信頼性工学

【完全図解】故障率曲線(バスタブカーブ)|製品の"寿命"を3つの期間で理解する

😣 こんな悩みはありませんか?
  • バスタブカーブって何?なぜ「バスタブ(浴槽)」なの?
  • 初期故障・偶発故障・摩耗故障の違いがわからない
  • DFR・CFR・IFRって何の略?覚えられない…
  • 故障率曲線を理解して、実務にどう活かせばいいの?
✅ この記事でわかること
  • バスタブカーブを「人間の一生」でイメージ理解
  • 3つの故障期間(初期・偶発・摩耗)の特徴と原因
  • DFR・CFR・IFRの意味を「故障率の動き」で覚える
  • 各期間に対する適切な対策

製品には「寿命」があります。

でも、その寿命は単純に「○○年で壊れる」というものではありません。製品は、時期によって壊れやすさが変わるんです。

この「時期による壊れやすさの変化」をグラフにしたものが、故障率曲線(バスタブカーブ)です。

なぜ「バスタブ(浴槽)」かというと、グラフの形がお風呂の浴槽を横から見た形に似ているからです。

この記事では、バスタブカーブを「人間の一生」に例えて、直感的に理解できるように解説します。

📘 前提知識
【図解】MTBFとMTTFの違い|"修理できるか"で使い分ける2つの指標 →

故障率とMTBFの関係を先に理解しておくと、よりスムーズです

バスタブカーブを「人間の一生」で理解する

製品の一生は、実は人間の一生とよく似ています

この例え話を理解すれば、バスタブカーブは一発で覚えられます。

製品の一生 = 人間の一生

製品の時期人間に例えると特徴
初期故障期間👶 赤ちゃん〜幼児期生まれたばかりで不安定。病気になりやすい
偶発故障期間👨 成人期(働き盛り)体力があり安定。病気は少ないが、事故は起きうる
摩耗故障期間👴 老年期体が衰えてくる。病気が増える

このように考えると、バスタブカーブの形が自然に理解できますよね。

  • 赤ちゃん:まだ体が弱く、病気になりやすい → 故障率が高い
  • 成人:体力があり、めったに病気にならない → 故障率が低い
  • 老人:体が衰え、病気が増える → 故障率が高くなる
💡 ポイント
製品も人間も、「最初」と「最後」に問題が起きやすく、「真ん中」が一番安定しているという点で同じです。

だからグラフが「浴槽」の形(両端が高く、真ん中が低い)になるんです。

① 初期故障期間(DFR:故障率が減少する時期)

初期故障期間とは?

製品を使い始めた直後の期間です。故障率が高いところから、だんだん下がっていきます

📐 DFR = Decreasing Failure Rate(減少型故障率)

Decreasing = 減少する
故障率が時間とともに下がっていく期間

なぜ最初は故障率が高いのか?

製品が生まれたばかりのとき、こんな問題が隠れている可能性があります。

原因の種類具体例
設計ミス強度不足、放熱設計の不備、部品選定ミス
製造ミスはんだ不良、組立ミス、異物混入
材料不良不良部品の混入、材料のバラつき

これらの「生まれつきの問題」を持った製品は、使い始めてすぐに壊れます。

逆に言うと、問題のある製品が早めに脱落していくので、残った製品の故障率は下がっていきます。

イメージ:学校のマラソン大会

スタート直後は、体調不良の人がどんどん脱落する

残った人は体力があるので、しばらく安定して走れる

初期故障期間への対策

初期故障を「お客様に届く前に」取り除くことが重要です。

対策内容
バーンイン試験出荷前に高温などの厳しい条件で動かし、初期不良をあえて発生させて取り除く
エージング一定時間動かしてから出荷する(慣らし運転)
出荷検査全数または抜取りで検査し、不良品を除去
デバッグソフトウェアのバグを出荷前に修正
💡 バーンインのイメージ
「お客様の手元で壊れる前に、工場で壊してしまおう」という考え方です。

高温で100時間動かして壊れなかった製品だけを出荷すれば、お客様の元では初期故障が起きにくくなります。

② 偶発故障期間(CFR:故障率が一定の時期)

偶発故障期間とは?

