電力科目の解説

原子力発電の基礎|核分裂・PWR・BWRの違いを完全図解

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○ こんな悩みを抱えていませんか?

  • 「核分裂って何が起きてるの?」
  • 「PWRとBWRの違いが覚えられない…」
  • 「原子力発電の問題が苦手で点数が取れない…」

電験三種の「電力」科目で必ず出題される原子力発電。特にPWR(加圧水型)とBWR(沸騰水型)の違いは、毎年のように問われる超頻出テーマです。

でも安心してください。この記事では、目に見えない核分裂のプロセスから、PWRとBWRの構造の違いまで、まるで目の前で見ているような図解で完全解説します。

この記事で完全マスターできること

  • 核分裂の連鎖反応のメカニズム
  • PWR(加圧水型)の構造と特徴
  • BWR(沸騰水型)の構造と特徴
  • 試験で問われるPWRとBWRの違い12項目

それでは、原子の中心で起きている「見えないエネルギー革命」を、一緒に覗いてみましょう!

核分裂とは?|原子が割れて巨大エネルギーを生む

核分裂の定義

核分裂(かくぶんれつ)とは、ウラン235などの重い原子核に中性子が衝突すると、原子核が2つに割れて、膨大なエネルギーを放出する現象のこと。

この時に放出されるエネルギーは、1回の分裂で約200 MeV(メガ電子ボルト)。これは、石炭を燃やすエネルギーの約300万倍!

イメージで覚えよう

核分裂 = 巨大な風船を針で刺す瞬間
パン!と割れて、中に詰まっていた莫大なエネルギーが一気に放出される感じです!

連鎖反応のメカニズム

核分裂の恐ろしくも素晴らしいところは、「連鎖反応」が起きること。1つの分裂が次々と新しい分裂を引き起こします。

核分裂の連鎖反応プロセス

  1. Step1: 中性子1個がウラン235に衝突
  2. Step2: ウラン235が2つに分裂(バリウム141 + クリプトン92など)
  3. Step3: 分裂と同時に2〜3個の新しい中性子が飛び出す
  4. Step4: この中性子が別のウラン235に衝突 → 連鎖反応スタート!

この連鎖反応を「制御棒」で調整することで、安定した発電を実現しているんです。制御棒を挿入すれば中性子を吸収して反応を抑え、引き抜けば反応を加速させます。

核分裂で発生するもの

ウラン235が1回分裂すると、以下のものが生成されます:

  • 分裂生成物(2個): バリウム、クリプトン、セシウムなど
  • 中性子(2〜3個): 次の連鎖反応を引き起こす
  • エネルギー(約200 MeV): 熱エネルギーとして利用
  • ガンマ線(γ線): 高エネルギーの放射線

この中で、熱エネルギーが水を沸騰させ、蒸気でタービンを回して発電するわけです!

驚異のエネルギー密度

石炭1kgで得られるエネルギー: 約27,000 kJ
ウラン235を1kg核分裂させた場合: 約80,000,000,000 kJ

なんと約300万倍! だから小さな燃料で巨大な電力を生み出せるんです。

PWR(加圧水型)とは?|二重防護の安全設計

PWRの定義

PWR(Pressurized Water Reactor / 加圧水型原子炉)とは、一次冷却系で炉心を冷やし、その熱を蒸気発生器で二次冷却系に伝えて蒸気を作る方式。

最大の特徴は、水が炉心で沸騰しないこと。超高圧(約157気圧)をかけることで、325℃でも液体のまま保たれます。

PWRの3つのポイント

  • ① 一次冷却水と二次冷却水が完全に分離
  • ② 炉心の水は沸騰しない(高圧で液体のまま)
  • ③ 蒸気発生器で熱だけを伝える(放射能は移らない)

