電力科目の解説

【電験三種・電力】火力発電所の主要機器|ボイラー・タービン・復水器・給水ポンプを完全図解

⚠️ こんな悩みありませんか?
  • ボイラー、タービン、復水器...機器の名前は知ってるけど役割がわからない...
  • 「水→蒸気→水」のサイクルってどう回ってるの?
  • 試験で「この機器の役割は?」と聞かれても答えられない...

結論から言うと、火力発電所の主要機器は「水と蒸気を循環させる4つの装置」だけです。

なぜなら、火力発電は「水を蒸気に→蒸気でタービンを回す→蒸気を水に戻す→また水を蒸気に」という無限ループだから。この4つの機器の役割さえ押さえれば、火力発電所の仕組みが一瞬で理解できます。

この記事では、電験三種を一発合格した筆者が、4つの機器を「身近なもの」に例えながら図解し、試験で狙われるポイントまで完全解説します。

✅ この記事でわかること
  • 4つの主要機器の役割と仕組み(初心者でもイメージできる比喩付き)
  • 水と蒸気の循環サイクル(どこでどう変化するか)
  • 試験で問われるポイント(温度・圧力・効率)

🔥 火力発電所の主要機器とは?|4つで1セット

火力発電所の主要機器とは、水と蒸気を循環させて発電するための4つの装置のことです。

イメージしやすい例で言うと、「お風呂の循環システム」みたいなもの。お風呂も「水を温める→お湯を使う→冷めた水を集める→また温める」という循環ですよね。火力発電所も同じように、水と蒸気をグルグル循環させているんです。

📊 電験三種での出題頻度
電力科目ではほぼ毎年出題されます。特に「各機器の役割」と「温度・圧力の数値」は選択肢で頻出です。

つまり、この記事の内容を押さえるだけで、電力科目で確実に3〜5点は獲得できるということです。

⚙️ 4つの主要機器|一覧で比較

まずは、4つの機器を一目で比較できる表で見てみましょう。

機器名 役割 入口 出口 覚え方
ボイラー 水を蒸気に変える 水(50℃) 蒸気(600℃) やかんでお湯を沸かす
タービン 蒸気で回転→発電 蒸気(600℃) 蒸気(60℃) 風車を回す
復水器 蒸気を水に戻す 蒸気(60℃) 水(40℃) 冷蔵庫で冷やす
給水ポンプ 水を高圧でボイラーへ 水(40℃、1気圧) 水(50℃、200気圧) ポンプで水を押し上げる

では、それぞれの機器を詳しく見ていきましょう!まずは全体像を図で確認します。

1️⃣ ボイラー|水を高温高圧の蒸気に変える

ボイラーは、燃料を燃やして水を500〜600℃の高温高圧蒸気に変える装置です。

イメージは「超巨大な圧力鍋」。やかんでお湯を沸かすのと同じ原理ですが、火力発電所のボイラーは建物サイズで、ものすごい圧力(150〜200気圧)をかけて水を蒸気にするんです。

🔄 ボイラーの仕組み

📐 ボイラーの3ステップ
  1. 燃料投入: 石炭・石油・LNGを燃やす(火力最大!🔥)
  2. 水管加熱: 水が通る管(水管)を炎で加熱する
  3. 蒸気生成: 水が沸騰して高温高圧の蒸気になる

ボイラーの中には「水管」と呼ばれる細い管が何千本も張り巡らされていて、その中を水が通りながら加熱されます。まるで「熱交換器の巨大版」ですね。

📌 ボイラーの特徴

項目 内容
入口 水(約50℃、200気圧)
出口 高温高圧蒸気(500〜600℃、150〜200気圧)
主要部品 燃焼室、水管、蒸気ドラム、過熱器
役割 燃料の化学エネルギーを蒸気の熱エネルギーに変換
重要ポイント ボイラー効率が発電所全体の効率を左右する
💡 試験での狙われ方
「ボイラーの蒸気温度は500〜600℃」「蒸気圧力は150〜200気圧」という数値が選択肢で頻出!この2つの数字は必ず覚えておきましょう。
🔍 身近な例で理解しよう

ボイラー = 圧力鍋のイメージ
圧力鍋でお湯を沸かすと、普通の鍋より高い温度(120℃くらい)になりますよね。ボイラーはそれをさらに極限まで進化させて、600℃の超高温蒸気を作る装置!

