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- 発電端と送電端、どっちの熱効率を求めればいいかわからない
- kJ/h を kW に直すところで手が止まる
- 燃料消費量やCO2の量を出す燃焼計算が苦手
- 熱効率の式と、発電端・送電端の違い
- 単位をそろえるコツ(1kWh=3600kJ)
- 燃料消費量の逆算とCO2・空気量の燃焼計算
- 数字を入れるだけの計算ツール
火力発電の熱効率は、燃料が出した熱のうち何%が電気になったかを表す値で、発電端熱効率 η=3600P÷(B×H)(P:発電端出力kW、B:燃料消費量kg/h、H:発熱量kJ/kg)で求めます。送電端熱効率は、所内で使う電力(所内率L)を差し引いて η×(1−L) です。燃焼計算では、炭素12kgが燃えるとCO2が44kgできる、という化学式の比から、CO2の量や必要な空気の量を求めます。

火力発電の熱効率とは?燃料の熱が電気になる割合
火力発電所は、燃料を燃やした熱で水を蒸気にし、蒸気でタービンを回して発電します。燃料の熱がぜんぶ電気になるわけではなく、煙突から出る排ガスや、復水器で海に捨てる熱として多くが失われます。燃料の熱のうち電気になった割合が熱効率です。
| 場所 | そこで決まるもの | 記号 |
|---|---|---|
| 燃料 | 1時間に燃やす量と、1kgあたりの熱 | B[kg/h]、H[kJ/kg] |
| 発電機の出口 | 発電機がつくった電力 | 発電端出力 P[kW] |
| 所内 | ポンプ・送風機など発電所の中で使う電力 | 所内率 L |
| 送電線へ | 外へ送り出す電力 | 送電端出力 P(1−L) |
同じ発電所でも、どこで電力をはかるかで熱効率は2つあります。発電機の出口ではかるのが発電端熱効率、所内で使った分を引いて外に出す電力ではかるのが送電端熱効率です。問題文がどちらを聞いているかを、まず確かめましょう。
汽力・ガスタービン・コンバインドの仕組み

発熱量と単位のそろえ方|1kWh=3600kJ
発熱量H は、燃料1kgを完全に燃やしたときに出る熱量[kJ/kg]です。燃料消費量B[kg/h]とかけると、1時間あたりに入れた熱量 B×H[kJ/h]になります。
| 燃料 | 発熱量の目安(kJ/kg) |
|---|---|
| 石炭 | 約26,000 |
| 重油 | 約42,000 |
| LNG(液化天然ガス) | 約50,000〜55,000 |
発熱量には、燃焼でできた水蒸気が水に戻るときの熱まで含める高位発熱量と、含めない低位発熱量があり、数%ちがいます。試験では、問題文にある発熱量をそのまま使えば大丈夫です。
kJ/h を kW に直す
1kWは1秒に1kJなので、1時間(3600秒)では3600kJです。つまり1kWh=3600kJ。熱量[kJ/h]を3600で割ると、電力と同じkWでくらべられます。
投入熱量[kW]= B[kg/h]× H[kJ/kg]÷ 3600

発電端熱効率と送電端熱効率の求め方|例題で
発電端熱効率 η = 3600 × P ÷(B × H)
送電端熱効率 η' = η ×(1 − L)
所内率Lは、発電端出力のうち発電所の中で使う電力の割合です。給水ポンプや送風機、石炭を細かくする粉砕機などに使い、数%程度です(石炭火力はやや大きく、ガス火力は小さめ)。
例題:石炭を1時間に2,000kg燃やし、発電端出力6,000kWを得ている。石炭の発熱量は27,000kJ/kg、所内率は5%。発電端熱効率、送電端出力、送電端熱効率を求めよ。
| ステップ | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| ① 投入熱量 | 2,000×27,000÷3600 | 15,000kW |
| ② 発電端熱効率 | 6,000÷15,000 | 40% |
| ③ 送電端出力 | 6,000×(1−0.05) | 5,700kW |
| ④ 送電端熱効率 | 40%×(1−0.05) | 38% |
④は、5,700÷15,000=38%と計算しても同じです。送電端は「分子だけが小さくなる」と覚えると迷いません。
効率は掛け算でつながる
燃料の熱が電気になるまでには、ボイラー(燃料の熱を蒸気へ)、タービン(蒸気の熱を回転へ)、発電機(回転を電気へ)の3段階があります。発電端熱効率=ボイラー効率×タービン室効率×発電機効率で、たとえば 0.90×0.46×0.98≒0.41 です。
ボイラー・タービン・復水器の役割

