✅ こんな悩みを抱えていませんか?
- 「風が電気になる仕組みがわからない…」
- 「風車の種類が覚えられない…」
- 「出力計算のV³(風速の3乗)って何?」
電験三種の「電力」科目で頻出する風力発電。特に出力が風速の3乗に比例するという法則は、毎年のように計算問題で問われる超重要テーマです。
でも安心してください。この記事では、風が巨大な羽根を回すメカニズムから、5種類の風車の違い、そして風速2倍で出力8倍になる理由まで、まるで目の前で見ているような図解で完全解説します。
💡 この記事で完全マスターできること
- 風力発電のメカニズム(風→回転→電気の変換プロセス)
- 風車5種類(水平軸3種・垂直軸2種)の違い
- 出力計算公式 P=½ρAV³Cp の完全理解
- カットイン・定格・カットアウト風速の意味
それでは、風が巨大な羽根を回し、電気を生み出す「ダイナミックな変換プロセス」を、一緒に追いかけていきましょう!
目次
🌬️ 風力発電の仕組み|風の運動エネルギーを電気に変換
📖 風力発電の原理
風力発電とは、風の運動エネルギーを、風車(風力タービン)の回転エネルギーに変え、さらに発電機で電気エネルギーに変換する発電方式。
火力発電や原子力発電のように「燃料を燃やして蒸気を作る」プロセスは不要。風が吹けば即座に発電できるクリーンエネルギーです!
💡 イメージで覚えよう
風力発電 = 川の水車の空中版
水が水車を回すように、風が巨大な羽根を回して発電するイメージです!
⚙️ エネルギー変換の5ステップ
風力発電でエネルギーが変換されるプロセスを、5つのステップで見ていきましょう。

⚡ エネルギー変換の5ステップ
- 風の運動エネルギー: 風速Vの風が持つエネルギー = ½ρAV³
- 揚力発生: 翼の形状により揚力が発生し、羽根が回転
- 回転エネルギー: ロータが10〜20rpmで低速回転
- 増速: ギアボックスで1:100に増速(15rpm→1500rpm)
- 発電: 高速回転で発電機が電気を生成!
🔬 ベッツ限界とは?
風力発電には、理論的な効率の限界があります。これをベッツ限界(Betz Limit)と呼びます。
📊 ベッツ限界の意味
理論最大効率: 59.3%(出力係数Cp = 0.593)
つまり、風のエネルギーを100%取り出すことは物理的に不可能。なぜなら、風を完全に止めてしまったら、後ろから来る風が流れなくなるからです!
実際の風車の効率: 35〜45%(Cp = 0.35〜0.45)
🔄 風車の種類|5タイプの構造と特徴
📊 風車の分類
風車は、回転軸の向きによって大きく2つに分類され、さらに羽根の形状で細分化されます。電験三種では、出力係数Cpの順番がよく問われます!

① 水平軸型(HAWT)|回転軸が水平
現在の風力発電市場の約95%を占める主流タイプ。回転軸が地面に対して水平です。
A. プロペラ型(3枚翼)
- 出力係数: Cp = 0.40〜0.45(最高効率!)
- 羽根枚数: 3枚
- 回転速度: 高速型(周速比6〜8)
- 特徴: 最高効率・最も普及・安定動作
- 用途: 大型風力発電(MW級)
- シェア: 世界シェア95%以上
B. プロペラ型(2枚翼)
- 出力係数: Cp = 0.35〜0.40(やや低い)
- 特徴: 軽量・コスト安・高速回転可
- 欠点: 振動大・騒音大
- 用途: 小型風力発電
- トレンド: 3枚翼に押されて減少傾向
C. 多翼型(12〜24枚)
- 出力係数: Cp = 0.15〜0.25(低い)
- 特徴: 始動トルク大・低風速でも始動
- 欠点: 高速回転不可・発電効率低
- 用途: 揚水用(発電用ではない!)
② 垂直軸型(VAWT)|回転軸が垂直
回転軸が地面に対して垂直。最大の特徴は風向不問(どの方向から風が来ても発電可能)!
D. ダリウス型
- 出力係数: Cp = 0.30〜0.35
- 形状: 卵型/H型
- 特徴: 風向不問・発電機が地上(保守容易)・低騒音
- 欠点: 自己始動不可(補助動力必要)・効率低
- 用途: 小型〜中型発電
E. サボニウス型
- 出力係数: Cp = 0.15〜0.20(最低)
- 形状: S字型カップ
- 特徴: 自己始動可・風向不問・構造簡単・低コスト
- 欠点: 効率最低・低速回転のみ
- 用途: 観測装置電源・装飾用
💡 試験で狙われる順番
出力係数Cpの高い順:
3枚翼(0.40〜0.45) > 2枚翼(0.35〜0.40) > ダリウス(0.30〜0.35) > 多翼(0.15〜0.25) ≒ サボニウス(0.15〜0.20)
覚え方: 「さ・み・に・だ」(3枚・2枚・ダリウス)
※水平軸型が垂直軸型より効率が高い!
📐 出力計算|風速の3乗が全てを決める!
📖 出力計算の基本公式
風力発電の出力を計算する公式は、電験三種で超頻出。必ず覚えましょう!
📐 風力発電の出力公式
P = ½ρAV³Cp [W]
- P: 出力 [W]
- ρ(ロー): 空気密度 [kg/m³] ≈ 1.225(標準状態)
- A: 受風面積 [m²] = πD²/4 = πR²
- V: 風速 [m/s] ← 3乗!
- Cp: 出力係数(0.35〜0.45)
この公式で最も重要なのがV³(風速の3乗)。風速が2倍になれば、出力は8倍! これが風力発電の最大の特徴です。

