QC検定 実践編

【QC検定1級】顧客関係性管理(CRM)|顧客との長期的な関係を構築する

😣 こんな悩みはありませんか?
  • CRM(顧客関係性管理)って何?品質管理と何の関係があるの?
  • 顧客ロイヤルティやLTVの意味がよくわからない
  • リテンション(顧客維持)がなぜ重要なのか知りたい
  • QC検定1級でCRMがどう出題されるか把握したい
✅ この記事でわかること
  • CRM(顧客関係性管理)の基本概念
  • 顧客ロイヤルティとLTV(顧客生涯価値)の考え方
  • リテンション(顧客維持)の重要性
  • CRMと品質管理の関係

「新規顧客を獲得するのに、既存顧客を維持するコストの5倍かかる」

これは、マーケティングの世界でよく言われる法則です。

つまり、一度獲得した顧客との関係を維持・強化することが、ビジネスの成功には不可欠ということ。これが「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係性管理)」の考え方です。

「でも、それって営業やマーケティングの話でしょ?」

いいえ、品質管理にも大いに関係があります。なぜなら、顧客が「また買いたい」と思うかどうかは、製品・サービスの品質で決まるからです。

この記事では、CRMの基本概念を、品質管理との関連を意識しながら解説します。

CRM(顧客関係性管理)とは何か?

まず、CRMの定義を確認しましょう。

CRMの定義

📖 CRM(Customer Relationship Management)とは
顧客との長期的な関係を構築・維持・強化するための経営戦略・手法・システムの総称。顧客データを活用して、一人ひとりに最適な対応を行い、顧客満足度とロイヤルティを高める。

CRMの本質は、「一度きりの取引」から「継続的な関係」への転換です。

🤝 たとえ話:「売り切り型」vs「関係構築型」
売り切り型:「今日、この商品を買ってもらえればOK」
→ 一回の取引で終わり。次に来るかは運任せ。

関係構築型(CRM):「この人と長くお付き合いしたい」
→ 購入後もフォローし、次の購入につなげ、ファンになってもらう。

どちらが長期的に儲かるか?当然、後者です。

なぜ今、CRMが重要なのか?

CRMが重視されるようになった背景には、ビジネス環境の変化があります。

環境変化CRMの必要性
市場の成熟化新規顧客の獲得が難しくなり、既存顧客の維持が重要に
競争の激化差別化が難しく、「関係性」で選ばれる時代に
顧客ニーズの多様化「一人ひとりに合った対応」が求められる
ITの進化顧客データの収集・分析が容易になった
SNSの普及口コミの影響力が増大し、ファン作りが重要に

LTV(顧客生涯価値)|一人の顧客の「生涯の価値」

CRMを理解する上で最も重要な概念が「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」です。

LTVとは

📖 LTV(Life Time Value)とは
一人の顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値の総額。「1回の購入額」ではなく、「その顧客との取引が続く限りの累計額」で顧客価値を評価する考え方。

LTVの計算式

LTVの基本的な計算式は以下の通りです。

📐 LTVの計算式

LTV = 購買単価 × 購買頻度 × 継続期間
🧮 具体例:コーヒーショップ
購買単価:500円/回
購買頻度:週2回(年間100回)
継続期間:5年

LTV = 500円 × 100回 × 5年 = 25万円

1回500円の顧客でも、生涯では25万円の価値がある!

LTV思考が変える「顧客への見方」

LTVで顧客を見ると、発想が大きく変わります。

視点従来の考え方LTV思考
顧客の価値1回の購入額生涯の累計額
投資判断今回の利益で判断長期的な利益で判断
クレーム対応コストをかけたくない関係維持のために丁寧に対応
品質投資コストアップ要因LTV向上のための投資
⚠️ 品質とLTVの関係
品質が悪い → 顧客が離脱 → 継続期間が短縮 → LTV低下

逆に言えば、品質を高めることでLTVを向上させられる。品質投資はコストではなく、LTV向上のための「投資」と考えましょう。

顧客ロイヤルティ|顧客の「愛着度」を高める

LTVを高めるカギが「顧客ロイヤルティ(Customer Loyalty)」です。

顧客ロイヤルティとは

📖 顧客ロイヤルティとは
顧客が特定のブランドや企業に対して抱く愛着、信頼、忠誠心の度合い。ロイヤルティが高い顧客は、繰り返し購入し、他者に推奨し、多少の値上げでも離れない。

「満足」と「ロイヤルティ」は似ているようで違います。

比較項目顧客満足顧客ロイヤルティ
定義期待に対する評価愛着・忠誠心
時間軸その時点での評価長期的な関係性
行動満足でも他社に乗り換える可能性あり他社が良くても乗り換えない
推奨行動必ずしも推奨しない積極的に他者に推奨する

顧客ロイヤルティのピラミッド

顧客のロイヤルティは、以下のような段階で成長します。

📊 顧客ロイヤルティのピラミッド(下から上へ)
  1. 一般顧客:たまたま購入した顧客(特に愛着なし)
  2. リピーター:繰り返し購入する顧客(習慣的)
  3. ファン:ブランドに愛着を持つ顧客(感情的なつながり)
  4. アドボケイト:他者に積極的に推奨する顧客(口コミを広げる)

