抜取検査

【図解でわかる】二回抜取検査の具体的な進め方

💡 こんな悩みをお持ちではないですか?

✅ 一回抜取検査よりコストを抑えたいけど、二回抜取検査の手順がよくわからない…
✅ 教科書の説明は専門用語だらけで、実際にどう進めればいいのか分からない…
✅ 第1回と第2回の判定基準の違いって?どこで合格・不合格を決めるの?

🎯 この記事で得られること

この記事を読めば、中学生でも理解できるレベルで、二回抜取検査の全体像から具体的な判定手順までが完璧にマスターできます。図をたっぷり使い、実務で即使える知識をお届けします。

📌 二回抜取検査とは?

二回抜取検査とは、ロット(製品の集まり)から2回に分けてサンプルを抜き取り、合格・不合格を判定する検査方法です。

一回の抜取では判定がつかない「微妙なケース」に対して、もう一度サンプルを追加することで最終判断を行います。これにより、平均的な検査個数を減らしつつ、検査精度を維持できるという大きなメリットがあります。

📘 ポイント:
一回抜取検査では「1回で合格/不合格を決定」しますが、二回抜取検査では「1回目で判定保留→2回目で最終判定」というステップを踏むことができます。これにより検査コストと精度のバランスが取りやすくなるのです。

👉 抜取検査の基礎知識については、こちらの記事で詳しく解説しています:
第1回:抜取検査とは何か?

🔍 一回・二回・多回抜取検査の違い

抜取検査には一回抜取検査二回抜取検査多回抜取検査の3つの形式があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

検査方式 抜取回数 メリット デメリット
一回抜取 1回 • シンプルで分かりやすい
• 手順が単純
• サンプル数が多い
• コストがかかる
二回抜取 最大2回 • 平均サンプル数が少ない
• コスト効率が良い
• 柔軟な判定が可能
• 一回抜取よりやや複雑
• 判定に時間がかかる場合も
多回抜取 3回以上 • サンプル数を最小化できる • 手順が複雑
• 管理が大変

✅ 結論: 二回抜取検査は、コストと精度のバランスが最も優れた方式です。一回抜取ほど単純ではありませんが、平均的なサンプル数を減らしつつ、検査の信頼性は維持できます。

👉 抜取検査の「型」について詳しくはこちら:
第3回:抜取検査の型について

📐 二回抜取検査の基本構造

二回抜取検査では、以下の記号と数値が登場します。この記号を理解することが、検査をマスターする第一歩です。

🔢 記号の意味

  • n₁ … 第1回抜取で取り出すサンプル数
  • n₂ … 第2回抜取で追加するサンプル数
  • d₁ … 第1回抜取で見つかった不良品数
  • d … 第1回+第2回の合計不良品数(d₁ + d₂)
  • c₁ … 第1回の合格判定個数(これ以下なら即合格)
  • c₂ … 第1回の不合格判定個数(これ以上なら即不合格)
  • c … 第2回実施後の最終合格判定個数

🔍 覚え方のコツ:
c₁は「これ以下なら即OK」の基準
c₂は「これ以上なら即NG」の基準
c₁とc₂の間に入ったら「判定保留」で第2回へ!

📊 判定フローの全体像

二回抜取検査は、次のような流れで進みます。第1回で「即合格」「即不合格」「判定保留」の3つの結果が生まれる点がポイントです。

📘 ポイント:
第1回抜取でd₁ ≤ c₁なら即合格d₁ ≥ c₂なら即不合格。それ以外の中間ゾーン(c₁ < d₁ < c₂)に入った場合だけ、第2回抜取へ進みます。

✅ 二回抜取検査の具体的な進め方(ステップ解説)

ここからは、実際の検査の進め方をステップごとに詳しく解説します。初心者の方でも、この順番に沿って進めれば迷うことはありません。

STEP 1️⃣: 検査条件(n₁、n₂、c₁、c₂、c)を決定する

まず、以下の5つの数値を決定します。これらはJIS規格の抜取検査表(JIS Z 9015など)や、会社の品質基準に基づいて設定されます。

  • n₁:第1回抜取数(例: 50個)
  • n₂:第2回抜取数(例: 50個)
  • c₁:第1回合格判定個数(例: 1個)
  • c₂:第1回不合格判定個数(例: 4個)
  • c:第2回実施後の合格判定個数(例: 3個)

💡 実務のコツ:
通常、JIS Z 9015や社内の品質マニュアルに「ロットサイズと検査水準に応じた抜取方式」が記載されています。迷ったらそれに従いましょう。

👉 抜取検査方式の設計について詳しくはこちら:
第5回:抜取検査方式の設計とは?

STEP 2️⃣: 第1回抜取を実施する

ロットからn₁個のサンプルをランダムに抽出し、検査を行います。

  • 🔍 抜き取ったサンプルを1つずつ検査
  • 🔍 不良品が見つかったら、その数をd₁としてカウント

例: n₁=50個を抜き取り、検査した結果d₁=2個の不良品が見つかった。

STEP 3️⃣: 第1回の判定を行う

第1回抜取の結果d₁を、c₁c₂と比較して、以下の3つの判定を行います。

条件 判定結果 次のアクション
d₁ ≤ c₁ ✅ 即合格 検査終了
d₁ ≥ c₂ ❌ 即不合格 検査終了
c₁ < d₁ < c₂ ⚠️ 判定保留 第2回抜取へ

例の場合: c₁=1、c₂=4、d₁=2 なので…
c₁(1) < d₁(2) < c₂(4)⚠️ 判定保留 → 第2回抜取へ進む!

