実験計画法

【完全図解】二元配置実験とは?|カレーで学ぶ実験計画法の基礎

「1つの因子だけでは物足りない...」
実際の現場では、複数の要因が同時に結果に影響することがほとんどです。

🍛 例えば「カレーの美味しさ」は、肉の種類だけでなくスパイスの量にも左右されます。

そんなときに活躍するのが「二元配置実験」!
2つの因子を同時に分析して、相乗効果(交互作用)まで明らかにできる最強の実験手法です!

📌 この記事で分かること

  • 二元配置実験と一元配置実験の違いが一目瞭然
  • 主効果と交互作用の概念を完全理解
  • カレー評価データを使った具体的な計算手順(8ステップ)
  • 分散分析表の読み方と結果の解釈方法

一元配置実験では、「1つの因子」だけを調べました。
しかし実際の現場では、複数の因子が同時に影響することが多いですよね。

「肉の種類を変えると味が変わる」のは分かった。
でも、「スパイスの量も同時に変えたら、どうなるんだろう?」
「もしかして、豚肉×スパイス多という組み合わせが特別に美味しいんじゃないか?」

💡 そんな「組み合わせの特別な効果」を調べられるのが、二元配置実験なのです!

一元配置 vs 二元配置:何が違う?

まずは、一元配置実験と二元配置実験の違いを整理しましょう。
この違いを理解すれば、どちらを使うべきかすぐに判断できます!

比較項目一元配置実験二元配置実験
因子の数1つ2つ
評価できること主効果のみ主効果+交互作用
実験の効率2回に分けて実験が必要1回で2つの因子を同時に調査
主な使い道シンプルな比較複雑な効果の分析

💡 ポイント

  • 一元配置は1つの因子の効果だけを調べる
  • 二元配置は2つの因子を同時に調べられて効率的
  • 二元配置なら、因子の「組み合わせ」による特別な効果(交互作用)も分かる

二元配置実験とは?定義と構造

📚 二元配置実験の定義

二元配置実験とは
2つの因子(例えば肉の種類とスパイス量)を同時に変えたとき、結果にどう影響するかを調べる実験。

二元配置実験では、以下の3つの効果を評価できます:

①主効果A
因子A(肉の種類)の影響

②主効果B
因子B(スパイス量)の影響

交互作用A×B
組み合わせの特別な効果

🍛 実験例:カレーの味評価

今回は、カレーの美味しさを例に考えてみましょう。
調べたい因子は以下の2つです:

  • 因子A:肉の種類(水準1:豚肉、水準2:牛肉)
  • 因子B:スパイス量(水準1:少、水準2:多)

この2つの因子を組み合わせると、2×2=4通りの条件ができます。
各条件で2回ずつ測定(繰り返し)するので、合計8個のデータを取得します。

肉の種類 \ スパイス量
豚肉80, 82
(平均:81.0)
90, 91
(平均:90.5)
牛肉78, 79
(平均:78.5)
84, 85
(平均:84.5)

🔍 データの読み方

  • 豚肉×スパイス少:80点と82点(平均81.0)
  • 豚肉×スパイス多:90点と91点(平均90.5)
  • 牛肉×スパイス少:78点と79点(平均78.5)
  • 牛肉×スパイス多:84点と85点(平均84.5)

豚肉×スパイス多の組み合わせが、平均90.5点で最も高評価ですね!

主効果と交互作用の違い

二元配置実験で最も重要なのが、「主効果」と「交互作用」の理解です。
これが分かれば、実験結果を正しく解釈できます!

📊 主効果とは?

主効果とは、各因子が単独で与える影響のことです。

主効果A(肉の種類)
スパイス量に関わらず、豚肉と牛肉で平均的にどれだけ差があるか

主効果B(スパイス量)
肉の種類に関わらず、スパイス少と多で平均的にどれだけ差があるか

✕ 交互作用とは?

交互作用とは、因子の組み合わせによって生まれる特別な効果のことです。

交互作用A×B
「豚肉×スパイス多」という特定の組み合わせが特別に美味しい!
→ これは主効果だけでは説明できない相乗効果です

コーヒーブレイク
交互作用の見分け方は簡単!
グラフで2本の線が平行なら交互作用なし交差したり大きく離れたら交互作用ありです。
図3を見ると、豚肉の線の傾きが牛肉より急なので、交互作用があると分かりますね!

二元配置分散分析の計算手順(8ステップ)

それでは、実際に分散分析(ANOVA)を行って、主効果と交互作用が統計的に有意かどうかを検定しましょう!

計算は8つのステップに分けて進めます。
一つひとつ丁寧に見ていきましょう!

