📌 この記事でわかること
- 品質保証の2つのアプローチの違い
- 「結果の保証」とは何か?(検査による保証)
- 「プロセスによる保証」とは何か?(工程管理による保証)
- なぜ「予防」が重要なのか?
- 現代の品質保証はどちらを重視するか?
「品質を保証する」と聞いて、あなたはどんな方法を思い浮かべますか?
「検査して、不良品を取り除く」
「製造工程をしっかり管理して、そもそも不良品を作らない」
実は、この2つはまったく異なるアプローチなんです。
💭「検査を厳しくすれば、品質は良くなるんじゃないの?」
💭「工程管理って、具体的に何をすること?」
💭「結局、どっちが大事なの?」
今回は、品質保証の2つのアプローチ「結果の保証」と「プロセスによる保証」の違いを、身近な例を使いながら解説していきます。
目次
結論:2つのアプローチを一言で言うと?
まずは結論から。
結果の保証
= できあがった製品を検査して、不良品を取り除く
プロセスによる保証
= 製造工程を管理して、そもそも不良品を作らない
イメージしやすいように、「料理」で例えてみましょう。
🍳 料理で理解する「2つのアプローチ」
【結果の保証】できあがった料理をチェック
「味見して、まずかったら作り直す」
「見た目が悪かったら、盛り付け直す」
「焦げていたら、その部分を取り除く」
→ 完成品をチェックして、ダメなものを排除する
【プロセスによる保証】調理工程を管理
「レシピ通りの分量を計る」
「火加減を適切に調整する」
「調理時間をタイマーで管理する」
→ 作り方を管理して、そもそも失敗しないようにする
どちらも「おいしい料理を出す」という目的は同じですが、アプローチがまったく違うことがわかりますよね。
「結果の保証」とは?
まずは「結果の保証」から詳しく見ていきましょう。
📐 結果の保証の定義
完成した製品を検査して、規格に合格したものだけを出荷することで品質を保証する方法。
不良品は「検出して取り除く」というアプローチ。
キーワードは「検査」です。
🔍 結果の保証の具体例
📦 出荷前の全数検査
すべての製品を検査して、不良品を取り除く
📦 抜取検査
ロットからサンプルを抜き取って検査し、ロット全体の合否を判定
📦 受入検査
購入した部品・材料を検査して、不良品を受け入れない
📦 最終検査
完成品が規格を満たしているかを確認する
⚠️ 結果の保証の限界
「検査で不良品を取り除けばいいじゃん」と思うかもしれません。
でも、この方法には大きな限界があります。
❌ 限界①:コストがかかる
不良品を作ってから取り除くのは、材料費・人件費・時間の無駄
❌ 限界②:100%の検出は不可能
検査にも見落としがある。全数検査でも不良品が流出するリスクあり
❌ 限界③:破壊検査はできない
「壊して確認する」検査は、全数検査できない(例:強度試験)
❌ 限界④:根本原因が解決しない
不良品を取り除いても、「なぜ不良品ができたか」は解決しない
つまり、「検査だけでは品質は良くならない」のです。

「プロセスによる保証」とは?
次に「プロセスによる保証」を見ていきましょう。
📐 プロセスによる保証の定義
製造工程(プロセス)を管理して、そもそも不良品を作らないことで品質を保証する方法。
不良品は「作らない・発生させない」というアプローチ。
キーワードは「工程管理」と「予防」です。
🏭 プロセスによる保証の具体例
⚙️ 作業標準書の整備
誰がやっても同じ品質になるように、作業手順を標準化
⚙️ 管理図による工程監視
工程の状態を常に監視し、異常があればすぐに対処
⚙️ 4M管理
Man(人)・Machine(機械)・Material(材料)・Method(方法)を管理
⚙️ 設備の予防保全
故障する前にメンテナンスして、不良発生を防ぐ
⚙️ 作業者の教育訓練
スキルアップにより、ヒューマンエラーを減らす
✅ プロセスによる保証のメリット
✓ メリット①:コスト削減
不良品を作らないので、廃棄・手直しのコストがかからない
✓ メリット②:安定した品質
工程が安定していれば、常に同じ品質の製品ができる
✓ メリット③:根本原因の解決
不良の原因そのものを取り除くので、再発しない
✓ メリット④:破壊検査が不要
工程が管理されていれば、全数検査しなくても品質を保証できる

