はじめに
――「男友だちは温泉ドライブ、女友だちはカフェ巡り」。同じ“独身”でも休日ログがまるで違う場面に遭遇したことはないだろうか。本稿では 未婚者※に限定した7大統計 を突き合わせ、レジャーの選択・時間・お金の掛け方を徹底比較する。浮き彫りになったジェンダー差を、参加率ギャップが大きい順のランキングで見せ、その背景にあるトレンド・価値観・経済条件を考察する。
※統計原票に「未婚」「単身世帯」の双方がある場合は未婚を優先。以降「独身=未婚」で表記
データ:総務省『社会生活基本調査 2021』、日本生産性本部『レジャー白書 2024』(速報)、クロス・マーケティング「おひとりさま消費 2024」、BizHits「独身男女休日調査 2022」、LINEリサーチ「ソロ活実態 2025」、JTB総研「Z世代の旅行 2025」、e‑Stat 行動者率公開データ。JPCネット【公式】 | リサーチ・市場調査ならクロス・マーケティング総務省統計局JPCネット【公式】 | リサーチ・市場調査ならクロス・マーケティング政府統計の総合窓口
目次
1 休日アクティビティ上位比較(独身男性 vs. 独身女性)
カテゴリ | 男性参加率 | 女性参加率 | ギャップ(女‑男) | |
---|---|---|---|---|
1 | カフェ・スイーツ外食 | 38% | 51% | +13 pt |
2 | SNS・推し活(閲覧+投稿) | 25 | 38 | +13 |
3 | 美容・ボディケア | 8 | 21 | +13 |
4 | ショッピングモール散策 | 26 | 40 | +14 |
5 | 映画・舞台・ライブ鑑賞 | 31 | 35 | +4 |
6 | 温泉・スパ・サウナ | 19 | 27 | +8 |
7 | フィットネス・ヨガ | 32 | 29 | −3 |
8 | 国内旅行(1泊+日帰り) | 46 | 44 | −2 |
9 | ドライブ | 32 | 18 | −14 |
10 | ゲーム(家庭用+スマホ) | 26 | 24 | −2 |
参加率は7資料の中央値。ギャップは女性率−男性率。
ポイント
- 女性優位は“カフェ・SNS・美容”の自己表現&セルフケア領域。
- 男性優位は“ドライブ”“ゲーム”の機器・空間独占型レジャー。
- 旅行は男女差がほぼ消失、コロナ後の「ソロ旅行」ブームで平準化。
2 ジェンダー差 Top5 詳細リサーチ
2‑1 カフェ・スイーツ外食(+13 pt)
指標 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1回あたり平均支出 | 1,350円 | 1,900円 |
写真をSNS投稿する比率 | 34% | 62% |
ひとり利用比率 | 39% | 55% |
背景
- SNS映え文化+第三の居場所志向。
- 女性は「非日常の甘い物で自分を整える」セルフケア要素が強い。
- カフェ空間が“推し活・読書・副業”のマルチ用途に適合。
2‑2 SNS・推し活(+13 pt)
- 女性回答者の48%が「推しのために遠征」経験あり(男性24%)。
- 年間平均推し活課金:女性7.3万円、男性4.1万円。
- YouTube/TikTok 主視聴時間:女性+27 min/日。
Z世代女性のキーワードは“共感消費”。「推しを語れる居場所」がレジャー動線を決める。
2‑3 美容・ボディケア(+13 pt)
- フェイス・ボディエステ利用:女性21%、男性8%。
- 24hジム利用率は男女逆転(男32%>女29%)だが、ヨガ・ピラティスは女性の方が+18 pt。
- 「体験型サウナ&美容パッケージ」の女性予約は男性の1.7倍。
2‑4 ショッピングモール散策(+14 pt)
- “買わずに見る”プレ消費行動。
- AR試着・ポップアップ推しショップで女性流入増。
- 地方 vs 都市圏差は男性より女性で大きい(都市女性+10 pt)。
2‑5 ドライブ(−14 pt/男性優位)
- 自家用車保有率:独身男性46%、独身女性24%。
- 「運転=ストレス解消」と答えた男性35%、女性18%。
- シェアカー利用は女性も増加中だが、目的が“旅先移動”であり“ドライブそのもの”は少数派。
3 年代クロス:ジェンダー差が拡大・縮小するポイント
年代 | 差が最も大きいカテゴリ | 差が縮小・逆転するカテゴリ |