次に、ボイラーで作った蒸気を使って発電するタービンを見ていきましょう。

2️⃣ タービン|蒸気の力を回転エネルギーに変換

タービンは、ボイラーで作った高温高圧の蒸気を羽根に当てて、回転エネルギーに変える装置です。

イメージは「風車」。風が風車の羽根に当たって回るのと同じように、蒸気がタービンの羽根に当たって回転するんです。その回転で発電機を回して電気を作ります。

🔄 タービンの仕組み

📐 タービンの3段階構造

タービンは「高圧→中圧→低圧」の3段階に分かれています:

①高圧タービン: 600℃の蒸気が最初に当たる。羽根は小さい(圧力が高いから)
②中圧タービン: 圧力が下がった蒸気が当たる。羽根は中くらい
③低圧タービン: 圧力がさらに下がった蒸気が当たる。羽根は大きい(圧力が低いから)

この「圧力が下がるにつれて羽根が大きくなる」という特徴が、試験でよく問われます!

📌 タービンの特徴

項目 内容
入口 高温高圧蒸気(500〜600℃、150〜200気圧)
出口 低温低圧蒸気(50〜60℃、ほぼ真空)
構造 多段式(高圧→中圧→低圧の3段階)
羽根の特徴 圧力が下がるにつれて羽根が大きくなる
回転数 3,000回転/分(60Hz)、3,600回転/分(50Hz)
役割 蒸気の熱エネルギーを回転の運動エネルギーに変換
💡 試験での狙われ方
「タービンは多段式」「圧力が下がるにつれて羽根が大きくなる」という特徴が選択肢で頻出!タービン出口の蒸気が「ほぼ真空」という点も覚えておきましょう。
🔍 身近な例で理解しよう

タービン = 風車のイメージ
風車に強い風を当てると勢いよく回りますよね。タービンも同じで、600℃の超高速蒸気を羽根に当てて、ものすごい速さで回転させます。その回転で発電機を回すんです!

⚠️ なぜ羽根が大きくなるの?

蒸気がタービンを通過すると、どんどん圧力が下がります。圧力が低い=蒸気の密度が低いので、同じ力を得るには大きな羽根が必要なんです。

例えるなら、「強い風(高圧蒸気)なら小さな風車で回るけど、弱い風(低圧蒸気)なら大きな風車じゃないと回らない」という感じです!

次に、タービンで使い終わった蒸気を水に戻す復水器を見ていきましょう。

3️⃣ 復水器|蒸気を冷やして水に戻す

復水器は、タービンで使い終わった蒸気を冷却水で冷やして、水に戻す装置です。

イメージは「冷蔵庫」。熱い蒸気を海水や川の水で冷やして、液体の水に戻します。この水を再びボイラーに送って蒸気にするので、水を無限に循環できるんです。

🔄 復水器の仕組み

📐 復水器の3ステップ
  1. 蒸気流入: タービンから出た蒸気(60℃)が復水器に入る
  2. 冷却: 冷たい海水(15〜25℃)が通る管の周りで蒸気が冷やされる
  3. 水に戻る: 蒸気が液体の水(40℃)に変わって集まる

復水器の中には「冷却管」と呼ばれる細い管が数千本も入っていて、その中を海水が流れています。蒸気がその管の周りを通ると、熱が奪われて水に戻るんです。

📌 復水器の特徴

項目 内容
入口 低温低圧蒸気(50〜60℃、ほぼ真空)
出口 復水(40〜50℃、液体の水)
冷却水 海水または川の水(入口15〜25℃ → 出口30〜35℃)
内部構造 冷却管(数千本)が束になっている
重要な役割 真空を作ってタービン効率をUP!
🏆 復水器の超重要な役割

復水器は「蒸気を水に戻す」だけじゃなく、「真空状態を作る」という超重要な役割があります!

蒸気が水に戻ると体積が約1,700分の1になるので、復水器の中はほぼ真空(0.05気圧)になります。

この真空状態があると、タービンの中で蒸気が「高圧→真空」へ一気に膨張するので、タービンの回転力が大幅にUP!するんです。

つまり、復水器がないと発電効率が激減します。

💡 試験での狙われ方
「復水器は真空状態を作る」「復水器の真空度が高いほどタービン効率UP」という特徴が選択肢で超頻出!「冷却水は海水または川の水」という点も覚えておきましょう。
🔍 身近な例で理解しよう

復水器 = 冷蔵庫のイメージ
熱い蒸気を冷蔵庫に入れたら、冷えて水に戻りますよね。復水器はそれと同じ。海の冷たい水で蒸気を冷やして、液体に戻します。そして、その水をまたボイラーで温めて使うんです!

