目次
1. はじめに|CBT=Computer Based Testing とは?
2022 年から本格導入された電験三種の CBT(Computer Based Testing)方式は、従来の筆記試験とはまったく異なる仕組みを採用しています。
- 会場のパソコン画面で解答する
- 紙の問題冊子やマークシートは使わない
- 試験日・時間を自分で予約できる
CBT 導入により「便利になった」と感じる受験者が多い一方で、「戸惑った」「不利だと感じた」という声も増えています。本記事では、CBT のメリット・デメリットを両面から“受験者目線”で丁寧に解説し、これから受験する方が“準備の差で勝てる”状態をつくるお手伝いをします。
2. CBT 方式のメリット5選
# | メリット | 受験者への具体的効果 |
---|---|---|
1 | 年 2 回+日程柔軟 | 仕事の繁忙期やプライベートの予定に合わせて試験日を選べる |
2 | 科目順自由 | 得意科目から解くことで、精神的余裕が生まれる(例:理論→法規の順など) |
3 | 画面内電卓・ズーム機能 | 四則演算・べき乗・括弧計算をミスなく処理しやすい/回路図の拡大が可能 |
4 | 会場が多数 | 地方受験者でも長距離移動や宿泊不要。交通費と時間を節約できる |
5 | 問題ページめくり不要 | マウスやキーボードでページ移動でき、試験時間を効率よく使える |
さらに、CBT では「問題ごとにフラグを立てて後回し」が可能。迷った問題を一時スキップして、得点源に集中する戦術が実現できます。これは紙試験にはない強みです。
3. デメリット・注意点5選
# | デメリット | 影響&対策 |
1 | 会場ごとの“当たり外れ” | 画面が見にくい、机が狭い、冷暖房が効きすぎるなど環境差が大きい ⇒ 予約開始日に申し込んで会場を選べるようにする |
2 | 機材・システムの不具合 | フリーズ・電卓ボタンの反応遅延 ⇒ 試験官を即呼ぶ訓練を模擬試験で |
3 | 紙に自由にメモできない | A4 用紙 2〜3 枚が上限/裏面使用不可 ⇒ 計算や回路図を効率よくメモする練習が必要 |
4 | スクロール操作の煩雑さ | 長文問題では読解に時間がかかる ⇒ スクロールのキーボード操作に慣れておく(矢印キーや PageDown) |
5 | 試験間の休憩が自己管理 | 連続科目受験の場合はトイレや水分補給タイミングを事前計画する必要あり |
特に「紙に自由に書けない」問題は深刻で、紙試験に慣れた受験者ほど戸惑う傾向があります。対策としては、普段の演習から A4 数枚の制限メモ練習 を行っておくのがおすすめです。
4. 成績通知と科目合格の取り扱い
CBT 方式であっても、
- 各科目 100 点中 60 点で合格
- 科目合格の有効期間は 3 年間 という制度は筆記試験と変わりません。
成績通知は、科目合格・不合格にかかわらず点数表示されます。 これにより「あと何点足りなかったか」「どの科目が苦手か」を数値ベースで確認でき、次回の受験計画が立てやすいというメリットもあります。
5. CBT 導入後の合格率推移
CBT 導入前後の合格率(公式データ)を見ると、
- 2021 年(筆記)……11.5%
- 2022 下期(CBT初)……15.7%
- 2023 下期……21.2%(過去最高)
- 2024 年上期……約16%前後で推移
つまり、制度変更以降、合格率は確実に上昇しています。
▶︎ CBT の仕組みによって、
- 受験者心理の安定化(得意科目先解答)
- 科目合格の蓄積 が進み、合格者の母数が増えていると考えられます。
6. CBT を活かす3つの受験戦略
- 予約は即日。良会場を確保せよ
- 解禁日は AM 9 時にスタンバイ。席選びも戦略のうち。
- 操作トレーニングは必須
- CBT の体験版は公式ページにあり。本番そっくりの操作画面を一度でも触っておくと“勝率”が上がります。
- 紙メモ戦術の習得
- A4 紙2枚で、回路図・式変形・単位換算などを省スペース化する練習。
- 必要に応じて「回路図は左/計算は右」など、自分流のフォーマットを決めておくと安心。
7. まとめ|CBT を“慣れ”と“工夫”で味方につけよう
CBT は、準備した人にとっては「試験を有利に進める武器」です。逆に、何も対策をせずに会場で初めて画面を見る人にとっては、ただの“ストレス源”になります。
受験を成功させるカギは:
- 会場選び=物理環境戦略
- 操作練習=心理的安定
- 制限メモ=情報整理術
これらを事前に整え、「自分の勝ちパターン」をCBTに合わせて再設計すること。あなたの合格確率は、受験日ではなく「予約を取ったその日」から決まっています。
今すぐ、CBT 試験に向けた「受験環境の最適化」を始めましょう。