- 「方針管理」って結局何をすることなの?
- 中期経営計画と年度方針の関係がわからない
- 管理項目の「結果系」と「要因系」の違いは?
- 方針管理と日常管理はどう違うの?
- 方針管理の全体像を「山登り」のイメージで理解
- PDCAサイクルの各ステップで何をするか
- 管理項目の設定方法を「車のダッシュボード」で解説
- 方針管理と日常管理の違いを明確に整理
「年度目標を立てたはいいけど、気づいたら年度末で未達成…」
こんな経験はありませんか?目標を立てるだけでは達成できません。計画→実行→確認→改善のサイクルを回す仕組みが必要です。
この記事では、方針管理の全体像とPDCAサイクルの回し方を、イメージ重視で徹底解説します。
目次
方針管理とは?|山登りのイメージで理解する
方針管理の定義
方針管理とは、組織の目標を達成するために、トップの方針を全社に展開し、PDCAサイクルを回して進捗を管理する仕組みです。
イメージは「山登り」です。
山頂 = 経営理念・ビジョン(最終的に目指す姿)
中腹の目標地点 = 中期経営計画(3〜5年後の姿)
今年の目標地点 = 年度方針(1年で到達する地点)
登山ルート = 方策(どうやって登るか)
現在地の確認 = 進捗管理(今どこにいるか)
山頂を目指すには、「今年はここまで登る」という目標を決め、ルートを計画し、定期的に現在地を確認しながら進む必要があります。これが方針管理の本質です。
方針管理の階層構造
方針管理は、時間軸の異なる3つの階層で構成されています。
| 階層 | 期間 | 内容 | 例 |
|---|---|---|---|
| 経営理念・ビジョン | 永続的 | 会社の存在意義・目指す姿 | 「品質で社会に貢献する」 |
| 中期経営計画 | 3〜5年 | 中期的な目標と戦略 | 「3年後に業界シェア20%」 |
| 年度方針 | 1年 | 今年度の具体的な目標と方策 | 「不良率を1%以下にする」 |
経営理念は「北極星」のように常に変わらない指針です。中期経営計画と年度方針は、その北極星に向かって進むための「マイルストーン(中間目標)」と考えましょう。

PDCAサイクルの回し方|方針管理の4ステップ
PDCAサイクルとは?
方針管理では、PDCAサイクルを1年単位で回します。
PDCAとは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(確認)→ Act(処置)の頭文字を取ったものです。
P(Plan):方針を策定し、目標と方策を決める
D(Do):方策を実行する
C(Check):進捗を確認し、達成度を評価する
A(Act):反省し、次年度の方針に反映する
P(Plan):方針策定・目標設定
年度の始まりに、トップが方針を策定します。この段階でやることは以下の通りです。
| やること | 内容 |
|---|---|
| 前年度の反省 | 前年度の達成度と課題を振り返る |
| 環境分析 | 外部環境(市場・競合)と内部環境(自社の強み・弱み)を分析 |
| 目標設定 | 「何を」「どのレベルまで」「いつまでに」を決める |
| 方策立案 | 目標を達成するための具体的な手段を決める |
| 展開・すり合わせ | 部門・現場に落とし込み、キャッチボールで調整 |
D(Do):方策の実施
計画が決まったら、各部門・各担当者が方策を実行します。ここで重要なのは「やりっぱなし」にしないことです。
・実施状況を記録に残す
・問題が発生したら速やかに報告する
・管理項目を定期的にモニタリングする
C(Check):進捗確認・達成度評価
定期的に進捗を確認し、目標に対してどこまで達成できているかを評価します。
| タイミング | 内容 |
|---|---|
| 月次レビュー | 管理項目の推移を確認し、異常があれば対策を打つ |
| 四半期レビュー | 方策の進捗状況を確認し、必要に応じて軌道修正 |
| 中間レビュー | 半期時点での達成度を評価し、後半の方策を見直す |
| 年度末レビュー | 最終的な達成度を評価し、反省と課題を整理 |
A(Act):反省・次年度への反映
年度末には、達成度の評価結果をもとに反省を行い、その内容を次年度の方針に反映します。
①うまくいった場合:成功要因を分析し、他部門に横展開する
②うまくいかなかった場合:原因を分析し、次年度の方策に改善策を盛り込む
この「Act」が次年度の「Plan」につながることで、PDCAサイクルがスパイラルアップしていきます。

