電力科目の解説

【電験三種・電力】火力発電の熱効率計算|発熱量・所内率・送電端熱効率を完全マスター

✅ こんな悩みを抱えていませんか?

  • 「発電端と送電端って何が違うの?」
  • 「所内率って一体何に使ってるの?」
  • 「熱効率の計算問題が苦手…」

電験三種の「電力」科目で頻出する火力発電の熱効率計算。一見複雑に見えますが、実は3つの要素を順番に理解するだけで、驚くほどスッキリ解けるようになります。

この記事では、「発熱量」「所内率」「送電端熱効率」の3つを、まるで目の前で見ているようなイメージで解説します。

💡 この記事で完全マスターできること

  • 発熱量の種類と計算での使い分け
  • 所内率の意味と計算方法
  • 発電端と送電端の違い
  • 試験で必ず出る熱効率計算の解き方

それでは、燃料が燃える瞬間から、電気が家庭に届くまでの「熱の旅」を一緒に追いかけていきましょう!

🔥 発熱量とは?|燃料が持つ「熱エネルギーの総量」

📖 発熱量の定義

発熱量(H)とは、燃料1kgを完全燃焼させたときに発生する熱量のこと。単位はkJ/kg(キロジュール毎キログラム)です。

イメージとしては、「1kgの石炭でどれだけお湯を沸かせるか?」を数値化したもの。燃料の種類によって、この数値が大きく変わります。

🆚 高位発熱量と低位発熱量の違い

発熱量には2種類あります。電験三種では、この使い分けが超重要!

種類 説明 電験での使用
高位発熱量 燃焼で発生した水蒸気が水に戻るときの熱も含む 使わない
低位発熱量 水蒸気の凝縮熱を除いた、実際に利用できる熱量 👈 こっちを使う!

⚠️ 試験での注意点

「発熱量」と問題文に書いてあったら、それは低位発熱量のこと! 高位発熱量は電験三種では基本的に使いません。

🔢 燃料別の発熱量(低位)

主な燃料の低位発熱量は、以下のとおり。試験でよく出る数値なので、イメージと一緒に覚えましょう!

  • 石炭: 約 27,000 kJ/kg → 一番安いけど発熱量は低め
  • 重油: 約 42,000 kJ/kg → バランス型
  • 天然ガス(LNG): 約 49,000 kJ/kg → 発熱量が一番高い!

天然ガスは石炭の約1.8倍も発熱量が高いんです。つまり、同じ1kgでも天然ガスの方がたくさん電気を作れるわけですね!

💡 イメージで覚えよう

石炭 = 新聞紙(たくさん必要)
重油 = (そこそこ)
天然ガス = ガソリン(少量で大パワー)

⚡ 所内率とは?|発電所内で消費される電力の割合

📖 所内率の定義

発電所では、電気を作るために発電所内でも電気を消費します。この割合を所内率(α)と呼びます。

📐 所内率の公式

α = (P₁ - P₂) / P₁ × 100 [%]

  • P₁: 発電端出力(発電機が作った電力)
  • P₂: 送電端出力(実際に送り出す電力)

🔧 所内で何に電気を使ってるの?

発電所内では、主に以下の機器が電力を消費しています:

  • 給水ポンプ: ボイラーに水を送る → 消費電力 約5%
  • 送風機: ボイラーに空気を送る → 消費電力 約3%
  • 冷却水ポンプ: 復水器を冷やす → 消費電力 約4%
  • その他補機: 照明・制御装置など → 消費電力 約3%

合計すると、所内率は約10〜20%。つまり、作った電気の約1〜2割は発電所内で消えてしまうんです!

💡 イメージで覚えよう

発電所 = お弁当屋さん
作ったお弁当100個のうち、店員さんが10個食べちゃうのが所内率。お客さんに届くのは90個だけ!

📊 発電端と送電端の違い|熱効率計算の核心

🆚 発電端 vs 送電端

電験三種で最も混乱しやすいのが、この「発電端」と「送電端」の違い。これを理解すれば、熱効率計算は完全攻略です!

項目 発電端 送電端
定義 発電機が生み出した電力 実際に送り出す電力
記号 P₁ P₂
大小関係 P₁ > P₂ (所内消費分だけ小さい)
所内消費 含まない 差し引き後
熱効率 η₁ = 約40〜42% η₂ = 約36〜38%

📐 送電端出力の計算公式

P₂ = P₁ × (1 - α/100)

発電端出力から、所内率の分だけ減る!