🔢 各パラメータの意味
| パラメータ | 意味 | 影響 |
|---|---|---|
| ρ(空気密度) | 空気の質量/体積 標準: 1.225 kg/m³ |
標高↑ → 密度↓ → 出力↓ 温度↑ → 密度↓ → 出力↓ |
| A(受風面積) | 羽根が回る円の面積 A = πD²/4 |
直径2倍 → 面積4倍 → 出力4倍 |
| V³(風速の3乗) | 風速を3乗した値 最重要! |
風速2倍 → 出力8倍! 風速3倍 → 出力27倍! |
| Cp(出力係数) | 風車の効率 理論最大: 0.593 |
実用値: 0.35〜0.45 3枚翼が最高効率 |
✏️ 例題で実践
📖 例題
風速10 m/s、ロータ直径80 m、出力係数Cp = 0.40の風車の出力を求めよ。
ただし、空気密度は1.225 kg/m³とする。
【解答】ステップバイステップ
Step1: 受風面積Aを計算
A = π × 80² / 4
A = π × 6,400 / 4
A = 5,027 m²
Step2: 風速の3乗を計算
V³ = 1,000
Step3: 公式に代入
P = ½ × 1.225 × 5,027 × 1,000 × 0.40
P = 0.5 × 1.225 × 5,027 × 1,000 × 0.40
P = 1,228,595 W
P ≈ 1,229 kW ≈ 1.2 MW
💡 計算のコツ
風速が変化したとき:
風速5m/sなら → V³ = 125 → 出力は1/8に!
風速15m/sなら → V³ = 3,375 → 出力は約3.4倍に!
風速の変化が出力に与える影響は超巨大!
⚙️ 運転特性|カットイン・定格・カットアウト風速
📖 3つの重要風速
風力発電は、風速によって3つの運転モードに分かれます。この特性を理解することが、電験三種で問われます!

⚡ 3つの重要風速
- カットイン風速(Vci): 発電開始 → 一般的に3〜4 m/s
- 定格風速(Vr): 定格出力到達 → 一般的に12〜15 m/s
- カットアウト風速(Vco): 安全停止 → 一般的に25 m/s(台風級)
📊 各風速の意味
| 風速 | 状態 | 理由・目的 |
|---|---|---|
| Vci未満 (0〜3 m/s) |
停止 | 風速不足で羽根が回らない |
| Vci〜Vr (3〜12 m/s) |
部分負荷運転 | 出力がV³に比例して増加 |
| Vr〜Vco (12〜25 m/s) |
定格運転 | 出力制御で一定出力を維持 (ピッチ制御・ストール制御) |
| Vco超過 (25 m/s〜) |
緊急停止 | 強風で破損防止のため停止 ブレーキ作動 |
⚠️ なぜ定格風速以上で出力が一定?
「風が強くなれば出力も上がり続けるのでは?」と思いますよね。でも実際は、ピッチ制御やストール制御で羽根の角度を調整し、受ける風のエネルギーを制限します。
理由は、発電機の定格出力を超えると故障するから。だから、定格風速以上では出力を一定に保つんです!
✏️ 練習問題
📖 例題
風力発電に関する次の記述のうち、誤っているものを選べ。
(1) 出力は風速の3乗に比例する
(2) 3枚翼プロペラ型が最も効率が高い
(3) ベッツ限界は約59.3%である
(4) 垂直軸型は風向に関係なく発電できる
(5) 風速が定格風速を超えると出力は無限に増加する
✅ 解答と解説
正解: (5) 風速が定格風速を超えると出力は無限に増加する
解説:
(1) ⭕ P ∝ V³ → 風速2倍で出力8倍
(2) ⭕ Cp = 0.40〜0.45で最高効率
(3) ⭕ 理論最大効率は59.3%
(4) ⭕ 垂直軸型(ダリウス・サボニウス)は風向不問
(5) ❌ 定格風速以上では出力制御により一定出力を維持。カットアウト風速で停止。
📚 まとめ|風力発電の全体像を再確認
✅ この記事で覚えるべき4つのポイント
- エネルギー変換: 風の運動エネルギー → 回転 → 増速 → 発電、ベッツ限界59.3%
- 風車の種類: 出力係数は3枚翼(0.40〜0.45) > 2枚翼 > ダリウス > 多翼≒サボニウス
- 出力公式: P = ½ρAV³Cp、風速2倍で出力8倍!
- 運転特性: カットイン(3〜4m/s) → 定格(12〜15m/s) → カットアウト(25m/s)
風力発電の核心は、風速の3乗に比例するという特性。だから、風の強い場所を選ぶことが発電量を最大化する最重要ポイントなんです。
試験では、出力公式・風車の種類・出力係数Cp・3つの風速が狙われます。この記事の図解を頭に焼き付けて、満点を狙いましょう!
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この記事が、あなたの電験三種合格への一歩になれば嬉しいです。風力発電を完全攻略して、得点源にしましょう! 🌬️✨