管理項目の設定|車のダッシュボードで進捗を監視
管理項目とは?
管理項目とは、目標の達成度や方策の進捗を測るための指標です。
イメージは「車のダッシュボード」です。運転中にスピードメーター、燃料計、水温計などを見ながら、車の状態を把握しますよね。管理項目も同じで、組織の状態を「見える化」するためのメーターです。
スピードメーター(売上高):今どれくらいのペースで進んでいるか
燃料計(コスト):リソースをどれくらい消費しているか
水温計(不良率):異常が発生していないか
距離計(生産量):どれだけの成果が出ているか
結果系と要因系|2種類の管理項目
管理項目は大きく「結果系」と「要因系」の2種類に分けられます。
| 種類 | 意味 | 例 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 結果系 | 活動の「結果」を示す | 不良率、売上高、クレーム件数 | 結果が出てから判明(遅行指標) |
| 要因系 | 結果に影響を与える「原因」を示す | 設備稼働率、教育時間、点検回数 | 先に手を打てる(先行指標) |
結果系だけを見ていると「手遅れ」になりがち。要因系も合わせて監視することで、問題が大きくなる前に対策を打てる。
管理項目の設定例
「不良率1%以下」という目標に対して、以下のような管理項目を設定します。
| 種類 | 管理項目 | 目標値 | 確認頻度 |
|---|---|---|---|
| 結果系 | 不良率 | 1%以下 | 日次 |
| 要因系 | 設備点検実施率 | 100% | 日次 |
| 要因系 | 作業者教育時間 | 月4時間以上 | 月次 |
| 要因系 | 4M変化点の記録率 | 100% | 日次 |

方針管理と日常管理の違い|改善 vs 維持
2つの管理の違いを「道」で理解する
品質管理には「方針管理」と「日常管理」という2つの柱があります。この違いを理解しておくことが重要です。
方針管理 = 山を登る(高い目標に向かって改善する)
日常管理 = 平らな道を歩く(今の状態を維持する)
| 項目 | 方針管理 | 日常管理 |
|---|---|---|
| 目的 | 改善・ブレークスルー | 維持・安定 |
| サイクル | PDCA | SDCA |
| 期間 | 年度単位(中長期) | 日々・週・月単位 |
| 対象 | 重点課題 | 通常業務 |
| イメージ | 山登り(上を目指す) | 道の整備(現状維持) |
SDCAサイクルとは?
日常管理ではSDCAサイクルを回します。PDCAの「P」が「S(Standard:標準化)」に変わったものです。
S(Standardize):標準を決める(作業標準書など)
D(Do):標準通りに実行する
C(Check):標準通りにできているか確認する
A(Act):標準から外れたら是正する
PDCAが「改善」を目指すのに対し、SDCAは「標準を守って現状を維持する」ことが目的です。
両輪で回す品質管理
方針管理と日常管理は、どちらか一方だけではダメです。
方針管理だけ → 改善はするが、成果が定着しない
日常管理だけ → 現状維持はできるが、成長しない
両方を回す → 改善した成果を標準化して定着させ、さらに高みを目指す
方針管理で改善した成果は、日常管理の「標準」として定着させます。そして、新たな方針管理でさらに上を目指す。この繰り返しで組織は成長していくのです。

まとめ|方針管理を成功させる3つのポイント
この記事の要点
- 方針管理は「山登り」:経営理念→中期計画→年度方針の階層で、着実に目標に向かう
- PDCAサイクルを1年で回す:計画→実行→確認→処置のサイクルで目標を達成し、次年度につなげる
- 管理項目は「ダッシュボード」:結果系と要因系の両方を監視して、問題を早期発見する
方針管理の年間スケジュール(例)
最後に、方針管理の典型的な年間スケジュールを示します。
| 時期 | PDCA | 活動内容 |
|---|---|---|
| 2〜3月 | A→P | 前年度の反省、次年度方針の策定 |
| 4月 | P | 年度方針の発表、部門への展開・すり合わせ |
| 5〜9月 | D・C | 方策の実行、月次レビュー |
| 10月 | C | 中間レビュー、後半の軌道修正 |
| 11〜1月 | D・C | 方策の継続実行、月次レビュー |
| 2〜3月 | C・A | 年度末レビュー、達成度評価、反省 |
方針管理は「1年で終わり」ではありません。毎年のPDCAサイクルが螺旋階段のように積み重なって、組織は着実に成長していくのです。
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