- 汽力、ガスタービン、コンバインドサイクル...名前が似ててごちゃごちゃする...
- どれが一番効率がいいの?熱効率の違いがわからない...
- 試験で「この発電方式の特徴は?」と聞かれても答えられない...
結論から言うと、火力発電の3つの方式は「熱の使い方」で覚えるだけです。
なぜなら、「蒸気で回すか」「ガスで回すか」「両方使うか」という単純な違いだから。この3つさえ押さえれば、電験三種の選択肢で迷うことはありません。
この記事では、電験三種を一発合格した筆者が、3つの発電方式を「身近なもの」に例えながら図解し、熱効率の計算まで完全解説します。
- 3つの火力発電の仕組みと違い(初心者でもイメージできる比喩付き)
- 熱効率の比較(汽力40%、ガスタービン30%、コンバインド60%)
- 試験で問われるポイント(起動時間、用途、メリット・デメリット)
目次
🔥 火力発電とは?|熱エネルギーを電気に変える
火力発電とは、燃料(石炭・石油・天然ガス)を燃やして熱を作り、その熱でタービンを回して発電する方式です。
イメージしやすい例で言うと、「やかんでお湯を沸かして、その蒸気で風車を回す」という感じですね。火力発電所は、この仕組みを超巨大にしたものです。
電力科目ではほぼ毎年出題されます。特に「熱効率の計算」と「3つの方式の特徴比較」は選択肢で頻出です。
つまり、この記事の内容を押さえるだけで、電力科目で確実に5〜10点は獲得できるということです。
⚡ 火力発電の3つの方式|一覧で比較
まずは、3つの方式を一目で比較できる表で見てみましょう。
| 発電方式 | 熱効率 | 起動時間 | 用途 | 覚え方 |
|---|---|---|---|---|
| 汽力発電 | 約40% | 数時間 | ベース電源 | 蒸気で回す(最も一般的) |
| ガスタービン発電 | 約30% | 10分程度 | ピーク電源 | 燃焼ガスで回す(起動が速い) |
| コンバインドサイクル | 約60% | 30分程度 | ミドル電源 | ガス+蒸気(最高効率) |
では、それぞれの発電方式を詳しく見ていきましょう!まずは全体像を図で確認します。

1️⃣ 汽力発電|蒸気の力で回す王道方式
汽力発電は、ボイラーで水を沸騰させて蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電する方式です。
イメージは「圧力鍋でお湯を沸かして、蒸気で風車を回す」という感じ。最も古くからある発電方式で、日本の火力発電の大半がこれです。
🔄 汽力発電の流れ
- ボイラー: 燃料を燃やして水を蒸気に変える(500〜600℃)
- 蒸気タービン: 高温高圧の蒸気がタービンを回転させる
- 発電機: タービンの回転を電気に変換
- 復水器: 使った蒸気を冷やして水に戻す(循環)
この「水→蒸気→水」のサイクルを繰り返すことで、連続して発電できるんですね。
📌 汽力発電の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱効率 | 約40%(投入した熱の4割が電気になる) |
| 起動時間 | 数時間(水を沸騰させるのに時間がかかる) |
| 使用燃料 | 石炭・石油・LNG(天然ガス) |
| メリット | 大規模発電が可能、安定した出力 |
| デメリット | 起動が遅い、CO₂排出量が多い |
| 用途 | ベース電源(24時間連続運転) |
「汽力発電は熱効率約40%」「ベース電源として使われる」という特徴が選択肢で頻出。起動に時間がかかることも覚えておきましょう!
汽力発電 = 圧力鍋のイメージ
圧力鍋でお湯を沸かすと、蒸気がシューッと出ますよね。あの蒸気の勢いで風車を回せば発電できる!ただし、お湯を沸かすのに時間がかかるのが難点。
🧮 熱効率の計算
火力発電で最も出題される熱効率の計算公式がこれです。
η = 電気出力 ÷ 投入熱量 × 100(%)
例えば、100の熱を投入して40の電気が得られたら、熱効率は40%です。残りの60は排熱として捨てられます。
次に、汽力発電とは全く違うアプローチのガスタービン発電を見ていきましょう。

2️⃣ ガスタービン発電|燃焼ガスで直接回す高速型
ガスタービン発電は、燃料を空気と一緒に燃やして、その高温高圧の燃焼ガスでタービンを直接回す方式です。
イメージは「ジェットエンジンと同じ仕組み」。飛行機のエンジンを地面に固定して、タービンの回転で発電機を回すという感じですね。
🔄 ガスタービン発電の流れ
- 圧縮機: 空気を圧縮して高圧にする
- 燃焼器: 燃料を燃やして高温ガスを作る(1300〜1500℃)
- ガスタービン: 燃焼ガスがタービンを高速回転させる
- 発電機: タービンの回転を電気に変換
汽力発電と違って「水を沸かす」というステップがないので、起動が超速いんです!
