- 「電機子反作用の影響を答えよ」という穴埋め問題で、名前だけ覚えていて中身が説明できない
- 磁束分布の図を見ても「何がBefore で何がAfterか」がわからない
- 補極と補償巻線の違い、何となくで覚えているが説明できない
- 電機子反作用が「なぜ起きるか」を原因から理解する
- 磁束分布のBefore/Afterで「何が変わるのか」を視覚的に整理
- 減磁作用・中性点移動・整流悪化の3つの影響
- 補極・補償巻線の役割と違い
電機子反作用は、電験三種の機械科目で必ず1問は出る最頻出テーマです。「影響を3つ書け」「補極の目的は?」という穴埋めが定番です。この記事では丸暗記ではなく、図解で原理を理解した上でキーワードを押さえる順番で解説します。
目次
電機子反作用とは?まず「原因」から理解する
直流機(発電機・電動機)が動作すると、電機子コイルに電流Iaが流れます。この電流は磁界を作ります(アンペールの法則)。この「電機子電流が作る磁束」が、界磁が作る主磁束を乱す現象が電機子反作用です。
主磁束(界磁磁束)
界磁コイルが作る磁束Φf
N極→S極へ均一に流れる
これが起電力・トルクの源
電機子磁束
電機子電流Iaが作る磁束Φa
ブラシの軸方向(交差軸方向)に発生
これが主磁束を「邪魔」する
合成磁束(歪んだ磁束)
Φf と Φa の合成
分布が偏り、中性点がずれる
これが電機子反作用の結果
製造ラインのプレス機で、型(金型)が正確に位置を保っているのに、加工中の振動が型を少しずつずらしてしまうイメージです。界磁磁束が「型の正確な位置」で、電機子電流が「加工中の振動」。振動(電機子反作用)が大きいほど、型(磁束分布)のズレも大きくなります。

磁束分布のBefore / After:何がどう変わるか
試験の選択肢に出てくる磁束分布の図は、「Before(無負荷)」と「After(負荷あり)」の2パターンを頭に入れておけば対応できます。
BEFORE:無負荷時(電機子電流=ゼロ)の磁束分布
→ N極からS極へ均一に流れる。中性点は左右対称の中央に位置する。
AFTER:負荷時(電機子電流あり)の磁束分布
→ 磁束が歪み、密な部分と疎な部分ができる。電気的中性点が幾何学的中性点からずれる。
電機子磁束Φaは、ある場所では主磁束Φfと同方向(加算→密)、別の場所では逆方向(減算→疎)になります。これが磁束分布の歪みの正体です。

電機子反作用の3つの影響【ここが穴埋め問題の核心】
電機子反作用は3つの影響を引き起こします。これが試験の「穴埋め問題の定番」です。順番と内容をセットで覚えましょう。
電機子磁束が主磁束に重なることで、磁極面の磁束分布が不均一になります。一方の磁極端では磁束が増加し、他方では減少します。この不均一な分布を「偏磁」といいます。
鉄心が磁気飽和しているとき、密になった側の磁束増加量は飽和で頭打ちになります。一方、疎になった側は磁束が大きく減少します。その結果、増加分 < 減少分 となり、トータルの磁束Φが減少します。これを「減磁作用」といいます。
磁束分布が歪むと、電機子コイルの起電力がゼロになる位置(電気的中性点)が幾何学的中性点からずれます。ブラシは幾何学的中性点に固定されているため、ブラシ位置で短絡されるコイルに電流が残り、整流が悪化して火花が発生します。
| 影響 | 原因 | 結果 |
|---|---|---|
| ①偏磁作用 | Φf と Φa の合成 | 磁束分布が不均一・歪む |
| ②減磁作用 | 磁気飽和で増加分 < 減少分 | 平均磁束Φが減少、E・V低下 |
| ③中性点移動 | 磁束分布の歪みによる | 整流悪化・ブラシで火花発生 |

発電機と電動機で中性点はどちらに移動する?
「発電機と電動機で中性点の移動方向が逆」というのも頻出の穴埋めポイントです。理由を一度理解すれば、暗記しなくても導けます。
⚡→🔄 直流発電機
中性点は回転方向に移動
(電機子電流の方向が発電方向と同じ)
🔄→⚡ 直流電動機
中性点は回転方向と逆に移動
(電機子電流の方向が発電機と逆)
電機子電流の向きが発電機と電動機では逆になるからです。電動機は外部から電圧を加えて電流を流す(V = E + IaRa)。発電機は電流を外部に送り出す(V = E − IaRa)。電流の向きが逆 → 電機子磁束の向きが逆 → 中性点の移動方向が逆、という流れです。