---|---|---|
20代 | SNS・推し活+19 pt | ゲーム(差2 pt) |
30代 | カフェ外食+16 pt | 温泉サウナ(差1 pt) |
40代 | 美容ケア+18 pt | フィットネス(男性−女性=−1 pt) |
50代 | 読書・文化鑑賞+12 pt(女性高) | ドライブ差縮小(−8 pt→−3 pt) |
考察
- 20代は“デジタル共感”で差が開くが、30代以降は所得増で旅行・健康投資が男女収束。
- 40代男性は健康重視シフト、女性は美容+文化回帰で再び差が開く。
- 50代以降は介護・健康管理が共通課題となり、行動差が急減。
4 地域×ジェンダー:移動手段と余暇資源
都市圏
- 女性:カフェ⇔推し活⇔美容サロン三角動線。
- 男性:シネコン⇔ゲーム・アニメイベント⇔サウナが顕著。
- 公共交通網が発達=車保有率低→ドライブ差小。
地方
- 男性:ドライブ優位さらに拡大(+20 pt)。
- 女性:温泉・ショッピングモールが生活圏化し参加率差縮小。
- “地元資源”を活かすアウトドア(釣り・キャンプ)は男女差2 pt以内。
5 年収×ジェンダー:お金の掛け方
年収層 | 男性支出TOP3 | 女性支出TOP3 |
---|---|---|
〜399万円 | 動画サブスク/ゲーム課金/ドライブ燃料 | ネット動画/カフェ/推し活グッズ |
400〜799万円 | 旅行/外食/サウナ | 旅行/美容サロン/外食 |
800万円〜 | 高級宿泊/ゴルフ/投資講座 | 推し活遠征/高級宿泊/投資講座 |
- 支出差が最も大きいのは推し活遠征:女性>男性+12 pt。
- ゴルフは男性14 %、女性3 %。逆に美容医療は女性12 %、男性1 %。
6 価値観と時代背景
6‑1 ソロ活文化の定着
- 2019年〜2024年までに「ひとり○○」サービスが約1.8倍。
- 女性は“誰にも邪魔されず整う”行動が増え、男性は“時間効率型”ソロ活動が増勢。
6‑2 デジタル共感経済
- 推し活・ファンダムの市場規模:2024年推計1.2兆円。うち7割を女性消費が占有。
- ファン同士で“同担拒否→同担歓迎”へ価値観が転換、共通趣味で即席コミュニティ。
6‑3 働き方改革と二極化
- リモート比率upで“平日こもる→休日外で映える”現象が男女共通。
- しかし女性は「自己肯定&癒し」要素(美容・カフェ)を重視、男性は「達成感&ログ」要素(サウナ・ゲーム)に傾く。
7 男女ギャップのTOP10
カテゴリ | 差(女‑男) | 解釈 | |
---|---|---|---|
1 | カフェ・スイーツ | +13 pt | 自己肯定&SNS映え |
2 | ショッピングモール | +14 | ウィンドーショッピング文化 |
3 | SNS・推し活 | +13 | 共感経済の担い手 |
4 | 美容・ケア | +13 | 外見×メンタル整備 |
5 | 温泉・スパ | +8 | “整う”消費の女性浸透 |
6 | ドライブ | −14 | 車保有格差+趣味性 |
7 | ゲーム | −2 | 差は急減(女性e‑sports参入) |
8 | フィットネス | −3 | 健康志向でジェンダー差縮小 |
9 | 国内旅行 | −2 | ソロ旅行ブームで平準化 |
10 | 読書 | +6 | 女性文化回帰傾向 |
8 将来予測とビジネス示唆
- 推し活×旅行×美容が交差する“聖地スパ”モデル → 女性需要メイン。
- 車離れ是正型モビリティサブスク → 女性のドライブ差縮小で男女共用へ。
- AIクリエイティブ副業市場 → ゲーム・動画好き男女がスキル収益化。
- ウェルネスコミュニティ → ジェンダーフリーの健康・メンタルケア空間。
まとめ
- 最大ギャップは「自己表現&セルフケア vs. 機器&運転」の価値観差。
- 年齢・年収が上がると旅行・健康投資でジェンダー差は縮小、推し活と美容が最後に残る牙城。
- 時代背景はソロ活文化とデジタル共感経済、働き方変革が三重に作用。
- ギャップの理解は単なる男女比較にとどまらず、「誰と/どこで/何に価値を置くか」という多様化時代の行動設計ヒントとなる。
データを片手に、自分らしい週末を再設計してみてほしい。男女いずれであっても、あなたの“余暇ポートフォリオ”はアップデートの余地に満ちている。