📌 ガスタービン発電の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱効率 | 約30%(汽力より低い) |
| 起動時間 | 10分程度(超速い!🚀) |
| 使用燃料 | 主にLNG(天然ガス)、軽油 |
| メリット | 起動が速い、設備がコンパクト |
| デメリット | 熱効率が低い(排熱を捨てる) |
| 用途 | ピーク電源(需要が急増した時だけ稼働) |
「ガスタービンは起動時間が短い」「ピーク電源として使われる」という特徴が選択肢で頻出。熱効率30%という数字も覚えておきましょう!
ガスタービン = ジェットエンジンのイメージ
飛行機のエンジンと同じ原理。空気を圧縮→燃料を燃やす→ガスが噴射→タービンが回る。水を沸かす必要がないので、スイッチオンですぐ発電!ただし効率は悪い。
- 汽力: 水を沸かして「蒸気」でタービンを回す → 起動遅い、効率良い(40%)
- ガスタービン: 「燃焼ガス」で直接タービンを回す → 起動速い、効率悪い(30%)
「起動が遅いけど効率が良い汽力」と「起動が速いけど効率が悪いガスタービン」。この2つの良いとこ取りをしたのが、次に紹介するコンバインドサイクル発電です!

3️⃣ コンバインドサイクル発電|排熱を再利用する最強方式
コンバインドサイクル発電は、ガスタービンで発電した後、その排熱で蒸気を作って再び発電する「二段階発電」方式です。
イメージは「焼き肉のついでにお湯を沸かす」という感じ。ガスタービンで捨てていた排熱(500〜600℃)を無駄にせず、蒸気タービンでもう一度発電するんです。
🔄 コンバインドサイクルの流れ
【第1段階: ガスタービン発電】
① 空気圧縮 → ② 燃料燃焼 → ③ ガスタービン回転 → ④ 発電機①で発電
【第2段階: 蒸気タービン発電】
⑤ ガスタービンの排熱(500〜600℃)で水を蒸気に
⑥ 蒸気でタービン回転 → ⑦ 発電機②で発電
⑧ 蒸気を冷やして水に戻す
つまり、「ガスタービン」と「蒸気タービン」の2つで発電するので、1回の燃料投入で2倍発電できる!
📌 コンバインドサイクルの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱効率 | 約60%(火力発電で最高効率!👑) |
| 起動時間 | 30分程度(汽力より速い) |
| 使用燃料 | 主にLNG(天然ガス) |
| メリット | 超高効率(排熱を無駄にしない)、CO₂排出量が少ない |
| デメリット | 設備が複雑(ガス+蒸気タービンの両方が必要) |
| 用途 | ミドル電源(需要の変動に柔軟に対応) |
ガスタービン単独: 100の熱 → 30の電気 + 70の排熱(捨てる)
↓ 排熱を再利用!
コンバインド: 100の熱 → 30の電気(ガス) + 30の電気(蒸気) = 合計60の電気!
つまり、捨てていた排熱を使って、もう一度発電するから効率が2倍になるんです!
