抜取検査

第5回:抜取検査方式の設計とは?

検査方式の設計とは?

抜取検査において、「何個抜き取って(n)、何個までなら不良があっても合格にするか(c)」を
2つの想定品質レベル(P₀とP₁)と、2つの判定ミスの確率(αとβ)に基づいて決めることです。

まずは4つのキーワードをかんたんに整理!

記号名前意味(やさしい表現)
P₀良いロットの不良率「これくらいならOKとしたい品質」
P₁悪いロットの不良率「これ以上ならNGにしたい品質」
α生産者危険「P₀のロットを誤って不合格にする確率」
β消費者危険「P₁のロットを誤って合格にする確率」

例えば・・・

あなたは部品を検査しています。
このとき、検査ルールを下記のように設計したいとします。

設計目標
  • 不良率が 1%(P₀) くらいの「良いロット」は、95%以上の確率で合格させたい(=α ≤ 0.05)
  • 不良率が 7%(P₁) くらいの「悪いロット」は、90%以上の確率で不合格にしたい(=β ≤ 0.10)

これが検査設計の出発点です。

そのためにやること

この条件を満たすように、

  • n:何個抜き取るか
  • c:不良が何個までなら合格とするか

をシミュレーションで探していきます。

例:n = 80, c = 2 の場合

この設計だと…

  • 不良率 P₀ = 1% のロット → 合格率 ≈ 95%(α ≈ 0.05)
  • 不良率 P₁ = 7% のロット → 合格率 ≈ 10%(β ≈ 0.10)

👉 この組み合わせ(n=80, c=2)は、
ちょうど上の「P₀・P₁・α・β」の条件を満たすので、良い設計となります。


グラフで表すとこうなる(OC曲線)


  • P₀の点では合格率 ≒ 0.95(=1−α)
  • P₁の点では合格率 ≒ 0.10(=β)

なぜP₀とP₁の2点で設計するのか?

検査は「良いロットも通し、悪いロットは止める」のが目的。
でも完璧ではないので、ある程度の確率で誤判定が起きる

そこで「どこまでの誤判定なら許容できるか?」という条件を
P₀・P₁・α・βという形で数値化して明確にするのがプロの仕事です。

まとめ

設計の4要素解説
P₀合格させたい品質レベル(良いロット)
P₁不合格にしたい品質レベル(悪いロット)
αP₀のロットを誤って落とす確率(生産者に不利)
βP₁のロットを誤って通す確率(消費者に不利)

👉 これらを基に、最適な抜取数nと判定数cを選ぶのが「抜取検査方式の設計」です。

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