理論科目の解説

【電験三種・理論】ジュール熱とは?|Q=I²Rtで電熱線の発熱を計算する

冬の暖房、その「熱」の正体がジュール熱です

寒い冬、電気ストーブの前に手をかざすと、じんわり温かくなりますよね🔥

「電気が熱に変わるって、どういうこと?」「なんで電線は熱くなるの?」って疑問に思ったことはありませんか?

実は、電気が流れると必ず熱が発生します。この現象をジュール熱(ジュールねつ)といいます。

身近な例で言うと、こんな感じです👇

🔥 ジュール熱、実は身の回りにたくさん!

  • 電気ストーブ:ニクロム線が真っ赤に光って、部屋を暖める🔥
  • 電気ケトル:電熱線でお湯がグツグツ沸く💧
  • トースター:食パンがこんがり焼ける🍞
  • ドライヤー:温風が出て、髪が乾く💨
  • スマホの充電器:触るとほんのり温かい📱

これ、全部ジュール熱なんです!電気が流れることで、電気エネルギーが熱エネルギーに変換されているんですね。

この記事では、ジュール熱の原理を「手をこすり合わせる摩擦熱」のような身近な例で解説し、公式Q=I²Rtの使い方、電気ストーブの仕組み、熱効率の考え方まで、初心者の方でも完全に理解できるよう丁寧に説明します!

ジュール熱とは?|電気の「摩擦熱」です

手をこすると熱くなる、あれと同じ原理!

ジュール熱を一言で表すなら、「電気の摩擦熱」です。

寒い日に手をこすり合わせると温かくなりますよね✋ これは、手と手がこすれる摩擦で熱が発生するからです。

電気の世界でも同じことが起こっています!

⚡ 電線の中で起こっていること

電線の中では、電子が高速で移動しています(これが電流)。

電子は、電線の中にある原子にぶつかりながら進んでいきます。

この「ぶつかる衝突」が摩擦となり、が発生するんです!

もっとわかりやすく例えると、満員電車の中を走り抜ける人みたいなイメージです🚇

  • 満員の車内(電線の中)
  • 走り抜けようとする人(電子)
  • 立っている乗客(原子)
  • 人にぶつかりながら進む → 熱が発生!

電子がたくさん原子にぶつかるほど、たくさん熱が出るわけです。

抵抗が大きいほど、ぶつかる回数が増える

電線には抵抗(R)という値があります。これは「電気の流れにくさ」を表します。

抵抗が大きいほど、電子が原子にぶつかる回数が増えるので、発生する熱も多くなります。

  • 細い電線:抵抗が大きい → ぶつかりやすい → 熱がたくさん出る🔥
  • 太い電線:抵抗が小さい → スムーズに流れる → 熱はあまり出ない💨

電気ストーブの電熱線(ニクロム線)は、わざと抵抗の大きい材料を使っています。そうすることで、たくさん熱を発生させて暖房に使っているんですね。

電流が大きいと、ぶつかる衝撃も大きい

電流(I)が大きいということは、たくさんの電子が一度に流れるということです。

たくさんの電子がぶつかるほど、発生する熱も多くなります。しかも、電流の影響は2乗で効いてくるので、ものすごく大きいんです!(これが後で出てくるI²の意味です)

時間が長いほど、熱が蓄積される

電気を流す時間(t)が長ければ長いほど、熱がどんどん蓄積されていきます。

電気ストーブを1分つけるより、10分つけた方が、部屋全体が暖まりますよね。これは、時間とともに熱が積み重なっているからです。

ジュール熱の公式:Q=I²Rt

公式を覚える前に、意味を理解しよう

ジュール熱の公式は、とてもシンプルです。

🔥 ジュール熱の公式

Q = I² × R × t

熱量[J] = 電流²[A²] × 抵抗[Ω] × 時間[s]

それぞれの記号の意味を確認しましょう。

  • Q:発生する熱量(ジュール[J])
  • I:電流(アンペア[A])
  • R:抵抗(オーム[Ω])
  • t:時間(秒[s])

この公式、実は先ほどの「原理」をそのまま数式にしただけなんです!

なぜ「I²(アイの2乗)」なの?

ここが一番のポイントです!電流は2乗で効いてきます。

つまり、電流が2倍になると、熱は4倍になるんです!

⚠️ 電流の影響は超大きい!

  • 電流が2倍になる → 熱は4倍!(2² = 4)
  • 電流が3倍になる → 熱は9倍!(3² = 9)
  • 電流が5倍になる → 熱は25倍!(5² = 25)

だから、電気製品のコードは「細いコードに大電流を流さない」ように設計されています。もし細いコードに大電流を流すと、発熱しすぎて火災の原因になってしまうからです🔥

実際に計算してみよう!

では、実際にジュール熱を計算してみましょう。

📝 例題:電熱線の発熱量を計算

条件:電流I=5A、抵抗R=10Ω、時間t=20秒

ステップ①:I²を計算する

I² = 5² = 25

ステップ②:R×tを計算する

R × t = 10Ω × 20s = 200

ステップ③:全部かける

Q = I² × R × t = 25 × 200 = 5000J

答え:5000J(ジュール) = 5kJ(キロジュール)

5000Jというのは、約1.2kcal(カロリー)に相当します。水1リットルを約1.2℃温められる熱量です💧

別の形の公式:Q=VIt

実は、ジュール熱の公式にはもう一つの形があります。

🔥 もう一つのジュール熱の公式

Q = V × I × t

熱量[J] = 電圧[V] × 電流[A] × 時間[s]

これは、オームの法則(V=IR)を使って変形したものです。Q=I²RtV=IRを代入すると、Q=VItになります。

問題によって使い分けましょう!