PWRの仕組み

PWRの全体構造を見てみましょう。一次系と二次系の2つの独立した回路があります。

PWRの動作フロー

  1. 一次系: 炉心で水が加熱される(325℃、157気圧)
  2. 熱交換: 蒸気発生器で一次系→二次系へ熱を伝える
  3. 二次系: 二次冷却水が蒸気になる(100℃、1気圧)
  4. 発電: 蒸気がタービンを回し、発電機で電気を作る
  5. 冷却: 蒸気が復水器で水に戻り、再び蒸気発生器へ

PWRの主要データ

項目 数値
一次冷却水の圧力 約157気圧(15.7 MPa)
一次冷却水の温度 高温側 325℃ / 低温側 290℃
制御棒の挿入方向 上から挿入
熱効率 約33%
日本での採用率 約35%(関西電力など)

イメージで覚えよう

PWR = 二重鍋でお湯を沸かす
内側の鍋(一次系)は高圧で熱々。外側の鍋(二次系)にだけ蒸気が出る。内側の水は外に出ないから放射能も漏れない!

BWR(沸騰水型)とは?|シンプル構造の効率型

BWRの定義

BWR(Boiling Water Reactor / 沸騰水型原子炉)とは、炉心で水を直接沸騰させ、その蒸気でタービンを回す方式。

PWRと違って、一次系も二次系もなく、1つの系統だけ。非常にシンプルな構造です。

BWRの3つのポイント

  • ① 炉心で水が直接沸騰して蒸気になる
  • ② 蒸気がそのままタービンへ(蒸気発生器なし)
  • ③ 構造がシンプルで建設コストが安い

BWRの仕組み

BWRの全体構造を見てみましょう。1つの回路だけで完結するシンプル設計です。

BWRの動作フロー

  1. 炉心: 水が核分裂の熱で沸騰(286℃、70気圧)
  2. 気水分離: 蒸気と水を分離(蒸気だけを取り出す)
  3. 発電: 蒸気が直接タービンを回し、発電機で電気を作る
  4. 冷却: タービン通過後、復水器で蒸気を水に戻す
  5. 循環: 給水ポンプで再び炉心へ送る

BWRの主要データ

項目 数値
炉心の圧力 約70気圧(7 MPa)
炉心出口の温度 286℃
制御棒の挿入方向 下から挿入
熱効率 約34%
日本での採用率 約65%(東京電力など)

イメージで覚えよう

BWR = やかんでお湯を沸かす
やかんの中で直接沸騰させて、その蒸気を使う。シンプルだけど、やかんの中の水は「低レベルだけど放射能を含む」のが注意点!

BWRの注意点

BWRでは、炉心で直接沸騰した蒸気がタービンに届くため、タービンや配管にも低レベルの放射能が付着します。そのため、タービンの保守作業には放射線対策が必要です。ただし、格納容器でしっかり遮蔽されているので、外部への影響はありません。

PWR vs BWR|徹底比較で違いを完全理解

さあ、ここからが電験三種で最も問われるポイント!PWRとBWRの違いを、12項目で完全比較します。この表を覚えれば、試験で満点を狙えます!

試験で狙われるポイント

電験三種で頻出の12項目

  1. 冷却系統: PWR=2ループ / BWR=1ループ
  2. 炉心の状態: PWR=沸騰しない / BWR=沸騰する
  3. 圧力: PWR=157気圧 / BWR=70気圧
  4. 温度: PWR=325℃ / BWR=286℃
  5. 制御棒: PWR=上から / BWR=下から
  6. 蒸気発生器: PWR=あり / BWR=なし
  7. 放射能: PWR=タービンに届かない / BWR=タービンに届く
  8. 熱効率: PWR=33% / BWR=34%
  9. 構造: PWR=複雑 / BWR=シンプル
  10. 建設コスト: PWR=高い / BWR=安い
  11. 安全性: PWR=二重防護で高い / BWR=格納容器で確保
  12. 日本での採用: PWR=35%(関西) / BWR=65%(東京)

