実験計画法 統計学・QC検定

繰返しのある二元配置実験とは?

はじめに

これまで「繰返しのない二元配置実験」で、2つの因子の主効果と交互作用を一度ずつの試行で見てきました。
しかし、本格的に精度の高い結論を出したいなら、
「繰返しのある二元配置実験」が必要になります。

この記事では、繰返しのある二元配置実験とは何か、その重要性とやり方について、やさしく解説します。

繰返しのある二元配置実験とは?🔍

定義

繰返しのある二元配置実験とは、各組み合わせについて複数回試行し、誤差を推定しながら効果を評価する二元配置実験。

つまり、
「1回だけじゃなく、同じ条件で2回、3回と繰返して、ばらつきを把握する」
というスタイルの実験です。

カレー作りで考える🍛

あなたが、
「肉の種類」と「スパイス量」という2つの因子を調べたいとします。

因子 水準1 水準2
肉の種類 牛肉🐮 鶏肉🐔
スパイス量 少なめ 多め

これを、各条件ごとに3回ずつ試して結果を集めるイメージです。

肉の種類 スパイス量 試行1 試行2 試行3
牛肉🐮 少なめ 80点 81点 79点
牛肉🐮 多め 88点 87点 89点
鶏肉🐔 少なめ 84点 83点 85点
鶏肉🐔 多め 83点 82点 84点

繰返しを入れるメリット🎯

項目 内容
誤差の大きさを測れる ばらつきが数値化できる
結論に自信が持てる 本当に意味のある効果か確かめられる
再現性が高まる 他の人が実験しても同じ傾向が出る

つまり、
繰返しを入れることで、
偶然のばらつきに惑わされず、正しい因果関係を見抜けるようになります。

たとえ話:カレー品評会🍛

カレー店が「新メニュー」を決めるために、
4つのパターン(牛・鶏×少なめ・多めスパイス)を作りました。

もし一度しか作らなければ、
たまたまうまくいったパターンが優勝してしまうかもしれません。

でも、同じレシピで3回ずつ作って平均を取れば、

  • 本当においしいレシピ
  • たまたまうまくいっただけのレシピ

を区別できるようになります。

これが繰返しの力です。

繰返しを加えることでできること✅

項目 説明
主効果と交互作用の検定 効果が偶然か、本当に意味があるかを統計的に判断できる
分散分析ができる 誤差の分散と因子の効果の分散を比較できる
実験精度を数値化できる 再現性や信頼性を計算で示せる

ここから先は、「分散分析」という手法を使って、
データをしっかりと解析していくステップにつながります。

繰返しの設計ポイント🛠️

ポイント 説明
同じ条件でできるだけ条件を揃える 材料、調理方法、環境をできるだけ一定に
無作為な順番で作る 順番の影響を防ぐため
最低2回、理想は3回以上 ばらつきを信頼できるレベルで測るため

繰返しは、多すぎてもコストがかかります。
目安は「最低でも2回、できれば3回以上」と考えましょう。

まとめ📝

繰返しのある二元配置実験とは、
各条件を複数回試して、ばらつきを測りながら主効果・交互作用を評価する実験方法です。

  • 誤差を推定できる
  • 結論の信頼性が上がる
  • 科学的な根拠を持った判断ができる

本格的な実験設計では、繰返しの有無がデータの信頼度を大きく左右します!

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次の記事では、
「交互作用を無視した場合の解析とは?どんなとき無視できるのか?」
について詳しく解説します。

ここを理解すると、実験の設計と解析をより柔軟に考えられるようになります!
ぜひ続けて読んでください!

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