対策①:補極(コンミテーティングポール)
電機子反作用の対策は主に2つあります。まず1つ目の補極(別名:補間極・コンミテーティングポール)から説明します。
補極の仕組みと設置場所
補極は主磁極の間(幾何学的中性点の位置)に設置される小さな磁極
ブラシで短絡されているコイル(整流中のコイル)に逆向きの起電力を発生させ、整流を改善する。電機子反作用による中性点移動の影響を打ち消す。
電機子と直列に接続します。負荷電流が増えると補極の磁束も自動的に増えるので、電機子反作用の変化に自動追従します。
補極は整流区間(ブラシ付近)のみを改善します。磁極面全体の歪みや減磁作用は補償しきれません。
「補極は幾何学的中性点に設置し、電機子と直列接続する。目的は整流改善(火花の防止)」この3点が穴埋めに出ます。

対策②:補償巻線(コンペンセーティングワインディング)
補極が「ブラシ付近のみ」を改善するのに対し、補償巻線は磁極面全体の電機子反作用を打ち消す、より根本的な対策です。
補償巻線の仕組み
スロット(溝)が掘られており、
補償巻線が埋め込まれている
負荷電流が流れると、
電機子磁束と逆向きの磁束を発生
磁極面全体で電機子磁束を
打ち消し、主磁束が均一に保たれる
補極と補償巻線の比較
| 比較項目 | 補極 | 補償巻線 |
|---|---|---|
| 設置場所 | 幾何学的中性点(磁極間) | 主磁極の磁極面のスロット |
| 対象範囲 | 整流区間(ブラシ付近)のみ | 磁極面全体 |
| 接続方法 | 電機子と直列 | 電機子と直列 |
| 目的 | 整流改善・火花防止 | 電機子磁束を全面的に打ち消す |
| 効果範囲 | 部分的 | 完全(根本対策) |
| コスト | 比較的安価 | 高価(大型機・電気機関車等に使用) |
大型の直流機では、補極と補償巻線の両方を同時に使用します。補償巻線が磁極面全体の歪みを解消し、補極が残った整流区間の問題を補います。試験では「電機子反作用の対策を2つ答えよ」という問いにこの2つで答えます。

試験の穴埋め問題パターン集
電機子反作用は「穴埋め問題」として頻繁に出題されます。代表的なパターンと答えをまとめました。
「電機子反作用の影響を3つ答えよ」
① 磁束分布の歪み(偏磁作用)
② 減磁作用(全磁束の減少)
③ 電気的中性点の移動(整流悪化)
「直流発電機において、電機子反作用により電気的中性点は( )方向に移動する」
→ 回転方向(電動機は逆方向)
「補極は( )に設置し、電機子と( )接続される。目的は( )の改善である」
→ 幾何学的中性点(磁極間) / 直列 / 整流(火花防止)
「補償巻線は( )の磁極面のスロットに設けられ、電機子磁束を( )させることで電機子反作用を打ち消す」
→ 主磁極 / 相殺(キャンセル)
「電機子反作用により磁束が減少するのはなぜか」
→ 鉄心が磁気飽和しているため、磁束が増加する部分の増加量よりも、磁束が減少する部分の減少量が大きくなり、平均磁束が減少するから。

まとめ:電機子反作用を「一枚の図」で覚える
| 電機子反作用とは | 電機子電流Iaが作る磁束Φaが、界磁の主磁束Φfを乱す現象 |
| 影響① | 磁束分布の歪み(偏磁):一方は磁束密、他方は疎になる |
| 影響② | 減磁作用:磁気飽和で増加分 < 減少分 → 平均Φが減少 → E・V低下 |
| 影響③ | 電気的中性点の移動:整流悪化・火花発生。発電機→回転方向、電動機→逆方向 |
| 対策①補極 | 幾何学的中性点に設置・電機子と直列接続。整流(ブラシ付近)を改善 |
| 対策②補償巻線 | 主磁極の磁極面スロットに設置・電機子と直列接続。電機子磁束を全面的に打ち消す根本対策 |
電機子反作用は「3つの影響 → 2つの対策」という構造で整理できます。Before/Afterの磁束分布図を頭にイメージしながら、「なぜ減磁するのか(磁気飽和)」「補極はなぜ直列なのか(自動追従のため)」という理由を押さえておくと、どんな問われ方にも対応できます。
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