実験計画法

分散分析表の作り方|表を完成させる手順|一元配置実験⑧

📊 こんな疑問、ありませんか?

  • 分散分析表って、どうやって作るの?
  • S、V、Fって何が違うの?
  • 最終的に「F値」を出すまでの流れを知りたい!

こんにちは、シラスです。

前回、データのバラつき全体(ST)を、ナイフで2つに切り分けました。

🎯 群間平方和(SA

温度を変えた効果(シグナル)

24

🎲 群内平方和(Se

偶然の誤差(ノイズ)

4

「24対4」なら、明らかに効果の方が大きそうですよね。

しかし、統計学では「平方和(S)」をそのまま比べてはいけません

⚠️ なぜダメなの?

データ数などの条件(自由度)が違うからです。
「総額」のまま比べると、不公平な勝負になってしまいます。

これらを公平な「単価(分散)」に直し、最終的な決着をつける場所。
それが今回完成させる「分散分析表(ANOVA Table)」です。

✅ この記事で学べること

  • 分散分析表の全体像(ゴールを先に見る)
  • ステップ1:SとfFを埋める
  • ステップ2:分散(V)を計算する
  • ステップ3:分散比(F値)を出す
  • F値の意味:「シグナルはノイズの何倍?」

📖 前回の記事

群間平方和と群内平方和|バラつきを「効果」と「誤差」に分解する|一元配置実験⑦

S_A = 24、S_e = 4 を計算しました。今回はこれを表にまとめます!

1. 目指すゴール:この表を埋める

まずは、完成形の表を見ておきましょう。

実験計画法のゴールは、この表の右端にある「F値」を出すことです。

📋 分散分析表(空欄版)

要因
(Source)
自由度
(f)
平方和
(S)
分散
(V)
分散比
(F) ⭐
A:温度④ ←ゴール
e:誤差
計 (Total)

空欄だらけに見えますが、恐れることはありません。

私たちはすでに「② ⑥ ⑨」の数字を持っています

🤔 表の各列は何を表している?

f(自由度)

情報の「個数」
=データの広がり

S(平方和)

バラつきの「総額」
=エネルギーの塊

V(分散)

バラつきの「単価」
=S÷f

F(分散比)

シグナル÷ノイズ
=最終判定値

🎮 RPGで例えると

分散分析表を埋める作業は、RPGの装備強化に似ています。

⚔️

S(素材)

鉄鉱石を集める

🔨

V(加工)

単価に変換

🗡️

F(最終武器)

判定用の武器完成!

素材(S)を加工(÷f)して、最終武器(F値)を作る!

2. ステップ1:Sとfを埋める

前回の計算結果と、実験の条件(水準数・データ数)を整理して書き込みます。

📊 実験条件のおさらい

  • 水準数 a = 2(低温・高温の2つ)
  • データ総数 N = 6(各3個 × 2水準)

📝 平方和(S)を埋める

これは前回計算済みですね。そのまま書き込みます。

SA(温度)

24

Se(誤差)

4

ST(計)

28

📝 自由度(f)を埋める

自由度は「情報の広さ(数 − 1)」でした。

fA(温度) = 水準数 − 1 = 2 − 1 = 1

fT(計) = データ総数 − 1 = 6 − 1 = 5

fe(誤差) = 引き算(fT − fA)= 5 − 1 = 4

💡 なぜ「−1」するの?

「合計が決まっていると、最後の1つは自動的に決まる」からです。
例:3人で100円を分けるとき、2人の取り分が決まれば、3人目は自動的に決まりますよね。
→ 自由に決められるのは「数 − 1」個だけ

✅ ステップ1完了!表の左半分が埋まった

要因f ✅S ✅VF
A:温度124??
e:誤差44?
528

✅ fとSの列が埋まりました!次はV(分散)を計算します

3. ステップ2:分散(V)を計算する

ここからが割り算です。

平方和(総エネルギー)を自由度(個数)で割って、「1単位あたりのエネルギー(単価)」を出します。

📐 分散(V)の公式

V = S ÷ f

分散 = 平方和 ÷ 自由度(=総額 ÷ 個数 = 単価)

🥩 お肉のたとえ(復習)

前に「お肉のパック」で説明しましたね。

🥩

S(平方和)= 総額

「このパック、1000円です」

⚖️

f(自由度)= グラム数

「10kgです」

💰

V(分散)= 単価

「100円/kgですね」

総額を個数で割れば、単価が出る。これだけです!