「コンバインドサイクルは熱効率約60%で最も高い」「排熱回収ボイラーで蒸気を作る」という特徴が選択肢で超頻出!「ガスタービン+蒸気タービン」という構成も覚えておきましょう。
コンバインドサイクル = 焼き肉でお湯を沸かすイメージ
焼き肉を焼いた後、まだ熱いコンロを使ってやかんでお湯を沸かす。1回の火で「焼き肉」と「お湯」の2つができる!排熱を無駄にしない究極のエコ発電。
【電験三種】効率的な勉強法|科目別の攻略順序 →
それでは、3つの発電方式を一覧表で比較してみましょう。

📊 3つの火力発電を一覧比較|試験直前チェックリスト
3つの発電方式の違いを、試験直前に見直せる一覧表でまとめました。
| 発電方式 | 熱効率 | 起動時間 | タービンを回すもの | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 汽力発電 | 40% | 数時間 | 蒸気 | ベース電源 | 最も一般的 |
| ガスタービン | 30% | 10分程度 | 燃焼ガス | ピーク電源 | 起動が超速い |
| コンバインド | 60% | 30分程度 | ガス+蒸気 | ミドル電源 | 最高効率 |
- 熱効率の順番: コンバインド(60%) > 汽力(40%) > ガスタービン(30%)
- 起動時間の順番: ガスタービン(10分) < コンバインド(30分) < 汽力(数時間)
- 用途の違い: ベース(汽力) / ピーク(ガスタービン) / ミドル(コンバインド)
🎯 試験で出る!選択肢パターン
実際の試験では、こんな感じで選択肢が出ます。練習してみましょう!
問: 火力発電の中で最も熱効率が高い方式はどれか?
(1) 汽力発電
(2) ガスタービン発電
(3) コンバインドサイクル発電
(4) ディーゼル発電
理由: コンバインドサイクルは熱効率約60%で、火力発電の中で最高!排熱を再利用するから効率が2倍になるんです。
問: 起動時間が最も短く、電力需要のピーク時に使われる発電方式はどれか?
(1) 汽力発電
(2) ガスタービン発電
(3) コンバインドサイクル発電
(4) 原子力発電
理由: ガスタービンは起動時間が約10分と超速い!水を沸かす必要がないので、すぐに発電できます。だからピーク電源として使われるんですね。
🧮 熱効率の計算問題を解いてみよう
最後に、実際の試験レベルの計算問題に挑戦しましょう!
ある火力発電所で、投入熱量が1,000MWのとき、電気出力が400MWであった。この発電所の熱効率は何%か?
💡 解き方
熱効率の公式に数値を代入するだけです!
η = 電気出力 ÷ 投入熱量 × 100(%)
η = 400 ÷ 1,000 × 100
η = 0.4 × 100
η = 40%
答え: 40%(これは汽力発電の典型的な熱効率ですね!)
- 割り算の順番ミス: 「投入熱量 ÷ 電気出力」と逆にしてしまう
- ×100を忘れる: 「0.4」のまま答えてしまう(正しくは「40%」)
- 単位変換ミス: kWとMWを間違える(1 MW = 1,000 kW)
📌 覚え方のコツ|語呂合わせで一発暗記!
最後に、3つの発電方式を一発で覚えられる語呂合わせを紹介します!
「コロ(60)ガス(30)ヨン(40)」
コンバインド(60%) → ガスタービン(30%) → 汽力(ヨン=40%)
- 汽力 = 圧力鍋(蒸気でシュー、時間かかる)
- ガスタービン = ジェット機(すぐ飛べるけど燃費悪い)
- コンバインド = 焼き肉ついでにお湯(排熱再利用で効率倍)
✅ まとめ|火力発電は「熱の使い方」で覚える!
この記事では、電験三種の電力科目で頻出の3つの火力発電を徹底解説しました。
- 汽力発電 → 蒸気で回す。熱効率40%、起動数時間、ベース電源
- ガスタービン発電 → 燃焼ガスで回す。熱効率30%、起動10分、ピーク電源
- コンバインドサイクル発電 → ガス+蒸気で2回発電。熱効率60%(最高効率!)、ミドル電源
- 熱効率の公式: η = 電気出力 ÷ 投入熱量 × 100(%)
- 覚え方: 効率は「コロ(60)ガス(30)ヨン(40)」
火力発電は電力科目で確実に得点できる分野です。3つの方式の違いと熱効率を覚えれば、ほぼ確実に5〜10点は獲得できます。
次は原子力発電や送電線の勉強に進みましょう。火力発電の基礎がしっかりしていれば、他の発電方式も理解しやすくなりますよ!📘
【電験三種とは】資格の全体像と合格までのロードマップ →
あなたの合格を心から応援しています!💪🔥