燃料消費量の逆算|熱効率の式を変形する
熱効率の式をBについて解くと、B=3600×P÷(H×η)です。「出力と熱効率がわかっていて、燃料がどれだけいるか」を聞く問題はこれで解けます。
例題:出力600MW、発電端熱効率40%のLNG火力。LNGの発熱量を50,000kJ/kgとすると、1時間に燃やすLNGは?
| 計算 | 答え |
|---|---|
| 3600×600,000÷(50,000×0.40) | 108,000kg/h=108t/h |
出力のkWをMWのまま入れてしまうと、答えが1000分の1になります。kWにそろえてから計算しましょう。
燃焼計算|CO2の量と必要な空気の量
燃焼計算は、化学式の重さの比を使う計算です。炭素Cの原子量は12、酸素Oは16、水素Hは1なので、炭素12kgは酸素32kgと結びついてCO2が44kgできます。
| 燃える物 | 化学式 | 重さの比 | 1kgあたりのCO2 |
|---|---|---|---|
| 炭素 | C+O2→CO2 | 12:32:44 | 44÷12≒3.67kg |
| 水素 | 2H2+O2→2H2O | 4:32:36 | 0(水になる) |
| メタン(LNGの主成分) | CH4+2O2→CO2+2H2O | 16:64:44:36 | 44÷16=2.75kg |
理論空気量と空気比
気体は種類によらず、1kmolが標準状態で22.4m³N(ノルマル立方メートル)です。炭素1kgは1/12kmolなので、必要な酸素は 22.4÷12≒1.87m³N。水素1kgは 22.4÷4=5.6m³N です。空気中の酸素は体積で21%なので、酸素の量を0.21で割ると理論空気量になります。
実際の燃焼では、燃え残りを防ぐために理論空気量より多めに空気を送ります。その倍率が空気比m(石炭やガスで1.1〜1.3程度)で、実際の空気量=理論空気量×mです。
例題:石炭の燃焼でできるCO2と空気の量
さきほどの例題の石炭(2,000kg/h)が、重さで70%の炭素をふくむとします(水素は考えない)。
| 求めるもの | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 燃える炭素 | 2,000×0.70 | 1,400kg/h |
| CO2 | 1,400×44÷12 | 約5,133kg/h(約5.1t/h) |
| 理論酸素量 | 1,400×22.4÷12 | 約2,613m³N/h |
| 理論空気量 | 2,613÷0.21 | 約12,444m³N/h |
| 実際の空気量(空気比1.2) | 12,444×1.2 | 約14,933m³N/h |

火力発電の熱効率・燃焼の計算ツール
発電端出力・燃料消費量・発熱量などを入れてください。熱効率と、CO2・空気の量をまとめて計算します。最初は記事の例題の数字が入っています。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。CO2と空気の量は、燃料の炭素と水素がすべて燃えるとして計算しています(硫黄や燃料中の酸素は考えていません)。
熱効率・燃焼計算のよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| B×Hのまま出力とくらべる | kJ/hは3600で割ってkWにそろえる |
| 送電端熱効率で分母も小さくする | 分母(投入熱量)は同じ。分子だけ(1−L)倍 |
| 出力をMWのまま式に入れる | kWにそろえる(1MW=1,000kW) |
| 炭素1kgからCO2も1kg | CO2は44÷12≒3.67倍の重さになる |
| 酸素の量を必要な空気の量とする | 空気中の酸素は21%。0.21で割る |

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よくある質問
- 発電端熱効率 η=3600P÷(B×H)
- 送電端熱効率=η×(1−所内率)。分母は変えない
- 1kWh=3600kJ。kJ/hは3600で割ってkWに
- 燃料消費量は B=3600P÷(H×η)で逆算
- 炭素12kg→CO2 44kg。酸素÷0.21で理論空気量

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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