抜取検査とは?
抜取り検査とは言葉の通り、ロット(製品のまとまり)から一部を抜き取り、その品質を調べて全体の合否を判定する検査方法です。
全数検査(すべて調べる)とは異なり、一部のサンプル(n個)だけを調べて判断するのが特徴です。
たとえば、あなたがおにぎり工場で働いているとして、1000個のおにぎりを納品するとき、全部を食べて味を確かめるのは現実的ではありませんよね?
なので、いくつかのおにぎりをランダムに選んで試食して、「このロット(1000個)は問題ないか」を判断する…
これが抜取検査の考え方です。
なぜ全数検査しないの?
一番品質を担保する上で確実な方法は作ったものを全部確認することです。なぜそれをしないかというと・・以下のような理由があるからです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 🔧 コスト | 全数検査は手間とコストがかかる |
| ⏱ 時間 | 製造ラインで素早く判定したい |
| 🔨 破壊検査 | 製品を壊して調べる検査では全数検査できない(例:強度試験) |
だからこそ、統計的に一部を抜き取ることで、全体の品質を判定する手法が必要になるわけです。
抜取検査に必要な3つの要素
抜取検査を行うには、次のような要素を事前に決めておきます:
| 要素 | 内容 | 記号 |
|---|---|---|
| 抜取数 | 1ロットから何個調べるか | n |
| 合格許容数 | 不良品が何個までなら合格か | c |
| 不合格判定数 | 不良品が何個以上で不合格か | r=c+1 |
例えば、サンプルサイズn=20, 合格判定個数c=1 の抜取検査を考えると、以下のように考えることができる。
- 不良が0個 or 1個 → 合格
- 不良が2個以上 → 不合格
抜取検査の2つのタイプ
抜取検査の種類を大きく2つに分けると、計数抜取検査と計量抜取検査に分けられる
| タイプ | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 計数抜取検査 | 合格・不合格など「数」で判断する | 20個中 不良2個 → 合格?不合格? |
| 計量抜取検査 | 測定値(長さ・重量など)で判断する | 寸法が規格内かどうかで合否 |
抜取検査の本質
抜取検査は確率的な判断を前提としています。
「合格=完全に良いロット」とは限らず、
「たまたま不良が見つからなかった」場合も含まれるため、リスク(α・β)が存在します。詳しくは次回以降で解説します。
✅ まとめ
| 観点 | 抜取検査の特徴 |
|---|---|
| 方法 | ロットからサンプルを抽出して検査する |
| メリット | コスト・時間を削減できる。破壊検査でも適用可能 |
| 前提 | 確率的な検査 ⇒ 誤判定のリスクあり(α, β) |
| 検査の型 | 計数型と計量型の2種がある |
| 必要な要素 | 抜取数n、合格数c、不合格数r |