📌 この記事の位置づけ
「実験計画法の基礎概念シリーズ」第2回。前回は実験計画法の考え方を学びました。今回は「なぜ全パターン試すのが無理なのか」を体感していただきます。
「全部試せば確実じゃん。何が問題なの?」
「実験計画法なんて面倒なこと、しなくてもいいのでは?」
その気持ち、よくわかります。
でも、これから紹介する「組み合わせ爆発」を見れば、全部試すことが現実的に不可能だと納得できるはずです。
目次
全数試験とは?【すべてのパターンを試す方法】
全数試験とは、考えられるすべての組み合わせを実際に試す方法です。
たとえば、カレーの最適レシピを探すとき。
- 肉の種類:牛肉 or 鶏肉(2通り)
- スパイスの量:少なめ or 多め(2通り)
- 煮込み時間:30分 or 60分(2通り)
この3つの条件(因子)を全パターン試すと…
2 × 2 × 2 = 8通り
まだ余裕ですね。
8回なら、週末2日で終わりそうです。ここまでは問題ありません。
組み合わせ爆発の恐怖【因子が増えると地獄】
問題は、条件(因子)を増やしたときに起こります。
現実の製造現場や研究では、調べたい条件は3つどころではありません。「温度」「圧力」「時間」「濃度」「添加量」「回転数」…と、どんどん増えていきます。
では、因子の数が増えると実験回数はどうなるでしょうか?
📊 因子の数と実験回数の関係
| 因子の数 | 計算式 | 実験回数 | 現実性 |
|---|---|---|---|
| 3個 | 2³ | 8回 | 😊 余裕 |
| 5個 | 2⁵ | 32回 | 😅 キツい |
| 7個 | 2⁷ | 128回 | 😱 無理 |
| 10個 | 2¹⁰ | 1,024回 | 💀 不可能 |
| 15個 | 2¹⁵ | 32,768回 | 🔥 論外 |
因子が1つ増えるごとに、実験回数は2倍になります。
これが「組み合わせ爆発」と呼ばれる現象です。
💰 お金と時間で考えてみる
もっと具体的にイメージしてみましょう。
たとえば、1回の実験に3時間かかり、材料費が5,000円だとします。
| 因子数 | 実験回数 | 所要時間 | 材料費 |
|---|---|---|---|
| 3個 | 8回 | 24時間(3日) | 4万円 |
| 7個 | 128回 | 384時間(48日) | 64万円 |
| 10個 | 1,024回 | 3,072時間(384日) | 512万円 |
7因子で約2ヶ月、64万円。10因子なら1年以上、500万円超。上司に報告したら怒られますよね。
だから「実験計画法」が必要になる
ここで登場するのが、実験計画法です。
実験計画法を使えば、全部試さなくても賢く選んだ一部のパターンだけで、ほぼ同等の情報が得られるのです。
✨ 実験計画法を使うと…
| 7因子の全数試験 | 128回 |
| 直交表(L8)を使用 | 8回 |
→ 実験回数を94%削減できる!
「どうやって8回で同じ情報が得られるの?」という疑問は、シリーズを読み進めるうちに解決します。まずは「全部試すのは無理」という事実を覚えておいてください。
まとめ
📌 この記事のポイント
- 全数試験=すべてのパターンを試す方法
- 因子が増えると実験回数は2倍、4倍、8倍…と爆発する
- 7因子で128回、10因子で1,024回 → 時間もお金も足りない
- だから「賢く選ぶ」実験計画法が必要になる
次の記事では、実験計画法の基本用語「因子と水準」について詳しく解説します。これがわかると、実験の設計がグッとイメージしやすくなりますよ。
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