📌 この記事でわかること
- 「品質」の定義がどのように拡張されてきたか
- 社会的品質とは何か?なぜ今、重要なのか?
- 負の品質・環境適合性・リサイクル性の具体例
「品質が良い」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
「壊れにくい」「長持ちする」「お客さんが満足している」…たしかにそれも品質です。
でも、こんな問いを考えてみてください。
💭「この製品、捨てるときに環境を汚さないかな?」
💭「この会社、ちゃんと法律を守って製品を作ってる?」
💭「この製品を使って、関係ない人がケガしたりしない?」
これらはすべて「社会的品質」に関わる問いです。
今回は、品質の概念がどのように広がってきたのか、そして社会的品質とは何かを、身近な例を使いながらわかりやすく解説していきます。
目次
品質の定義は「3段階」で広がってきた
まずは全体像をつかみましょう。
「品質」という言葉の意味は、時代とともに3つの段階で広がってきました。
🎯 品質の3段階:狭義→広義→社会的
| 段階 | 何を見ている? | 具体例 |
|---|---|---|
| 狭義の品質 | 製品そのもの | 壊れない、規格どおり、不良品がない |
| 広義の品質 | お客さんの満足 | 使いやすい、デザインがいい、サービスがいい |
| 社会的品質 | 社会全体への影響 | 環境にやさしい、安全、法令を守っている |
この3段階、言葉だけだとピンとこないですよね。
そこで、「スマートフォン」を例に考えてみましょう。
📱 スマホで理解する「品質の3段階」
【第1段階】狭義の品質 = 製品そのものを見る
「このスマホ、落としても画面が割れないな」
「電池が1日以上もつな」
「ボタンがちゃんと反応するな」
【第2段階】広義の品質 = お客さんの満足を見る
「操作がサクサクで気持ちいい!」
「カメラの画質が最高!」
「困ったときのサポートが丁寧だった」
【第3段階】社会的品質 = 社会への影響を見る
「このスマホ、リサイクルしやすい素材でできてる?」
「製造工場は環境に配慮してる?」
「紛争地域の鉱物を使ってない?」
お気づきでしょうか?
品質を見る「視野」がどんどん広がっているのです。
最初は「製品」だけを見ていたのが、次に「お客さん」を見るようになり、最終的には「社会全体」を見るようになった。
これが品質の進化の歴史です。

「社会的品質」とは何か?
さて、ここからが本題です。
社会的品質を正式に定義しましょう。
製品・サービスが、買ってくれたお客さんだけでなく、社会全体(環境・安全・法令遵守など)に与える影響を含めた品質のこと。
ポイントは「お客さんだけでなく」という部分です。
従来の品質管理は、「買ってくれたお客さんが満足すればOK」という考え方でした。
でも、それだけでは不十分な時代になったのです。
🌍 なぜ「社会的品質」が重要になったのか?
理由は3つあります。
① 環境問題が深刻になった
地球温暖化、プラスチック汚染、資源の枯渇…。
企業は「売って終わり」ではなく、廃棄後の環境への影響まで責任を持つ時代になりました。
② 製品事故への批判が厳しくなった
リコール問題、製品による事故…。
「お客さんには問題なかったけど、関係ない人がケガした」というケースも企業責任が問われます。
③ 法令遵守が当たり前になった
データ偽装、不正検査…。
法律を守らない企業は、たとえ製品が良くても社会から退場させられます。
つまり、こういうことです。
↓
「社会に貢献しないと生き残れない」時代

