- 「マネジメントレビュー」って何をレビューするの?
- 「有効性」「適合性」「妥当性」の違いがわからない
- インプットとアウトプットの項目が覚えられない
- マネジメントレビューの目的と意義
- 「適切・妥当・有効」の違いをイメージで理解
- インプット・アウトプットの覚え方
ISO 9001を学んでいると、必ず出てくるのが「マネジメントレビュー」という言葉です。
「レビュー」と聞くと、映画のレビューや商品レビューを思い浮かべるかもしれませんが、ここでの意味は少し違います。
この記事では、マネジメントレビューとは何か、そして頻出キーワードである「有効性」「適合性」「妥当性」の違いを、イメージで理解できるように解説します。
目次
マネジメントレビューとは?|経営者が自らQMSを「健康診断」する
マネジメントレビューを一言で言うと、「トップマネジメント(経営層)が、品質マネジメントシステム(QMS)を定期的に見直す活動」です。
イメージ:会社の「健康診断」
人間が年に一度健康診断を受けるように、会社のQMSも定期的に「健康診断」が必要です。
そして、この健康診断の結果を見て判断を下すのは、現場の担当者ではなく、経営者(トップマネジメント)です。
組織の品質マネジメントシステムが、引き続き「適切」「妥当」「有効」であることを確実にするために、トップマネジメントが計画的に行うレビュー活動。
なぜトップマネジメントが行うのか?
QMSの見直しは、単なる現場改善ではありません。
- 経営方針との整合性を確認する
- 資源(人・モノ・金)の配分を決定する
- 組織全体の方向性を修正する
これらは経営判断が必要な事項です。だから、トップマネジメントが自ら行う必要があるのです。
最重要キーワード|「適切」「妥当」「有効」の違い
マネジメントレビューで確認するのは、QMSが「適切」「妥当」「有効」であるかどうかです。
この3つは似ているようで、それぞれ違う意味を持っています。
3つのキーワードの違い
| キーワード | 意味 | 問いかけ | イメージ |
|---|---|---|---|
| 適切 (Suitable) |
状況や目的に合っている | 今の状況に合っているか? | 🧩 パズルのピースがはまる |
| 妥当 (Adequate) |
目的に対して十分で理にかなっている | 目的達成に十分か? | 🎯 的を射ている |
| 有効 (Effective) |
実際に成果・結果が出ている | ちゃんと成果が出ているか? | 🏆 結果が出ている |
具体例で理解する
たとえば、「不良品を減らすための検査工程」を考えてみましょう。
🧩 適切か?
→ 検査のタイミングや方法は、今の製造ラインに合っているか?
(例:ライン速度が上がったのに、検査方法が昔のままでは「適切」ではない)
🎯 妥当か?
→ 検査の頻度や精度は、目標達成に十分か?
(例:不良率0.1%を目指すのに、抜取検査が10%では「妥当」ではない)
🏆 有効か?
→ 実際に不良品は減っているか?
(例:検査を強化したのに不良率が変わらないなら「有効」ではない)
適切 → 「フィット」しているか(状況への適合)
妥当 → 「十分」か(目的への充足)
有効 → 「効いて」いるか(結果の達成)

「有効性の確保」とは?|最も重要なキーワード
3つのキーワードの中で、特に重要なのが「有効性」です。
ISO 9001では、「有効性」という言葉が何度も登場します。それだけ重視されているということです。
有効性とは「成果が出ているか」
計画した活動を実行し、計画した結果を達成した程度
つまり、「やろうとしたことが、実際にできたか?」ということです。
どんなに立派な計画を立てても、結果が出なければ「有効」とは言えません。
「有効性の確保」が求められる場面
ISO 9001では、以下のような場面で「有効性」の確認が求められます。
| 場面 | 確認内容 |
|---|---|
| QMS全体の有効性 | 品質マネジメントシステムが成果を出しているか |
| リスク・機会への取組みの有効性 | リスク対策が実際に機能しているか |
| 是正処置の有効性 | 問題の再発防止策が効いているか |
| 教育訓練の有効性 | 研修を受けた人が実際にスキルを発揮しているか |
有効性(Effectiveness):目標を達成できたか(結果重視)
効率(Efficiency):少ない資源で達成できたか(コスト重視)
ISO 9001では「有効性」が重視され、「効率」は直接的には求められていません。

マネジメントレビューのインプット|何を確認するのか?
マネジメントレビューでは、様々な情報を「インプット(入力情報)」として確認します。
インプットの主な項目
| 項目 | 内容 | キーワード |
|---|---|---|
| 前回の結果 | 前回のマネジメントレビューで決めたことの実施状況 | 処置の状況 |
| 外部・内部の課題 | 経営環境や組織内部の変化 | 課題の変化 |
| パフォーマンス情報 | 顧客満足度、品質目標の達成度、不適合の状況など | 有効性 |
| 資源の状況 | 人員、設備、予算などの資源が十分か | 資源の妥当性 |
| リスク・機会への取組み | リスク対策や機会活用の効果 | 有効性 |
| 改善の機会 | 今後改善できる可能性のある領域 | - |
インプット項目は「過去・現在・未来」で整理すると覚えやすいです。
過去:前回の結果、処置の状況
現在:パフォーマンス、資源、課題の変化
未来:リスク・機会、改善の機会

マネジメントレビューのアウトプット|何を決めるのか?
マネジメントレビューでは、インプット情報を踏まえて、「アウトプット(出力・決定事項)」を出します。
アウトプットの3つの柱
| アウトプット | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 改善の機会 | どこを改善するか | 検査工程の自動化を検討する |
| QMSの変更 | システムをどう変えるか | 品質目標の見直し、手順書の改訂 |
| 資源の必要性 | 何が必要か | 人員増強、設備投資、教育研修 |
特に「資源の必要性」は、トップマネジメントだからこそ決定できる事項です。
現場から「人が足りない」「設備が古い」という声が上がっても、最終的に資源を配分する決定はトップの仕事です。
マネジメントレビューのアウトプットは、「経営としての意思決定」です。
単なる報告書ではなく、実行可能な決定と処置を含める必要があります。

まとめ|マネジメントレビューの全体像
トップマネジメントが、QMSが「適切」「妥当」「有効」であることを確認し、必要な決定を下す活動。
キーワードの整理
| キーワード | 意味 | 一言で |
|---|---|---|
| 適切 | 状況に合っている | フィット |
| 妥当 | 目的に対して十分 | 十分 |
| 有効 | 成果が出ている | 効果あり |
| 課題 | 外部・内部の解決すべき問題 | 取り組むべき事項 |
| 資源 | 人・モノ・金・情報など | 経営資源 |
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