
なぜ品質管理にマーケティングが必要か?
品質管理の目的は「顧客に満足してもらうこと」です。
では、顧客は何に満足するのでしょうか?それを知るための活動がマーケティングです。
| マーケティングの役割 | 品質管理との関係 |
|---|---|
| 顧客ニーズの把握 | 品質目標の設定に活用 |
| 市場動向の分析 | 競合との品質差別化 |
| 顧客フィードバックの収集 | 品質改善のインプット |
| 新製品企画 | 品質機能展開(QFD)への入力 |
つまり、マーケティングなしに「良い品質」は定義できないのです。
マーケティングの4P|マーケティングミックス
マーケティングの最も基本的なフレームワークが「4P」です。QC検定1級では必須の知識です。
4Pとは
マーケティング戦略を構成する4つの要素。これらを最適に組み合わせて(ミックスして)、顧客に価値を提供する。
| 4P | 英語 | 内容 | 品質管理との関連 |
|---|---|---|---|
| 製品 | Product | 何を売るか(機能、品質、デザイン) | 品質特性の決定 |
| 価格 | Price | いくらで売るか(価格戦略) | コストと品質のバランス |
| 流通 | Place | どこで売るか(販売チャネル) | 流通過程での品質維持 |
| 販促 | Promotion | どう知らせるか(広告、PR) | 品質の訴求ポイント |
4Pは「何を・いくらで・どこで・どうやって」と覚えましょう。
Product(何を)→ Price(いくらで)→ Place(どこで)→ Promotion(どうやって知らせる)
品質管理者が意識すべき「Product(製品)」
4Pの中で、品質管理に最も関係が深いのは「Product(製品)」です。
Productには、以下のような要素が含まれます。
- 機能・性能:製品が果たす役割
- 品質:信頼性、耐久性、安全性
- デザイン:外観、使いやすさ
- ブランド:顧客が抱くイメージ
- アフターサービス:購入後のサポート
これらすべてが「製品品質」を構成します。品質管理者は、マーケティング部門と連携して、「顧客が求める製品品質」を明確にする必要があります。
4Cという顧客視点のフレームワーク
4Pは「売り手視点」のフレームワークです。これを「買い手視点」に置き換えたのが4Cです。
| 4P(売り手視点) | 4C(買い手視点) | 考え方の違い |
|---|---|---|
| Product(製品) | Customer Value(顧客価値) | 「何を作るか」→「顧客に何の価値があるか」 |
| Price(価格) | Cost(顧客コスト) | 「いくらで売るか」→「顧客の負担は何か」 |
| Place(流通) | Convenience(利便性) | 「どこで売るか」→「顧客が買いやすいか」 |
| Promotion(販促) | Communication(対話) | 「どう知らせるか」→「顧客とどう対話するか」 |
品質管理においても、この「顧客視点」が重要です。「良い製品を作る」ではなく、「顧客にとって価値のある製品を作る」という発想が求められます。

STP分析|誰に・何を・どう提供するか
もう一つの重要なフレームワークが「STP」です。4Pを考える前に、まずSTPで「戦略の方向性」を決めます。
STPとは
マーケティング戦略の基本プロセス。Segmentation(市場細分化)→ Targeting(標的市場の選定)→ Positioning(立ち位置の決定)の3ステップで、「誰に・何を・どう提供するか」を明確にする。
ステップ①:セグメンテーション(市場細分化)
市場を似たニーズを持つグループに分ける作業です。
「すべての人に売る」ことはできません。まず市場を分類して、どのグループを狙うか決める必要があります。
| 分類の切り口 | 具体例 |
|---|---|
| 地理的変数 | 国、地域、都市規模、気候 |
| 人口統計的変数 | 年齢、性別、所得、職業、家族構成 |
| 心理的変数 | ライフスタイル、価値観、性格 |
| 行動変数 | 使用頻度、購買動機、ブランドロイヤルティ |
ステップ②:ターゲティング(標的市場の選定)
セグメントの中から、自社が狙うべき市場を選ぶ作業です。
選定の基準は以下の通りです。
- 市場規模:十分な大きさがあるか
- 成長性:将来性があるか
- 競合状況:競争に勝てるか
- 自社の強み:自社の能力が活かせるか
- 収益性:利益が出せるか
ステップ③:ポジショニング(立ち位置の決定)
選んだ市場の中で、競合と差別化するポジションを決めます。
「顧客の頭の中に、自社製品をどう位置づけるか」という話です。
縦軸を「価格(高い↔安い)」、横軸を「コンセプト(実用的↔スポーティ)」とすると…
・レクサス:高価格×高級感
・トヨタ:中価格×実用的
・スズキ:低価格×実用的
・マツダ:中価格×スポーティ
このように、各ブランドは「空いているポジション」を狙います。
STPと品質管理の関係
STPで「誰に」が決まると、「求められる品質」も明確になります。
| ターゲット | 求められる品質 |
|---|---|
| 高所得層 | 高級感、希少性、ブランド価値 |
| ファミリー層 | 安全性、耐久性、コストパフォーマンス |
| 若年層 | デザイン、トレンド、SNS映え |
| プロ・専門家 | 高性能、精度、信頼性 |
品質管理者は、STPの結果を踏まえて「誰のための品質か」を明確にする必要があります。

