電力科目の解説

【電験三種・電力】その他の発電方式|地熱・バイオマス・燃料電池をサクッと解説

✅ この記事でわかること

  • 地熱・バイオマス・燃料電池の基本的な仕組み
  • それぞれの特徴と試験で出やすいポイント
  • 電験三種で押さえるべき数値・キーワード

電験三種の「電力」科目では、火力・水力・原子力・太陽光・風力だけでなく、地熱・バイオマス・燃料電池といった、その他の発電方式も出題されます。

とはいえ、これらの分野は深い計算問題はほぼ出ないので、基本的な仕組みと特徴を押さえておけば大丈夫。この記事では、最低限の知識をサクッと解説します!

💡 この記事のスタンス

試験で頻出する「火力・水力・原子力・太陽光・風力」は別記事で詳しく解説済み。この記事は、その他の発電方式をサッと押さえるための「ライト版」です!

🔥 地熱発電|地球のマグマ熱で発電

📖 地熱発電とは?

地熱発電とは、地下のマグマの熱で生成された蒸気を使ってタービンを回して発電する方式。

火力発電と同じく「蒸気→タービン→発電機」という流れですが、燃料を燃やす代わりに地球の内部熱を利用するのが特徴です!

⚡ 地熱発電の仕組み

  1. 地下数km〜数十kmにマグマが存在
  2. 地下水がマグマ熱で加熱され、高温・高圧の蒸気になる
  3. 地熱井(ちねついど)を掘り、蒸気を地上へ取り出す
  4. 蒸気でタービンを回転させて発電
  5. 使用後の蒸気は冷却・凝縮して地下へ還元

✅ 地熱発電の特徴

項目 内容
燃料 地熱(マグマの熱)
CO₂排出 ほぼゼロ(クリーンエネルギー)
出力の安定性 非常に安定(24時間連続運転可能)
設備利用率 70〜80%(太陽光の約3倍!)
立地制約 火山地帯のみ(日本には有利)
主な設置場所 九州(大分・鹿児島)、東北、北海道

💡 試験で狙われるポイント

  • 燃料不要CO₂排出ほぼゼロ
  • 出力が安定(太陽光・風力と違い24時間運転)
  • 設備利用率70〜80%と高い
  • 立地制約あり(火山地帯限定)

🌿 バイオマス発電|廃棄物を燃料に変える

📖 バイオマス発電とは?

バイオマス発電とは、動植物由来の有機物(バイオマス)を燃料として発電する方式。

「バイオマス」とは、木材チップ・農業廃棄物・食品廃棄物・家畜糞尿・下水汚泥など、生物由来の資源全般を指します。

⚡ バイオマス発電の仕組み

  1. バイオマス燃料をボイラーで燃焼
  2. 発生した熱で水を加熱→蒸気を発生
  3. 蒸気でタービンを回転させて発電
  4. 火力発電とほぼ同じ仕組み(燃料が異なるだけ)

✅ バイオマス発電の特徴

項目 内容
燃料 木材チップ、農業廃棄物、食品廃棄物など
CO₂排出 カーボンニュートラル(実質ゼロとみなされる)
出力調整 可能(需要に合わせて燃料投入量を変更できる)
廃棄物利用 廃棄物の有効活用(循環型社会に貢献)
課題 燃料の安定調達、収集・運搬コストが高い

💡 カーボンニュートラルとは?

バイオマスは燃やせばCO₂を排出しますが、その植物が成長時にCO₂を吸収しているため、差し引きゼロ(=カーボンニュートラル)とみなされます。

💡 試験で狙われるポイント

  • カーボンニュートラル(CO₂実質ゼロ)
  • 廃棄物を有効活用(循環型社会)
  • 出力調整が可能(火力発電と同じ)
  • 燃料の安定調達が課題

⚡ 燃料電池発電|水素と酸素で直接発電

📖 燃料電池とは?

燃料電池とは、水素(H₂)と酸素(O₂)を化学反応させて、電気を直接取り出す装置。

火力発電のように「熱→蒸気→タービン→発電」という複雑なプロセスは不要。化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、効率が高いのが特徴です!

⚡ 燃料電池の仕組み

🔋 燃料電池の反応式

2H₂ + O₂ → 2H₂O + 電気 + 熱

(水素と酸素が反応して、水と電気と熱が発生)

  1. 水素(H₂)を燃料極(負極)に供給
  2. 酸素(O₂)を空気極(正極)に供給
  3. 電解質を介してイオン交換が起こり、電子が移動
  4. 電子の流れ = 電流が発生!
  5. 副産物として水(H₂O)と熱が発生

✅ 燃料電池の特徴

項目 内容
燃料 水素(H₂)
発電効率 40〜60%(火力発電より高い)
CO₂排出 完全にゼロ(副産物は水のみ)
騒音・振動 極めて小さい(タービン不要)
排熱利用 可能(給湯・暖房に利用 = コージェネレーション)
用途 家庭用(エネファーム)、業務用、自動車(FCV)
課題 水素の製造・貯蔵・輸送コストが高い

💡 エネファームとは?

「エネファーム(ENE-FARM)」は、家庭用燃料電池システムの商品名。都市ガスやLPガスから水素を取り出して発電し、排熱を給湯に利用します(=コージェネレーション)。

💡 試験で狙われるポイント

  • 化学反応で直接発電(タービン不要)
  • 発電効率40〜60%(火力より高い)
  • CO₂排出ゼロ(副産物は水のみ)
  • 騒音・振動が極めて小さい
  • 排熱利用可能(コージェネレーション)

📊 3つの発電方式を比較

項目 地熱発電 バイオマス発電 燃料電池発電
燃料 地熱(マグマ) バイオマス(廃棄物等) 水素(H₂)
発電効率 10〜20% 20〜30% 40〜60%
CO₂排出 ほぼゼロ カーボンニュートラル 完全にゼロ
出力の安定性 非常に安定 調整可能 安定
設備利用率 70〜80% 60〜70%
立地制約 火山地帯限定 燃料調達次第 ほぼなし
主な特徴 24時間安定運転 廃棄物有効活用 高効率・低騒音

📚 まとめ|この3つの発電方式を押さえよう

✅ 試験で押さえるべき3つのポイント

  1. 地熱発電: 出力安定・設備利用率70〜80%、立地は火山地帯限定
  2. バイオマス発電: カーボンニュートラル・廃棄物利用、出力調整可能
  3. 燃料電池発電: 効率40〜60%・CO₂ゼロ、化学反応で直接発電

この3つの発電方式は、火力・水力・原子力・太陽光・風力に比べると出題頻度は低めですが、基本的な特徴は必ず覚えておきましょう。特にCO₂排出ゼロ出力の安定性といったキーワードは、選択肢の判別に役立ちます!

この記事が、あなたの電験三種合格への一歩になれば嬉しいです。その他の発電方式もサクッとマスターして、得点源を増やしましょう! ⚡✨

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