① 総平均を計算

まず、全データの平均を求めます。

総平均 = (80 + 82 + 90 + 91 + 78 + 79 + 84 + 85) ÷ 8 = 83.625

② 総平方和 ST を計算

総平方和は、各データと総平均との差を2乗して合計します。

ST = Σ(xi - x̄)²

各データごとに計算すると:

  • (80 - 83.625)² = 13.14
  • (82 - 83.625)² = 2.64
  • (90 - 83.625)² = 40.14
  • (91 - 83.625)² = 54.14
  • (78 - 83.625)² = 31.64
  • (79 - 83.625)² = 21.14
  • (84 - 83.625)² = 0.14
  • (85 - 83.625)² = 1.89

ST = 164.875

③ 因子A(肉の種類)の平方和 SA

まず、各水準の平均を求めます:

  • 豚肉の平均:(80 + 82 + 90 + 91) ÷ 4 = 85.75
  • 牛肉の平均:(78 + 79 + 84 + 85) ÷ 4 = 81.5

因子Aの平方和は、各水準の平均と総平均との差から計算します:

SA = 4 × [(85.75 - 83.625)² + (81.5 - 83.625)²]

SA = 4 × (4.516 + 4.516) = 36.125

④ 因子B(スパイス量)の平方和 SB

同様に、スパイス量の各水準の平均を求めます:

  • スパイス少の平均:(80 + 82 + 78 + 79) ÷ 4 = 79.75
  • スパイス多の平均:(90 + 91 + 84 + 85) ÷ 4 = 87.5

SB = 4 × [(79.75 - 83.625)² + (87.5 - 83.625)²]

SB = 4 × (15.016 + 15.016) = 120.125

⑤ 誤差平方和 SE を計算

誤差平方和は、各データとそのセル平均との差から計算します。

例えば、豚肉×スパイス少のセル平均は81.0なので:

  • (80 - 81.0)² = 1.0
  • (82 - 81.0)² = 1.0

全てのセルで同様に計算して合計すると:

SE = 1.0 + 1.0 + 0.25 + 0.25 + 0.25 + 0.25 + 0.25 + 0.25 = 3.5

⑥ 交互作用平方和 SAB を計算

交互作用の平方和は、残り成分として計算します:

SAB = ST - SA - SB - SE

SAB = 164.875 - 36.125 - 120.125 - 3.5 = 5.125

💡 平方和の分解

ST = SA + SB + SAB + SE
164.875 = 36.125 + 120.125 + 5.125 + 3.5 ✓

⑦ 各分散(平均平方)を計算

分散は、平方和を自由度で割って求めます:

  • 因子Aの自由度:2 - 1 = 1
  • 因子Bの自由度:2 - 1 = 1
  • 交互作用の自由度:(2-1) × (2-1) = 1
  • 誤差の自由度:8 - 4 = 4

VA = 36.125 ÷ 1 = 36.125
VB = 120.125 ÷ 1 = 120.125
VAB = 5.125 ÷ 1 = 5.125
VE = 3.5 ÷ 4 = 0.875

⑧ F値を計算して検定

最後に、F値を計算して、各効果が統計的に有意かどうかを判定します:

F = 各因子の分散 ÷ 誤差分散

FA = 36.125 ÷ 0.875 = 41.3 ✅ 有意!
FB = 120.125 ÷ 0.875 = 137.3 ✅ 有意!
FAB = 5.125 ÷ 0.875 = 5.857 ✅ 有意!

🎉 結果の解釈

すべてのF値が大きいので、以下が統計的に有意です:
肉の種類は味に影響する
スパイス量は味に影響する(効果が最大!)
肉とスパイスの組み合わせにも特別な効果がある

分散分析表の見方と結果の解釈

計算結果を分散分析表にまとめると、一目で結果が分かります!

要因平方和(S)自由度(φ)分散(V)F値判定
因子A(肉の種類)36.125136.12541.3✅ 有意
因子B(スパイス量)120.1251120.125137.3✅ 有意
交互作用A×B5.12515.1255.857✅ 有意
誤差3.540.875--
総計164.8757---

📊 この結果から分かること

  1. スパイス量の効果が最大(F=137.3)
    → スパイスを増やすと味が大きく向上!
  2. 肉の種類も重要(F=41.3)
    → 豚肉の方が牛肉より高評価
  3. 交互作用あり(F=5.857)
    → 「豚肉×スパイス多」の組み合わせが特別に美味しい!

まとめ:二元配置実験の強み

📝 この記事のまとめ

  • 二元配置実験は2つの因子を同時に調べられる効率的な手法
  • 主効果は各因子の単独の影響、交互作用は組み合わせの特別な効果
  • 計算は8ステップ:平方和の分解 → 分散の計算 → F検定
  • 分散分析表を見れば、どの効果が統計的に有意かすぐに分かる
  • 一元配置より情報量が多く、実践的!

二元配置実験をマスターすれば、実験計画法の世界がぐっと広がります!

次のステップでは、さらに多くの因子を効率的に調べられる「直交配列表」について学びましょう!

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