🏭 実践計算

🌡️ 温度の分散 VA

SA ÷ fA = 24 ÷ 1

= 24

シグナルの「単価」

🎲 誤差の分散 Ve

Se ÷ fe = 4 ÷ 4

= 1

ノイズの「単価」(基準値)

💡 Ve = 1 の意味

この「Ve = 1」という数字が、この実験における「ノイズの大きさ(基準)」になります。
次のステップで、シグナル(VA)がこの基準の何倍かを計算します。

✅ ステップ2完了!V列が埋まった

要因f ✅S ✅V ✅F
A:温度12424?
e:誤差441
528

✅ V(分散)の列が埋まりました!あとはF値だけ!

4. ステップ3:分散比(F値)を出す

いよいよクライマックスです。

「温度の効果(VA)」は、「ノイズ(Ve)」の何倍大きいのか?を計算します。

📐 F値(分散比)の公式

F = VA ÷ Ve

シグナルの単価 ÷ ノイズの単価 = 「何倍?」

📻 ラジオのたとえ(復習)

F値は、「シグナル対ノイズ比(S/N比)」のようなものです。

🔊

シグナル(VA

聞きたい音楽の音量

24

📢

ノイズ(Ve

ザーザーという雑音

1

シグナルがノイズの何倍の音量で鳴っているか?
その倍率がF値です。

🏭 実践計算

最終計算

F = VA ÷ Ve

= 24 ÷ 1

= 24.0

🎉 F値は 24.0 になりました!

これは、「温度を変える効果は、偶然のノイズよりも24倍も強力だ!」ということを意味しています。

🔊 音量でイメージすると

F = 24 ということは…

ノイズ(雑音)

1

シグナル(音楽)

24倍

24

雑音の24倍の声量で叫んでいるようなもの。
間違いなく聞こえますよね!

まとめ:完成した分散分析表

計算結果を清書すると、こうなります。

🎉 分散分析表(ANOVA Table)完成!

要因fSVF ⭐
A:温度124.024.024.00
e:誤差44.01.0
528.0

📝 今日のポイント

1

Step1:SとfFを埋める(前回の計算結果 + 水準数・データ数から)

2

Step2:V = S ÷ f(総額を個数で割って単価に)

3

Step3:F = VA ÷ Ve(シグナルはノイズの何倍?)

表が埋まりました。しかし、まだ終わりではありません

⚠️ F値が「24.0」だからといって、勝手に「合格!」と決めてはいけません。

「統計的に見て、24.0 は本当にレアなのか?」を判定する、最後の審判が待っています。

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F検定で有意差を判定する|F分布表の使い方|一元配置実験⑨

今回出した「F = 24.0」が統計的に意味のある数字なのか?F分布表を使って「合格・不合格」を判定する方法を解説します!

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① 分散分析とは?「平均の差」ではなく「分散」を見る理由 ② 一元配置実験とは?1つの因子で白黒つける実験の基本形 ③ 一元配置実験の計算の全体像|分散分析表を作るまでの地図 ④ 修正項(CT)とは?T²/Nの計算式を図解で理解する ⑤ 平方和(S)と自由度の関係|「分散」を求める準備 ⑥ 総平方和(S_T)の計算|データ全体のバラつきを数値化する ⑦ 群間平方和と群内平方和|バラつきを「効果」と「誤差」に分解する
⑧ 分散分析表(ANOVA)の作り方|表を完成させる手順 👈 今ここ
⑨ F検定で有意差を判定する|F分布表の使い方 ⑩ 母平均の点推定と区間推定|最適条件の結果を予測する ⑪ 有効繰返し数とは?実験回数の最適解を導く考え方 ⑫ 有効繰返し数の計算方法|2つの公式を使い分ける ⑬ 平均平方の期待値E(V)とは?数式の意味を直感的に理解する ⑭ 分散分析表の作り方完全ガイド|S→V→Fの流れを総復習 ⑮ 一元配置実験の分散分析を実践|カレーの例で手を動かす ⑯ 一元配置実験の計算を完全図解|分散分析表を1から作る全手順

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