2つのアプローチを比較
ここまでの内容を表で整理してみましょう。
📊 結果の保証 vs プロセスによる保証
| 比較項目 | 結果の保証 | プロセスによる保証 |
|---|---|---|
| 考え方 | 不良品を検出して取り除く | 不良品を作らない |
| 主な手段 | 検査(全数検査、抜取検査) | 工程管理(標準化、4M管理) |
| タイミング | 製品完成後 | 製造工程中 |
| コスト | 不良品の廃棄・手直しコストがかかる | 予防コストはかかるが、トータルで安い |
| 根本解決 | できない(対症療法) | できる(原因を取り除く) |
| 例え | 病気になってから薬を飲む | 病気にならないよう予防する |
💊 医療で例えると?
2つのアプローチの違いは、医療に例えるとわかりやすいです。
【結果の保証】= 治療
病気になってから病院に行き、薬を飲んで治す。
→ 問題が起きてから対処する「対症療法」
【プロセスによる保証】= 予防
運動、食事、睡眠に気をつけて、そもそも病気にならない。
→ 問題が起きる前に対処する「予防医療」
病気になってから治すより、病気にならないように予防する方が賢いですよね。
品質管理もまったく同じ考え方です。

なぜ「予防」が重要なのか?
現代の品質管理では、「プロセスによる保証」が重視されています。
その理由は、「予防」の考え方にあります。
📐 予防とは?
問題が発生する前に、その原因を取り除いたり、発生しにくくしたりする活動。
「起きてから対処」ではなく「起きないようにする」という考え方。
💰 予防がコスト削減につながる理由
「予防にお金をかけるのはもったいない」と思うかもしれません。
でも実は、予防にお金をかけた方がトータルコストは安くなるのです。
📊 品質コストの法則
不良品が見つかるタイミングが遅いほど、対処コストは10倍ずつ増えると言われています。
| 設計段階で発見 | 1 |
| 製造段階で発見 | 10 |
| 出荷後に発見 | 100〜1000 |
つまり、できるだけ早い段階で問題を防ぐことが、最も効率的なのです。
結局、どちらが大事?
「プロセスによる保証が大事なら、検査はいらないの?」
いいえ、そうではありません。
両方必要です。ただし、重点の置き方が違うのです。
⚖️ 理想的なバランス
現代の品質保証の考え方
主軸:プロセスによる保証(工程管理で不良を作らない)
補助:結果の保証(検査で最終確認・万が一のセーフティネット)
→ 「検査に頼らない品質保証」を目指しつつ、検査も適切に活用する
検査は「保険」のようなものです。
保険に頼らなくても大丈夫なように健康管理をしつつ、万が一のために保険にも入っておく。これが理想的な姿です。

キーワードのおさらい
最後に、この記事で登場したキーワードを整理しておきましょう。
| キーワード | 意味 |
|---|---|
| 結果の保証 | 完成した製品を検査して、不良品を取り除くことで品質を保証する方法 |
| プロセスによる保証 | 製造工程を管理して、そもそも不良品を作らないことで品質を保証する方法 |
| 検査 | 製品が規格に適合しているかを確認し、合否を判定する活動 |
| 工程管理 | 製造プロセスの状態を監視・維持・改善して、品質を安定させる活動 |
| 予防 | 問題が発生する前に、その原因を取り除いたり発生しにくくしたりする活動 |
まとめ
📌 この記事のポイント
- 品質保証には「結果の保証」と「プロセスによる保証」の2つのアプローチがある
- 結果の保証は検査で不良品を取り除く方法(対症療法)
- プロセスによる保証は工程管理で不良品を作らない方法(予防)
- 現代の品質管理では「予防」を重視する
- 問題を早期に防ぐほどコストは安くなる
- 両方必要だが、プロセスによる保証を主軸に置く
「検査で品質を保証する」という考え方から、「工程管理で品質を作り込む」という考え方へ。
この発想の転換が、現代の品質管理の基本です。
次の記事では、「保証」と「補償」の違いについて解説します。似ている言葉ですが、品質管理では明確に区別されますので、しっかり理解しておきましょう。
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