- MTBFとMTTF、名前が似すぎてどっちがどっちかわからない…
- 「平均故障間隔」と「平均故障時間」って何が違うの?
- どんな製品にどっちを使えばいいか判断できない
- 故障率λとの関係がイマイチ理解できない
- MTBFとMTTFの違いを「修理できるか」の1点で完全理解
- スマホと電球の例で、使い分けをイメージで把握
- MTTRの意味と、アベイラビリティとの関係
- 故障率λとMTBFの「逆数の関係」を直感的に理解
信頼性工学を学び始めると、最初に出会うのがMTBFとMTTFという2つの指標です。
どちらも「製品がどのくらい壊れにくいか」を表す指標なのですが、名前が似すぎていて混乱しますよね。
でも安心してください。この2つの違いは、たった1つの質問で判断できます。
「その製品は、壊れたら修理して使い続ける?」
YES → MTBFを使う
NO → MTTFを使う
この記事では、この判断基準を中心に、MTBFとMTTFの違いをイメージで完全理解できるように解説します。
目次
MTBFとMTTFの違いを一言で言うと?
まずは結論から。MTBFとMTTFの違いを一言で表すと、こうなります。
| 指標 | 正式名称 | 意味 | 対象製品 |
|---|---|---|---|
| MTBF | Mean Time Between Failures (平均故障間隔) | 故障から次の故障までの平均時間 | 修理して繰り返し使う製品 |
| MTTF | Mean Time To Failure (平均故障時間) | 最初の故障までの平均時間 | 壊れたら交換する製品 |
覚え方:「Between」と「To」の違い
英語の意味を考えると、違いがスッキリわかります。
🟢 MTBF:Mean Time Between Failures
Between = 〜の間
故障と故障の「間」の時間 → 修理して、また壊れて、また修理して…という繰り返しを前提としている
🟠 MTTF:Mean Time To Failure
To = 〜まで
故障「まで」の時間 → 一度壊れたら終わり。1回きりの寿命を表している
「B」etween = 「B」ack(戻ってくる) → 修理して戻ってくる製品
「T」o = 「T」erminal(終点) → 壊れたら終わりの製品

MTBF(平均故障間隔)を詳しく理解する
MTBFとは?
MTBFは、「修理して繰り返し使う製品」が、故障から次の故障までに平均してどのくらい動くかを表す指標です。
MTBF = 総稼働時間 ÷ 故障回数
Mean Time Between Failures(平均故障間隔)
MTBFの計算例:会社のサーバー
具体例で考えてみましょう。会社のサーバーが1年間で以下のように稼働したとします。
📊 サーバーの稼働記録
| 1回目の稼働 | 2,000時間 | → 故障① |
| 2回目の稼働 | 3,000時間 | → 故障② |
| 3回目の稼働 | 2,500時間 | → 故障③ |
| 合計 | 7,500時間 | 3回の故障 |
MTBFを計算すると:
MTBF = 7,500時間 ÷ 3回
MTBF = 2,500時間
つまり、「このサーバーは平均して2,500時間ごとに1回故障する」ということがわかります。
MTBFが使われる製品の例
MTBFは「修理して使い続ける」ことを前提とした製品に使います。
| 製品カテゴリ | 具体例 | なぜMTBF? |
|---|---|---|
| 🖥️ IT機器 | サーバー、ルーター、HDD | 部品交換して長期運用する |
| 🚗 自動車 | エンジン、トランスミッション | 故障しても修理して乗り続ける |
| 🏭 工場設備 | 製造装置、コンベア、ポンプ | 高額なので修理して使い続ける |
| ✈️ 航空機 | エンジン、計器類 | 定期的にメンテナンスして運用 |
MTBFのイメージ図
【MTBFのタイムライン】
稼働 ──────→ 故障① ──→ 修理 ──→ 稼働 ──────→ 故障② ──→ 修理 ──→ 稼働 ────→
├──── 2,000h ────┤ ├──── 3,000h ────┤ ├──── 2,500h ──┤
↑ ↑ ↑
1回目の稼働 2回目の稼働 3回目の稼働
──────────────────────────────────────────────────────────────────────
MTBF = (2,000 + 3,000 + 2,500) ÷ 3 = 2,500時間
このように、MTBFは「故障→修理→稼働→故障→修理→…」というサイクルの中で、稼働している時間の平均を表しています。

MTTF(平均故障時間)を詳しく理解する
MTTFとは?