CRMの目標は、顧客をピラミッドの上位に押し上げることです。特に「アドボケイト」は、新規顧客を連れてきてくれる「最強の営業マン」です。

NPS(Net Promoter Score)|ロイヤルティの測定指標

顧客ロイヤルティを測る代表的な指標がNPSです。

📖 NPS(Net Promoter Score)とは
「この製品/サービスを友人や同僚にどの程度おすすめしますか?」という質問に対し、0〜10点で回答してもらい、以下のように分類する。

推奨者(9〜10点):積極的に推奨する
中立者(7〜8点):満足しているが推奨はしない
批判者(0〜6点):不満を持っている

NPS = 推奨者の割合 - 批判者の割合

NPSは「顧客満足度」よりも業績との相関が高いと言われ、多くの企業が採用しています。

リテンション|顧客を「離さない」技術

LTVを高めるもう一つのカギが「リテンション(Retention:顧客維持)」です。

リテンションとは

📖 リテンションとは
既存顧客との関係を維持し、離脱(チャーン)を防ぐ活動。顧客が他社に流出することを防ぎ、継続的な取引を実現する。

「1:5の法則」と「5:25の法則」

リテンションの重要性を示す有名な法則があります。

📏 マーケティングの法則
1:5の法則
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる。

5:25の法則
顧客離脱率を5%改善すると、利益が25%以上向上する。

つまり、新規獲得より既存顧客の維持のほうが、はるかにコスパが良いということです。

顧客が離脱する理由

顧客が離脱する理由を理解することが、リテンション施策の第一歩です。

離脱理由割合対策
無関心・忘れられた約68%継続的なコミュニケーション
品質への不満約14%品質改善
価格への不満約9%価値の訴求、ロイヤルティプログラム
競合に流出約5%差別化、スイッチングコストの設計
その他約4%

驚くべきことに、離脱の最大の理由は「品質不満」ではなく「無関心」です。つまり、「放置した」だけで顧客は離れていくのです。

リテンション施策の例

  • ロイヤルティプログラム:ポイント制度、会員ランク
  • 定期的なコミュニケーション:メルマガ、アプリ通知
  • パーソナライズ:個人に合わせたおすすめ、誕生日特典
  • カスタマーサクセス:顧客の成功を支援する活動
  • アフターサポート:丁寧なサポート対応

CRMシステム|顧客データの統合管理

CRMを実践するためのツールがCRMシステム(CRMソフトウェア)です。

CRMシステムとは

📖 CRMシステムとは
顧客に関する様々な情報を一元管理するデータベースと、それを活用するための機能を持つシステム。顧客の「見える化」を実現し、最適なアクションを支援する。

CRMシステムで管理する情報

情報の種類具体例
基本情報氏名、連絡先、会社名、役職
購買履歴購入日、購入商品、購入金額、頻度
コミュニケーション履歴問い合わせ内容、対応履歴、クレーム
行動データWebサイト閲覧、メール開封、アプリ利用
嗜好・属性興味関心、セグメント、ランク

CRMと品質管理の連携

CRMシステムに蓄積されたデータは、品質管理にも活用できます。

CRMデータ品質管理への活用
クレーム・問い合わせ品質問題の早期発見、改善優先順位の決定
顧客の声(VOC)製品開発へのインプット、QFDへの活用
購買パターン品質と購買行動の相関分析
離脱データ品質要因による離脱の特定
💡 品質管理者の視点
CRMシステムには、品質改善のヒントが山ほど眠っています

「クレームが増えている製品は?」「どんな品質問題で顧客が離脱している?」——これらの答えは、CRMデータの中にあります。

QC検定1級での出題ポイント

最後に、QC検定1級でCRMがどのように出題されるか、ポイントを整理します。

頻出テーマと出題ポイント

頻出テーマ出題ポイント
CRMの定義顧客関係性管理の目的と意義
LTV計算式、LTV思考の意義
顧客ロイヤルティ定義、顧客満足との違い、NPS
リテンション1:5の法則、5:25の法則、離脱防止策
品質管理との関連CRMデータの品質改善への活用
💡 試験対策のポイント
CRMの問題は、用語の定義と数値(1:5の法則など)を正確に覚えることが重要です。

また、「CRMと品質管理がどうつながるか」という視点での出題もあります。「品質が良い → 顧客満足 → ロイヤルティ向上 → LTV増加」という流れを理解しておきましょう。

まとめ:品質が顧客との関係を築く

最後に、この記事のポイントをまとめます。

📝 この記事のまとめ
  • CRMは顧客との長期的な関係を構築・維持・強化する活動
  • LTVは「購買単価 × 購買頻度 × 継続期間」で計算する顧客の生涯価値
  • 顧客ロイヤルティは愛着・忠誠心であり、「満足」とは異なる
  • リテンションは顧客維持活動。新規獲得の1/5のコストで利益を生む
  • 1:5の法則:新規獲得コストは維持コストの5倍
  • 5:25の法則:離脱率5%改善で利益25%向上
  • 品質が良い → ロイヤルティ向上 → LTV増加という因果関係がある

CRMの本質は、「一度きりの取引」から「継続的な関係」への転換です。

そして、その関係を築く土台となるのが「品質」です。

どんなに優れたマーケティングを行っても、製品・サービスの品質が悪ければ、顧客は離れていきます。逆に、品質が高ければ、顧客は自然とファンになり、他者に推奨してくれます。

「品質が関係を築く」——品質管理者として、この視点を持ちましょう。

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