🔢 熱効率の計算公式

熱効率には、発電端熱効率(η₁)送電端熱効率(η₂)の2種類があります。

📐 発電端熱効率

η₁ = P₁ / Q × 100 [%]

Q: 投入熱量 [kW] = H × 燃料消費量

📐 送電端熱効率

η₂ = P₂ / Q × 100 [%]

または: η₂ = η₁ × (1 - α/100)

⚠️ 試験での注意点

問題文に「発電端」「送電端」の指定がない場合は、発電端熱効率を求めるのが基本です!

📝 熱効率計算の解き方|ステップで完全攻略

📋 計算の流れ(7ステップ)

熱効率計算は、この順番で解けば絶対に間違えません! まずは全体の流れを確認しましょう。

✏️ 例題で実践

📖 例題

ある火力発電所で、石炭を2,000 kg/h消費し、発電端出力6,000 kWを得ている。石炭の低位発熱量を27,000 kJ/kg、所内率を10%とするとき、次の値を求めよ。

(1) 送電端出力 P₂ [kW]
(2) 発電端熱効率 η₁ [%]
(3) 送電端熱効率 η₂ [%]

【解答】(1) 送電端出力 P₂

公式: P₂ = P₁ × (1 - α/100)

P₂ = 6,000 × (1 - 10/100)
P₂ = 6,000 × 0.9
P₂ = 5,400 kW

【解答】(2) 発電端熱効率 η₁

Step1: まず投入熱量Qを計算

Q = H × 燃料消費量
Q = 27,000 kJ/kg × 2,000 kg/h
Q = 54,000,000 kJ/h

Step2: 単位を揃える(kJ/h → kW)

Q = 54,000,000 kJ/h ÷ 3,600 s/h
Q = 15,000 kW

Step3: 発電端熱効率を計算

η₁ = P₁ / Q × 100
η₁ = 6,000 / 15,000 × 100
η₁ = 40%

【解答】(3) 送電端熱効率 η₂

方法①: 定義式から計算

η₂ = P₂ / Q × 100
η₂ = 5,400 / 15,000 × 100
η₂ = 36%

方法②: 発電端熱効率から計算(こっちが速い!)

η₂ = η₁ × (1 - α/100)
η₂ = 40 × (1 - 10/100)
η₂ = 40 × 0.9
η₂ = 36%

💡 計算のコツ

送電端熱効率は、η₂ = η₁ × (1 - α/100)の公式を使えば一瞬で求まります! 投入熱量Qを2回計算する必要なし!

⚠️ よくあるミス

  • 単位変換ミス: kJ/h を kW に変換し忘れる → 3,600で割るのを忘れずに!
  • 高位と低位の混同: 問題文に「低位発熱量」と書いてあることを確認
  • 発電端と送電端の取り違え: P₁とP₂を逆にしないよう注意
  • 所内率の計算ミス: α=10%のとき、(1 - α/100) = 0.9 です!

⚡ 試験で即使えるテクニック

問題文を読んだら、まず以下をメモ!
① 燃料の種類と発熱量 H
② 燃料消費量
③ 発電端出力 P₁
④ 所内率 α

この4つがあれば、全ての計算が可能です!

📚 まとめ|熱効率計算の全体像を再確認

最後に、熱効率計算の全体像をもう一度確認しましょう!

✅ この記事で覚えるべき3つのポイント

  1. 発熱量(H): 燃料1kgが持つ熱エネルギー。電験では低位発熱量を使う!
  2. 所内率(α): 発電所内で消費される電力の割合。P₂ = P₁ × (1 - α/100)
  3. 熱効率: 発電端(η₁) > 送電端(η₂)。送電端はη₂ = η₁ × (1 - α/100)で一発計算!

火力発電の熱効率計算は、発熱量→所内率→送電端の3ステップで理解すれば、驚くほどスムーズに解けます。

試験では、単位変換公式の使い分けがカギ。この記事の例題を何度も解き直して、体に染み込ませてくださいね!

この記事が、あなたの電験三種合格への一歩になれば嬉しいです。一緒に合格を掴み取りましょう! 💪✨

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