MTTFは、「壊れたら交換する製品」が、最初の故障までに平均してどのくらい動くかを表す指標です。
MTTF = 総稼働時間 ÷ 故障した製品の数
Mean Time To Failure(平均故障時間)
MTBFとの違いは、「1つの製品が何度も故障する」のではなく、「複数の製品がそれぞれ1回だけ故障する」という点です。
MTTFの計算例:LED電球
LED電球を5個テストして、それぞれが切れるまでの時間を測定したとします。
💡 LED電球の寿命テスト結果
| 電球① | 20,000時間で切れた |
| 電球② | 25,000時間で切れた |
| 電球③ | 18,000時間で切れた |
| 電球④ | 22,000時間で切れた |
| 電球⑤ | 15,000時間で切れた |
| 合計 | 100,000時間(5個が故障) |
MTTFを計算すると:
MTTF = 100,000時間 ÷ 5個
MTTF = 20,000時間
つまり、「このLED電球は平均して20,000時間(約2.3年間)使える」ということがわかります。
MTTFが使われる製品の例
MTTFは「壊れたら修理せずに交換する」製品に使います。
| 製品カテゴリ | 具体例 | なぜMTTF? |
|---|---|---|
| 💡 照明 | 電球、蛍光灯、LED | 切れたら新品に交換 |
| 🔋 電池 | 乾電池、ボタン電池 | 切れたら捨てて新品を使う |
| 🔧 消耗部品 | ベアリング、シール、フィルター | 摩耗したら交換が基本 |
| 💾 記憶媒体 | SSD、USBメモリ | 書き込み回数に限界がある |
MTTFのイメージ図
【MTTFのイメージ:複数の電球の寿命】
電球① ████████████████████ 20,000h → 💀 切れた(交換)
電球② █████████████████████████ 25,000h → 💀 切れた(交換)
電球③ ██████████████████ 18,000h → 💀 切れた(交換)
電球④ ██████████████████████ 22,000h → 💀 切れた(交換)
電球⑤ ███████████████ 15,000h → 💀 切れた(交換)
─────────────────────────────────────────────────────────
MTTF = (20,000 + 25,000 + 18,000 + 22,000 + 15,000) ÷ 5 = 20,000時間
※ 1つの製品が「1回だけ」故障する
一見すると、どちらも「総稼働時間 ÷ 故障回数」で同じに見えます。
違いは、分母の「故障回数」の意味です。
・MTBF:1つの製品が何度も故障する回数
・MTTF:複数の製品がそれぞれ1回故障する数

MTTR(平均修理時間)も一緒に覚えよう
MTBFとMTTFを学んだら、もう1つ覚えておきたい指標があります。
それがMTTR(Mean Time To Repair:平均修理時間)です。
MTTRとは?
MTTR = 総修理時間 ÷ 修理回数
Mean Time To Repair(平均修理時間)
MTTRは、「故障してから復旧するまでに平均してどのくらい時間がかかるか」を表します。
これは保全性(直しやすさ)を測る指標です。
MTTRに含まれる時間
MTTRは単なる「修理作業の時間」だけではありません。故障発生から復旧までのすべての時間を含みます。
【MTTRに含まれる時間】
故障発生 → 故障発見 → 原因診断 → 部品手配 → 修理作業 → テスト → 復旧
│ │ │ │ │ │ │
└────┬────┘ └────┬────┘ └────┬────┘ └────┬────┘
検知時間 診断時間 待機時間 修理+確認時間
────────────────────────────────────────────────────────────────────
← MTTR →
| 時間の種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 検知時間 | 故障が発生してから発見されるまで | 監視システムのアラート、ユーザーからの報告 |
| 診断時間 | 故障原因を特定するまで | ログ解析、部品の検査 |
| 待機時間 | 部品や人員の手配 | 交換部品の調達、技術者の派遣 |
| 修理時間 | 実際の修理作業 | 部品交換、調整、動作確認 |
- 監視システムの導入 → 検知時間を短縮
- マニュアルの整備 → 診断時間を短縮
- 予備部品の在庫 → 待機時間を短縮
- モジュール設計 → 修理時間を短縮(ユニットごと交換)
MTBF・MTTR・アベイラビリティの関係
前回の記事で学んだアベイラビリティ(可用性)は、MTBFとMTTRから計算できます。
計算例:サーバーのアベイラビリティ
条件
- MTBF = 2,500時間(平均して2,500時間ごとに故障)
- MTTR = 5時間(修理に平均5時間かかる)
A = 2,500 ÷ (2,500 + 5)
A = 2,500 ÷ 2,505
A ≒ 0.998(99.8%)
つまり、このサーバーは「99.8%の時間は使える状態にある」ということです。

故障率λとMTBFの関係
信頼性工学でよく出てくる故障率λ(ラムダ)についても理解しておきましょう。
故障率λとは?
