抜取検査

第3回:抜取検査の型について

検査の「型」って何?

抜取検査において「ロットをどう扱うか(特に不合格のとき)」という運用方針を分類したものです。

3つの型があります

型の名前キーワード目的・特徴
① 規準型合否の基準で判断最も一般的・全体を合格/不合格
② 選別型不良を選別して除く不合格ロットは全数検査して良品だけ出荷
③ 調整型条件つき再評価・再検査工程の実績に応じて検査の厳しさを変える

① 規準型抜取検査(Standard Type)

特徴:

  • ロット全体を一括で合格/不合格に判定
  • 判定基準(n, c, r)に基づき、不良が多ければそのロット全体が不合格

利点:

  • シンプルでルールが明確
  • 検査判断が速い

欠点:

  • 不合格になった場合、良品も一緒に不合格になる

② 選別型抜取検査(Screening Type)

特徴:

  • 抜取検査で不合格になったロットは、全数選別検査して、良品だけを出荷
  • 不良率の高いロットでも、後工程には良品のみ供給

イメージ:

  • スーパーの果物で、いくつか腐っていたら箱ごと返品せず、全部チェックして良いものだけ売る

利点:

  • 品質保証ができる
  • 不良混入リスクを大幅に減らせる

欠点:

  • 全数選別が必要になるため、手間・コストがかかる
  • 破壊検査では使えない(全数検査できない)

③ 調整型抜取検査(Rectifying Type)

特徴:

  • ロットの品質状況や過去の実績に応じて、検査の厳しさを変える
  • 通常検査・厳重検査・緩和検査などを使い分ける

実務例:

  • 品質が安定していれば緩和検査(nを少なく)
  • 不良が増えたら厳重検査(nを増やす、cを厳しく)

利点:

  • 品質向上のインセンティブになる(良い品質が続けば検査が楽に)
  • 柔軟な対応が可能

欠点:

  • 管理がやや複雑になる

まとめ表:検査の型の比較

検査の型不合格時の対応利点注意点
規準型ロット全体を不合格シンプル良品も一緒に除外される
選別型全数選別し良品のみ出荷品質保証ができるコスト・手間が増える
調整型再検査・検査水準の調整品質改善に有効管理が複雑になる

実務での使い分け

状況おすすめの型
一般的な工程・標準的検査規準型
部品供給に余裕がない(納期重視)選別型
品質向上・維持を目指したい調整型

-抜取検査