VOC(顧客の声)|品質の出発点
マーケティングと品質管理をつなぐ最重要概念が「VOC(Voice of Customer:顧客の声)」です。
VOCとは
顧客が製品・サービスに対して持つニーズ、期待、不満、要望などの総称。「顧客の声」を収集・分析し、品質改善や製品開発に活かす。
VOCには、様々な形があります。
- 明示的なVOC:アンケート回答、クレーム、問い合わせ
- 暗黙的なVOC:購買行動、使用状況、離脱理由
- 潜在的なVOC:顧客自身も気づいていないニーズ
VOCの収集方法
| 収集方法 | 特徴 | 得られるVOC |
|---|---|---|
| アンケート調査 | 大量のデータを収集可能 | 定量的な満足度、ニーズ |
| インタビュー | 深い理解が得られる | 潜在ニーズ、詳細な意見 |
| フォーカスグループ | グループでの議論から発見 | 多様な視点、新しいアイデア |
| クレーム・問い合わせ | リアルな不満が把握できる | 品質問題、改善ポイント |
| SNS・レビュー | 本音が聞ける | 評判、感情、トレンド |
| 行動データ | 言葉にならないニーズ | 使用パターン、離脱原因 |
VOCを品質に変換する|QFDとの連携
収集したVOCは、そのままでは製品設計に使えません。「顧客の言葉」を「技術の言葉」に翻訳する必要があります。
この翻訳作業を体系的に行うのがQFD(品質機能展開)です。
VOC:「持ち運びやすいスマホがいい」
↓
要求品質:軽量性、コンパクトさ
↓
品質特性:重量150g以下、厚さ8mm以下
このように、曖昧な顧客の声を測定可能な品質特性に落とし込むことで、品質管理が可能になります。

市場調査の方法|定量調査と定性調査
VOCを収集するための体系的な方法が市場調査(マーケットリサーチ)です。
定量調査と定性調査の違い
市場調査は大きく「定量調査」と「定性調査」に分けられます。
| 比較項目 | 定量調査 | 定性調査 |
|---|---|---|
| 目的 | 「何が・どれくらい」を測る | 「なぜ・どのように」を探る |
| データの形 | 数値 | 言葉、映像、観察記録 |
| サンプル数 | 多い(数百〜数千) | 少ない(数人〜数十人) |
| 分析方法 | 統計分析 | 内容分析、解釈 |
| 代表的な手法 | アンケート、Webリサーチ | インタビュー、観察 |
| 強み | 客観性、再現性、一般化 | 深い理解、発見、柔軟性 |
定性調査は「仮説を作る」のに適している。
定量調査は「仮説を検証する」のに適している。
多くの場合、定性調査で深掘り → 定量調査で確認という順序で実施します。
代表的な調査手法
定量調査の手法
- 質問紙調査(アンケート):紙やWebで多数の回答を収集
- パネル調査:同じ対象者に継続的に調査
- 実験調査:条件を変えて反応を測定
- POS分析:販売データから購買行動を分析
定性調査の手法
- デプスインタビュー:一人に深く聞く(1〜2時間)
- フォーカスグループインタビュー:6〜8人でグループ討論
- エスノグラフィー:生活現場を観察する
- 行動観察:製品の使用場面を観察する
品質管理への活用
市場調査の結果は、品質管理の様々な場面で活用できます。
| 調査の種類 | 品質管理での活用 |
|---|---|
| 顧客満足度調査 | 品質目標の設定、改善優先順位の決定 |
| 使用実態調査 | 設計品質の見直し、耐久性要件の決定 |
| 競合製品調査 | ベンチマーキング、品質差別化 |
| クレーム分析 | 品質問題の特定、再発防止 |

QC検定1級での出題ポイント
最後に、QC検定1級でマーケティングがどのように出題されるか、ポイントを整理します。
頻出テーマと出題ポイント
| 頻出テーマ | 出題ポイント |
|---|---|
| 4P | 4つの要素の名称と内容、4Cとの対比 |
| STP | 3ステップの順序と内容、セグメンテーションの切り口 |
| VOC | 収集方法、品質特性への変換、QFDとの連携 |
| 市場調査 | 定量調査と定性調査の違い、代表的な手法 |
| 品質管理との関連 | 顧客ニーズと品質特性のつながり |
マーケティングの問題は、用語の定義を正確に覚えることが重要です。
特に「4Pの4つの要素」「STPの3ステップ」「定量調査と定性調査の違い」は頻出。また、「マーケティングと品質管理がどうつながるか」という視点での出題もあります。
まとめ:顧客起点の品質づくり
最後に、この記事のポイントをまとめます。
- マーケティングは「売れる仕組みづくり」であり、品質管理の「入口」
- 4PはProduct・Price・Place・Promotionの4要素
- STPはSegmentation→Targeting→Positioningの3ステップ
- VOC(顧客の声)を品質特性に変換することが重要
- 定量調査は「何がどれくらい」、定性調査は「なぜどのように」を探る
- マーケティングと品質管理は「顧客起点」という共通の軸でつながっている
品質管理の出発点は「顧客が何を求めているか」です。
技術的に優れた製品を作っても、顧客のニーズに合っていなければ意味がありません。マーケティングは、その「顧客のニーズ」を把握するための活動です。
「顧客の声を聴き、品質に変換する」——これがマーケティングと品質管理をつなぐ本質です。
品質管理者として、マーケティングの視点を持つことで、より「顧客に価値のある品質」を実現できるようになります。
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