STEP 4️⃣: 第2回抜取を実施する(判定保留の場合のみ)

第1回で判定保留となった場合のみ、追加でn₂個のサンプルを抽出し、検査を行います。

  • 🔍 第2回抜取で見つかった不良品数をd₂としてカウント
  • 🔍 第1回と第2回の不良品数を合計し、d = d₁ + d₂を算出

例: n₂=50個を追加抜取し、検査した結果d₂=1個の不良品が見つかった。
d = d₁(2) + d₂(1) = 3個

STEP 5️⃣: 最終判定を行う

第1回と第2回の合計不良品数dを、最終合格判定個数cと比較します。

条件 判定結果
d ≤ c ✅ 合格
d > c ❌ 不合格

例の場合: c=3、d=3 なので…
d(3) ≤ c(3)✅ 合格!

✅ まとめ:
このロットは、第1回で判定保留となったものの、第2回抜取の結果、最終的に合格と判定されました!

👉 抜取数と合格判定数の決め方について詳しくはこちら:
第8回【実務で使える】抜取数nと合格判定数cの決め方

📚 具体例で学ぶ!二回抜取検査の実践

理論だけではイメージしにくいので、具体的な数値例を使って、もう一度流れを確認してみましょう。

🧪 設定条件

  • 第1回抜取数: n₁ = 50個
  • 第2回抜取数: n₂ = 50個
  • 第1回合格判定個数: c₁ = 1個
  • 第1回不合格判定個数: c₂ = 4個
  • 最終合格判定個数: c = 3個

🔍 検査の流れ

【第1回抜取】
ロットから50個のサンプルを抜き取り、検査を実施。
結果: d₁ = 2個の不良品を発見。

【判定】
c₁(1) < d₁(2) < c₂(4) → ⚠️ 判定保留
第2回抜取へ進みます。

【第2回抜取】
追加で50個のサンプルを抜き取り、検査を実施。
結果: d₂ = 1個の不良品を発見。
合計不良品数: d = d₁(2) + d₂(1) = 3個

【最終判定】
d(3) ≤ c(3) → ✅ 合格!

このように、第1回では判定がつかなかったものの、第2回抜取を実施することで最終的に合格と判定されました。もし第2回でd₂=2個以上見つかっていれば、d>3となり不合格となっていました。

🌲 判定フローの完全マップ

二回抜取検査のすべての判定ルートを視覚化したのが以下の図です。どんなケースでも、この図に従えば迷うことはありません。

💡 実務で使うコツ:
この判定フロー図を印刷して、検査現場に貼っておくと便利です。作業者が迷ったとき、すぐに確認できます。

📊 OC曲線で見る二回抜取検査の特性

OC曲線(検査特性曲線)とは、ロットの品質(不良率)と合格率の関係を示すグラフです。二回抜取検査のOC曲線を見ることで、検査の性能を視覚的に理解できます。

このグラフから、二回抜取検査は一回抜取検査と同等の検査精度を保ちつつ、平均サンプル数を削減できることが分かります。

📘 ポイント:
二回抜取検査の最大のメリットは、良品率が高いロットでは少ない検査個数で済み、不良率が高いロットでは厳格に判定できるという「柔軟性」にあります。

👉 OC曲線の見方を詳しく学びたい方はこちら:
第6回:OC曲線の見方をマスター

⚠️ よくある間違いと注意点

❌ 間違い1: 第1回で不合格なのに第2回を実施してしまう

d₁ ≥ c₂の場合は即不合格です。第2回抜取を実施する必要はありません。無駄な検査コストを避けるためにも、判定ルールを正確に理解しましょう。

❌ 間違い2: 第2回の判定でd₁を忘れて、d₂だけで判定してしまう

最終判定では、d = d₁ + d₂合計不良品数を使います。第2回抜取だけの結果で判定しないよう注意してください。

❌ 間違い3: ランダム抽出を怠る

サンプルを抜き取る際は、必ずランダムに抽出してください。目視で「良さそうなもの」を選ぶと、検査の信頼性が失われます。

🚨 注意:
抜取検査の最大の前提は「ランダムサンプリング」です。これが守られないと、どんな検査方式も意味を失います。

👉 抜取検査の進め方について基礎から学びたい方はこちら:
第2回:抜取検査の進め方

🎯 まとめ:二回抜取検査を実務で使いこなすために

この記事では、二回抜取検査の具体的な進め方を、図解を交えながら初心者向けに解説しました。

✅ この記事の重要ポイント

  • 二回抜取検査は「判定保留」という柔軟性が最大の特徴
  • 第1回でd₁ ≤ c₁なら即合格d₁ ≥ c₂なら即不合格
  • 中間ゾーン(c₁ < d₁ < c₂)に入ったら第2回抜取へ
  • 最終判定ではd = d₁ + d₂の合計で判定する
  • 平均サンプル数を削減しつつ、検査精度は一回抜取と同等

二回抜取検査は、コストと精度のバランスを取るのに最適な検査方式です。この記事の内容をマスターすれば、実務でも自信を持って運用できるはずです。

📚 さらに学びたい方へ:おすすめ関連記事

☕ 最後に…
抜取検査は、製造現場の品質を守る最後の砦です。この記事が、あなたの実務に少しでも役立てば嬉しいです。不明点があれば、ぜひ関連記事も読んでみてください!

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