初期故障期間を過ぎ、摩耗故障期間に入るまでの安定した期間です。

この期間は故障率が一定(低いまま変わらない)で、製品が最も安定して動く「黄金期」です。

📐 CFR = Constant Failure Rate(一定型故障率)

Constant = 一定の
故障率が時間によらず一定の期間

偶発故障の特徴:「いつ壊れるかわからない」

偶発故障期間の故障は、予測できません

「昨日まで元気だったのに、突然壊れた」というのが偶発故障です。

イメージ:サイコロを振る

毎回「1が出たら故障」というゲーム

いつ1が出るかは完全にランダム

でも「1が出る確率」は毎回同じ(1/6)

これが「故障率が一定」の意味です。

偶発故障の原因

偶発故障は、製品自体の問題ではなく、外部からのランダムな要因で起こります。

原因
環境ストレス落雷、過電圧、温度変化、振動
使用ミス落下、水没、誤操作
偶発的な部品故障突然のコンデンサ破裂、接触不良

故障率一定 = 指数分布

偶発故障期間では、故障間隔は「指数分布」に従うことが知られています。

このとき、故障率λとMTBFには次の関係があります。

λ = 1 / MTBF

故障率と平均故障間隔は逆数の関係(故障率一定のときだけ成り立つ)

⚠️ 重要な注意
λ = 1/MTBF の関係は、偶発故障期間(故障率一定)のときだけ成り立ちます。

初期故障期間や摩耗故障期間では、故障率が変化するので、この単純な関係は使えません。

偶発故障期間への対策

偶発故障は予測できないので、「起きても大丈夫」な設計にすることが重要です。

対策内容
冗長設計重要な部品を二重化して、1つ壊れても動くようにする
フェイルセーフ設計壊れたときに安全な状態になるよう設計する
監視・アラート故障をすぐに検知して対応できるようにする
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③ 摩耗故障期間(IFR:故障率が増加する時期)

摩耗故障期間とは?

製品を長く使い続けると、やがて部品が劣化して故障率が上がってくる時期が来ます。

これが摩耗故障期間です。人間で言えば「老年期」にあたります。

📐 IFR = Increasing Failure Rate(増加型故障率)

Increasing = 増加する
故障率が時間とともに上がっていく期間

摩耗故障の原因

摩耗故障は、時間の経過とともに蓄積するダメージが原因です。

原因
機械的摩耗ベアリングの摩耗、ブレーキパッドの減り
金属疲労繰り返し応力による亀裂、破断
腐食・酸化錆び、配線の腐食
経年劣化ゴムの硬化、プラスチックの脆化、電解コンデンサのドライアップ

摩耗故障の特徴:「予測できる」

偶発故障とは違い、摩耗故障はある程度予測できます

なぜなら、劣化は時間とともに進むので、「そろそろ寿命」という予兆があるからです。

イメージ:車のタイヤ

走るほど溝が減っていく

「あと○○km走ったら交換」と予測できる

壊れる前に交換すれば問題なし

摩耗故障期間への対策

摩耗故障は予測できるので、壊れる前に手を打つ「予防保全」が有効です。

対策内容
予防保全壊れる前に定期的に部品を交換する
状態監視保全振動、温度などを監視し、異常を検知したら交換
寿命管理使用時間や回数を記録し、寿命が来たら交換
設計による対策長寿命部品の採用、交換しやすい設計
💡 予防保全のイメージ
「壊れてから直す」のではなく、「壊れる前に交換する」という考え方です。

車のエンジンオイル交換が良い例です。オイルが劣化してエンジンが壊れる前に、定期的に交換しますよね。
📘 関連記事
【図解】ワイブル分布とは?|形状パラメータmで故障パターンを見抜く →

摩耗故障期間の解析に使われるワイブル分布を学べます

DFR・CFR・IFRの覚え方

3つの略語は、故障率の「動き」を表しています。

略語英語意味故障率の動き
DFRDecreasing FR減少型↘️ 下がる
CFRConstant FR一定型➡️ 横ばい
IFRIncreasing FR増加型↗️ 上がる
🎵 語呂合わせ

「D(ダウン)→ C(コンスタント)→ I(インクリース)」

下がる → 一定 → 上がる の順番で覚える

まとめ:バスタブカーブの全体像

この記事で学んだことを整理しましょう。

✅ バスタブカーブの3つの期間

期間故障率原因対策
初期故障
(DFR)
減少 ↘️設計ミス、製造不良バーンイン、出荷検査
偶発故障
(CFR)
一定 ➡️ランダム事象冗長設計、監視
摩耗故障
(IFR)
増加 ↗️摩耗、劣化、疲労予防保全、部品交換

✅ 人間の一生との対応

👶 赤ちゃん(初期故障)→ 👨 成人(偶発故障)→ 👴 老人(摩耗故障)

✅ 重要な関係式

λ = 1 / MTBF(偶発故障期間のみ成立)

📝 試験対策チェックリスト
  • バスタブカーブの形:両端が高く、真ん中が低い「浴槽型」
  • DFR:Decreasing(減少)、初期故障期間
  • CFR:Constant(一定)、偶発故障期間、指数分布
  • IFR:Increasing(増加)、摩耗故障期間
  • λ = 1/MTBF:CFR(故障率一定)のときだけ成立
  • バーンイン:初期故障を出荷前に取り除く
  • 予防保全:摩耗故障を壊れる前に対策

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