  • IとRがわかる時 → Q=I²Rt を使う
  • VとIがわかる時 → Q=VIt を使う

電気ストーブの仕組み|ジュール熱の王様

なぜニクロム線は赤く光るのか?

電気ストーブの電熱線(ニクロム線)は、電気を流すと真っ赤に光って、強烈な熱を放射します🔥

これは、ニクロム線が抵抗の大きな材料だからです。

🔥 電気ストーブが暖まる流れ

  • ステップ①:コンセントから電流が流れる⚡
  • ステップ②:ニクロム線(高抵抗)を通る
  • ステップ③:電子が原子にたくさんぶつかる → ジュール熱発生🔥
  • ステップ④:温度が上がり、真っ赤に光る(赤熱)
  • ステップ⑤:熱を周囲に放射する(輻射熱)

ニクロム線の温度は、なんと約800℃〜1000℃にもなります!

電気ストーブは熱効率100%!

電気ストーブのすごいところは、熱効率が100%ということです。

投入した電気エネルギーが、すべて熱になるんです!無駄がありません。

💡 熱効率とは?

熱効率[%] = (有効に使われた熱 ÷ 投入した電気エネルギー) × 100

電気ストーブは100%、つまり完璧!

他の機器と比較してみましょう。

機器 熱効率 備考
電気ストーブ 100% すべて熱に変換!
電気モーター 約80% 20%は熱で損失
白熱電球 約5% 95%が熱で無駄!
LED電球 約40% 白熱電球より効率的

白熱電球は、95%が熱になって無駄になってしまいます😢 これは「ジュール熱が悪者になっている例」です。

良いジュール熱と悪いジュール熱

ジュール熱は、目的によって善悪が変わるんです。

✅ 良いジュール熱(目的が熱を作ること)

  • 電気ストーブ:暖房が目的 → ジュール熱は大歓迎!🔥
  • 電気ケトル:お湯を沸かすのが目的 → ジュール熱は必要!💧
  • トースター:パンを焼くのが目的 → ジュール熱がないと困る!🍞

❌ 悪いジュール熱(熱が出ると損失・故障の原因)

  • 送電線:電気を運ぶのが目的 → ジュール熱は損失!⚡
  • パソコンのCPU:計算するのが目的 → ジュール熱で故障する!💻
  • 電気モーター:回転するのが目的 → ジュール熱は無駄!⚙️

送電線では、ジュール熱で電力が失われるのが問題です。これを減らすために、電力会社は高電圧・低電流で送電しています(I²Rtなので、電流を減らせば損失が激減!)。

電気ケトルの計算問題に挑戦!

実際の試験問題を解いてみよう

電験三種の試験では、「水を○℃まで温めるのに何秒かかるか?」という問題がよく出ます。

実際に解いてみましょう!

📝 例題:電気ケトルで水を沸かす

問題:1200Wの電気ケトルで、水1リットル(1kg)を20℃から100℃まで温めるには何秒かかるか?

(水の比熱:4.2kJ/(kg・℃)、熱効率100%とする)

解き方を順番に見ていきましょう!

ステップ①:必要な熱量を計算

まず、水を温めるのに必要な熱量を計算します。

💧 水を温めるのに必要な熱量の公式

Q = m × c × ΔT

熱量 = 質量 × 比熱 × 温度変化

💡 計算手順

m = 1kg(水1リットル)

c = 4.2kJ/(kg・℃)(水の比熱)

ΔT = 100℃ - 20℃ = 80℃(温度変化)

Q = 1kg × 4.2kJ/(kg・℃) × 80℃

Q = 336kJ = 336,000J

ステップ②:時間を計算

次に、電力と熱量の関係から時間を求めます。

ジュール熱の公式Q=VItを変形すると、Q=Pt(P=電力)になります。

これを時間について解くと、t = Q / Pです。

💡 計算手順

Q = 336,000J

P = 1200W

t = Q / P = 336,000J / 1200W

t = 280秒 = 4分40秒

答え:約4分40秒で沸騰します💧

実際の電気ケトルも、だいたいこのくらいの時間でお湯が沸きますよね!計算と現実が一致して、面白いですね😊

試験でよく出る問題パターン

電験三種の試験では、ジュール熱に関して以下のパターンがよく出題されます。

🎯 頻出問題パターン

  • パターンA:I、R、tが与えられて、Qを計算 → Q=I²Rt
  • パターンB:Q、P(またはI、R)が与えられて、tを計算 → t=Q/P
  • パターンC:2本の電線のジュール熱を比較 → 電流が大きいほど熱も大きい
  • パターンD:熱効率を計算 → 有効な熱 ÷ 投入エネルギー × 100

まとめ:ジュール熱を完全マスター!

この記事では、ジュール熱の原理、公式Q=I²Rt、電気ストーブの仕組み、熱効率について解説しました。

📌 この記事のポイント

  • ジュール熱:電気が流れると原子と電子がぶつかって発生する熱 = 電気の摩擦熱
  • 公式:Q=I²Rt(電流は2乗で効く!影響が超大きい)
  • 別の公式:Q=VIt(電圧と電流がわかる時はこっち)
  • 電気ストーブ:ジュール熱を利用した暖房器具、熱効率100%
  • 良いジュール熱:暖房や調理など、目的が熱を作ること
  • 悪いジュール熱:送電線やモーターなど、熱が損失・故障の原因になる

「手をこすると温かくなる」という身近な体験と結びつけて覚えれば、ジュール熱は忘れません!試験でも自信を持って解けるようになります💪

ジュール熱をマスターしたら、次は電力と電力量の違いオームの法則の記事も読んで、理論科目を完全攻略しましょう!

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