故障率λ = 単位時間あたりに故障する確率
単位:回/時間、FIT(Failure In Time:10⁹時間あたりの故障数)など
たとえば「故障率λ = 0.001回/時間」なら、「1時間あたり0.1%の確率で故障する」という意味です。
故障率λとMTBFは「逆数」の関係
故障率λとMTBFには、とても重要な関係があります。
λ = 1 / MTBF MTBF = 1 / λ
故障率とMTBFは逆数の関係
なぜ逆数になるのか?─ イメージで理解
シーソーをイメージしてください。
【MTBFと故障率λの関係】
MTBF(大) λ(小)
↓ ↓
┌──────┐ ┌──────┐
│ 重い │ │ 軽い │
└──┬───┘ └──┬───┘
│ │
────────┴──────────────────┴────────
△
支点
MTBFが大きい(壊れにくい)↔ 故障率が小さい
MTBFが小さい(壊れやすい)↔ 故障率が大きい
直感的に考えれば当然ですよね。
- MTBFが大きい(故障間隔が長い)= 故障率が小さい(なかなか壊れない)
- MTBFが小さい(故障間隔が短い)= 故障率が大きい(すぐ壊れる)
計算例
問題:MTBF = 10,000時間のハードディスクの故障率λは?
λ = 1 ÷ 10,000
λ = 0.0001 回/時間
→ 1時間あたり0.01%(1万分の1)の確率で故障する
問題:故障率λ = 0.002回/時間の機械のMTBFは?
MTBF = 1 ÷ 0.002
MTBF = 500時間
→ 平均して500時間ごとに1回故障する
λ = 1/MTBF の関係は、故障率が一定(偶発故障期間)のときにのみ成り立ちます。
初期故障期間や摩耗故障期間では、故障率が時間とともに変化するため、この単純な関係は使えません。
詳しくは次の記事「故障率曲線(バスタブカーブ)」で解説します。
まとめ:MTBF・MTTF・MTTRの違い
この記事で学んだことを整理しましょう。
✅ 3つの指標の比較表
| 指標 | 正式名称 | 意味 | 対象 |
|---|---|---|---|
| MTBF | Mean Time Between Failures | 故障間隔の平均 | 修理可能な製品 |
| MTTF | Mean Time To Failure | 故障までの平均時間 | 交換する製品 |
| MTTR | Mean Time To Repair | 修理時間の平均 | 修理可能な製品 |
✅ 判断フローチャート
製品が故障した!
↓
修理して使い続ける?
YES → MTBF NO → MTTF
✅ 重要な公式
| アベイラビリティ | A = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) |
| 故障率との関係 | λ = 1 ÷ MTBF(故障率一定の場合) |
- MTBF vs MTTF:「修理可能か」で使い分け(Between = 繰り返し、To = 1回きり)
- MTTR:故障発生から復旧までの全時間(検知・診断・待機・修理)
- アベイラビリティ:A = MTBF / (MTBF + MTTR)
- 故障率λ:λ = 1/MTBF(故障率一定のとき)
- MTBFを上げるorMTTRを下げる→ アベイラビリティ向上
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