社会的品質の「5つの柱」
社会的品質は、具体的に何を含むのでしょうか?
大きく分けて5つの柱があります。
📋 社会的品質を構成する5つの要素
| 要素 | ひとことで言うと? | 具体例 |
|---|---|---|
| 🛡️ 安全性 | ケガさせない | 子どもが誤飲しない設計、発火しない電池 |
| 🌱 環境適合性 | 地球を汚さない | CO2削減、有害物質を使わない |
| ♻️ リサイクル性 | 捨てた後も活かす | 分解しやすい構造、素材の表示 |
| 💡 省資源・省エネ | 無駄遣いしない | 軽量化、待機電力の削減 |
| ⚖️ コンプライアンス | ルールを守る | 法令遵守、データ改ざんしない |
💡 覚え方のコツ
「あ・か・り・しょ・こ」と覚えましょう!
(安全・環境・リサイクル・省資源・コンプラ)
🚗 自動車で見る「社会的品質の5要素」
もう少しイメージを膨らませるために、自動車を例に見てみましょう。
🛡️ 安全性:歩行者エアバッグ、衝突被害軽減ブレーキ
🌱 環境適合性:排ガス規制クリア、電気自動車化
♻️ リサイクル性:解体しやすい設計、リサイクル材の使用
💡 省資源・省エネ:軽量化による燃費向上、アイドリングストップ
⚖️ コンプライアンス:燃費データの正確な表示、安全基準の遵守
どれも「買ったお客さん」だけでなく、「社会全体」を意識した品質ですよね。

「負の品質」という考え方
社会的品質を理解するうえで、もう一つ大切な概念があります。
それが「負の品質」です。
➖ 負の品質とは?
製品・サービスが持つ「あってはならない特性」のこと。
安全性の欠如、環境汚染、法令違反など、社会に害を与える要素を指す。
品質には「正の品質」と「負の品質」の2種類があります。
両者の違いを見てみましょう。
| 種類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ➕ 正の品質 | あると嬉しい特性 | 高機能、使いやすい、デザインがいい |
| ➖ 負の品質 | あってはならない特性 | 発火する、有害物質を含む、騒音がうるさい |
🍔 ハンバーガー屋さんで考える「正と負の関係」
ここで重要なポイントがあります。
それは、「正の品質がどれだけ高くても、負の品質があれば台無し」ということです。
🍔 例:あるハンバーガー屋さん
・おいしい ✓
・安い ✓
・早い ✓
→ これらは正の品質
でも…
・異物が混入していた ✗
・衛生管理がずさんだった ✗
→ これらは負の品質
→ 一瞬で信頼は崩壊します
つまり、品質管理では「負の品質をゼロにすること」が最優先なのです。
正の品質を上げるのは、その後の話。
🎯 ポイント整理
負の品質の例:発火・有害物質・騒音・振動・排ガス・データ偽装
これらは「社会に害を与えるもの」です。
「あってはならない」ものを「ゼロにする」ことが最優先。

製品の「一生」で考える社会的品質
社会的品質を考えるとき、もう一つ大切な視点があります。
それは、製品の「一生」を通じて考えるということです。
これを「製品ライフサイクル」と呼びます。
🔄 製品ライフサイクルの5つのステージ
原材料調達 → 製造 → 流通
→ 使用 → 廃棄・リサイクル
従来の品質管理は「製造」と「使用」だけを見ていました。
でも社会的品質では、「ゆりかごから墓場まで」すべてを見ます。
| ステージ | どんな社会的品質が問われる? |
|---|---|
| 原材料調達 | 紛争鉱物を使っていない?児童労働はない? |
| 製造 | 工場から有害物質を出していない?エネルギー効率は? |
| 流通 | 輸送時のCO2排出は最小限? |
| 使用 | 省エネ?安全?関係ない人に害を与えない? |
| 廃棄・リサイクル | リサイクルしやすい設計?有害な廃棄物は出ない? |
「製品を作って売る」だけでなく、その製品が生まれてから消えるまで、すべての段階で社会への責任がある。
これが社会的品質の本質です。

まとめ
最後に、この記事の内容を整理しておきましょう。
📌 この記事のポイント
- 品質は「狭義→広義→社会的」と3段階で広がってきた
- 社会的品質とは、お客さんだけでなく社会全体への影響を含めた品質
- 5つの柱:安全性・環境適合性・リサイクル性・省資源・コンプライアンス(覚え方:あ・か・り・しょ・こ)
- 負の品質とは「あってはならない特性」であり、ゼロにすることが最優先
- 製品ライフサイクル全体(調達→製造→流通→使用→廃棄)で社会的品質を考える
社会的品質は、現代のビジネスにおいて避けて通れないテーマです。
「良い製品を作ればいい」という時代は終わりました。
これからは、「社会全体にとって良い製品かどうか」が問われる時代です。
この記事が、品質に対する考え方を広げるきっかけになれば嬉しいです。
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