最後に、水をボイラーに送り返す給水ポンプと、全体の循環を見ていきましょう。

4️⃣ 給水ポンプ|水を高圧でボイラーに送り返す

給水ポンプは、復水器で水に戻った水を、超高圧(200気圧)にしてボイラーに送り返すポンプです。

イメージは「高圧洗浄機のポンプ」。普通のポンプとは違って、ボイラーの中は200気圧もあるので、それ以上の圧力で水を押し込まないと入っていきません。だから超強力なポンプが必要なんです。

📌 給水ポンプの特徴

項目 内容
入口 復水(40℃、ほぼ1気圧)
出口 給水(50℃、200気圧)
圧力上昇 1気圧 → 200気圧(約200倍!)
消費電力 発電量の1〜2%(数MW)
役割 水の循環を維持し、連続発電を可能にする
重要ポイント ポンプが止まると発電停止!
💡 試験での狙われ方
「給水ポンプの消費電力は発電量の1〜2%」「200気圧まで昇圧」という数値が選択肢で頻出!「ポンプが止まると循環が止まる」という点も覚えておきましょう。
🔍 身近な例で理解しよう

給水ポンプ = 高圧洗浄機のポンプのイメージ
高圧洗浄機は、普通の水道水を超高圧にして噴射しますよね。給水ポンプも同じで、普通の水を200気圧(タイヤの約10倍!)まで昇圧して、ボイラーにグイグイ押し込みます!

🔄 4つの機器で作る水→蒸気→水のサイクル

それでは、4つの機器がどうつながって「水→蒸気→水」のサイクルを作っているか、全体像を見てみましょう。

🔄 火力発電所の循環サイクル
  1. 給水ポンプ: 水(40℃、1気圧) → 水(50℃、200気圧) 🔼
  2. ボイラー: 水(50℃、200気圧) → 蒸気(600℃、200気圧) 🔥
  3. タービン: 蒸気(600℃、200気圧) → 蒸気(60℃、真空) ⚡発電!
  4. 復水器: 蒸気(60℃、真空) → 水(40℃、1気圧) ❄️
  5. → また①に戻る 🔄

このサイクルをグルグル回し続けることで、連続して発電できるんです!

⚠️ もしポンプが止まったら?

給水ポンプが止まると、水がボイラーに供給されなくなり、発電が停止します!

だから、火力発電所には必ず予備のポンプが用意されていて、メインのポンプが故障してもすぐに切り替えられるようになっています。

📊 4つの機器を一覧比較|試験直前チェックリスト

4つの機器の違いを、試験直前に見直せる一覧表でまとめました。

機器名 入口温度 出口温度 圧力変化 エネルギー変換
ボイラー 50℃ 600℃ 200気圧→200気圧 燃料→熱
タービン 600℃ 60℃ 200気圧→真空 熱→回転→電気
復水器 60℃ 40℃ 真空→1気圧 蒸気→水
給水ポンプ 40℃ 50℃ 1気圧→200気圧 電気→圧力
⚠️ 試験で間違えやすいポイント
  • ボイラーの蒸気温度: 500〜600℃(この数字は超頻出!)
  • タービンの羽根: 圧力が下がるにつれて大きくなる
  • 復水器の役割: 冷却だけでなく「真空を作る」
  • 給水ポンプの昇圧: 1気圧 → 200気圧

📌 覚え方のコツ|サイクルで一発暗記!

最後に、4つの機器を一発で覚えられる方法を紹介します!

🔖 サイクルで覚える
ポンプ→ボイラー→タービン→復水器→ポンプ
この順番で水と蒸気が循環していると覚えましょう!
💡 イメージで覚える
  • ボイラー = 圧力鍋(水を蒸気にする)
  • タービン = 風車(蒸気で回す)
  • 復水器 = 冷蔵庫(蒸気を冷やして水に)
  • 給水ポンプ = 高圧洗浄機(水を超高圧で押し込む)

✅ まとめ|4つの機器で水と蒸気を循環!

この記事では、電験三種の電力科目で頻出の火力発電所の4つの主要機器を徹底解説しました。

📌 この記事のポイント
  • ボイラー → 水を蒸気に(50℃→600℃、200気圧)
  • タービン → 蒸気で回転して発電(多段式、羽根が大きくなる)
  • 復水器 → 蒸気を水に戻す(真空を作る役割も重要!)
  • 給水ポンプ → 水を高圧でボイラーへ(1気圧→200気圧)
  • サイクル: ポンプ→ボイラー→タービン→復水器→ポンプ 🔄

火力発電所の主要機器は電力科目で確実に得点できる分野です。4つの機器の役割と温度・圧力を覚えれば、ほぼ確実に3〜5点は獲得できます。

次は送電線変電所の勉強に進みましょう。発電の基礎がしっかりしていれば、送配電の内容も理解しやすくなりますよ!📘

あなたの合格を心から応援しています!💪⚙️

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