覚え方のコツ

語呂合わせで覚えよう

「PWRは二重で安心、BWRはシンプルで効率」

  • PWR = Pressurized(加圧) → Pressure(圧力)が高い! → 157気圧
  • BWR = Boiling(沸騰) → Boil(沸騰)する! → 炉心で直接沸騰
  • 制御棒: PWRはPush down(上から押す)、BWRはBottom up(下から上げる)

練習問題

例題

次の記述のうち、PWR(加圧水型原子炉)に関するものとして正しいものを選べ。

(1) 炉心で水が直接沸騰して蒸気になる
(2) 一次冷却水の圧力は約70気圧である
(3) 制御棒は下から挿入される
(4) 蒸気発生器で熱交換を行う
(5) タービンに放射能を含んだ蒸気が到達する

○ 解答と解説

正解: (4) 蒸気発生器で熱交換を行う

解説:
(1) × BWRの特徴。PWRは沸騰しない
(2) × PWRは約157気圧。70気圧はBWR
(3) × PWRは上から挿入。下からはBWR
(4) PWRは蒸気発生器で一次系→二次系へ熱交換
(5) × PWRは二次系が別なので、放射能はタービンに届かない

原子力発電の計算|質量欠損とE=mc²でエネルギーを求める

電験三種の電力では、「ウラン235が1g核分裂すると、何Jのエネルギーが出るか」「石炭なら何kg分か」という計算がよく出ます。使うのは、アインシュタインの式 E=mc² だけです。

質量欠損とは

核分裂のあとにできる物質をすべて集めて重さをはかると、分裂する前よりほんの少しだけ軽くなっています。この減った分を質量欠損といい、減った質量がエネルギーに変わっています。

質量とエネルギーの式

E[J]= m[kg]× c² (c=3×108 m/s:光の速さ)

質量はgではなくkgで入れます。ここをまちがえると答えが1000倍ずれます。

例題①:ウラン235を1g核分裂させたときのエネルギー

ウラン235が1g核分裂し、質量欠損が0.09%だったとする。発生するエネルギーと、それと同じ熱を出す石炭(発熱量25,000kJ/kg)の量を求めよ。

ステップ計算答え
① 質量欠損1g×0.0009=0.0009g9×10−7 kg
② エネルギー9×10−7×(3×108)28.1×1010 J
③ 石炭に直す8.1×1010÷(25,000×103)約3,240kg(約3.2t)

わずか1gのウランが、石炭3トン分以上の熱を出します。原子力発電の燃料が少なくてすむのは、このためです。発熱量の単位はkJ/kgなので、③では103をかけてJ/kgにそろえています。

例題②:発電所が1日に使うウラン235の量

電気出力1,000MW、熱効率33%の原子力発電所が1日運転したとき、核分裂するウラン235の量は?(ウラン235が1g核分裂すると8.1×1010Jとする)

ステップ計算答え
① 1日の電力量1,000×106 W×86,400 s8.64×1013 J
② 必要な熱8.64×1013÷0.33約2.62×1014 J
③ ウラン2352.62×1014÷8.1×1010約3,200g(約3.2kg)

○ 計算のコツ

・質量はkg、時間は秒(1日=86,400秒)にそろえる
・熱効率で割ると「必要な熱」、かけると「電気になる量」
・火力発電の燃料の計算と同じ流れなので、あわせて練習すると効果的です

まとめ|原子力発電の全体像を再確認

○ この記事で覚えるべき3つのポイント

  1. 核分裂: ウラン235に中性子が衝突→2つに分裂→2〜3個の新しい中性子が飛び出し連鎖反応
  2. PWR: 一次・二次の2ループ構造で安全性重視。圧力157気圧、炉心で沸騰しない
  3. BWR: 1ループ構造でシンプル&効率重視。圧力70気圧、炉心で直接沸騰

原子力発電の核心は、核分裂の連鎖反応を制御して安定したエネルギーを取り出すこと。PWRとBWRは、どちらも同じ目的ですが、アプローチが違うんです。

試験では、圧力・温度・制御棒の方向・蒸気発生器の有無が狙われます。この記事の図解を頭に焼き付けて、満点を狙いましょう!

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シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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