理論科目の解説

キルヒホッフの法則│第1法則と第2法則の違いを完全理解

💡 この記事でわかること

キルヒホッフの法則は、複雑な回路を解析するための2つの基本法則です。

第1法則(電流則)は「接続点に流入する電流の和=流出する電流の和」、第2法則(電圧則)は「閉回路の電圧降下の総和=起電力」を表します。

この記事では、初心者でも絶対に理解できるように、2つの法則の違いから実際の計算方法まで、合格に必要な内容に絞って丁寧に解説します!

⚡ こんな疑問を持っていませんか?

  • 第1法則と第2法則の違いが曖昧…
  • 「電流保存の法則」って何?
  • 「電圧降下の総和」の意味がわからない
  • 実際の問題でどう使い分けるの?

1️⃣ キルヒホッフの法則とは?

🔍 2つの法則の全体像

キルヒホッフの法則は、ドイツの物理学者グスタフ・キルヒホッフが発見した、複雑な回路を解析するための2つの基本原理です。

📚 2つの法則:
第1法則(電流則/KCL): 接続点での電流保存
第2法則(電圧則/KVL): 閉回路でのエネルギー保存

🎯 重要性: オームの法則だけでは解けない複雑な回路を解析できる!

📐 いつ使うの?

単純な回路:
• 抵抗が直列または並列だけ → オームの法則でOK

複雑な回路:
• 抵抗が複雑に接続されている
• 複数の電源がある
• ブリッジ回路など
キルヒホッフの法則が必須!

2️⃣ 第1法則(電流則)│電流保存の法則

💧 水道管で理解しよう!

第1法則の本質:
「接続点(節点)に流れ込む電流の合計 = 流れ出る電流の合計」

💡 水道管の比喩:
水道管が分岐するとき、流入する水の量 = 流出する水の量ですよね?電流も同じです!

Σ Iin = Σ Iout

別の表現:
流入を+(プラス)、流出を-(マイナス)とすれば:
Σ I = 0

🧮 具体例で理解する

【例】ある接続点Aに:
• 流入する電流: I₁ = 2A、I₂ = 3A、I₃ = 1A
• 流出する電流: I₄ = ?A、I₅ = 2A

第1法則を適用:
流入の合計 = 流出の合計
I₁ + I₂ + I₃ = I₄ + I₅
2 + 3 + 1 = I₄ + 2
6 = I₄ + 2

I₄ = 4A

🎯 第1法則のポイント

✅ 覚えるべきこと:
対象: 接続点(節点)
保存されるもの: 電流(電荷)
物理的意味: 電荷保存則
使う場面: 並列回路や複雑な分岐点

💡 電流の向きは最初に仮定すればOK!負の値が出たら逆向きの意味です。

3️⃣ 第2法則(電圧則)│電圧降下の総和

⛰️ 山登りで理解しよう!

第2法則の本質:
「閉回路を一周したときの電圧の総和 = 0」

💡 山登りの比喩:
山を登って同じ場所に戻ってくると、位置エネルギーの変化はゼロですよね?電圧(電気的なエネルギー)も同じです!

Σ V = 0

実用的な表現:
起電力E = 各抵抗での電圧降下の合計
E = V₁ + V₂ + V₃ + ...

🧮 具体例で理解する

【例】単純な直列回路:
• 電池: E = 12V
• 抵抗R₁での電圧降下: V₁ = 5V
• 抵抗R₂での電圧降下: V₂ = 3V
• 抵抗R₃での電圧降下: V₃ = ?V

第2法則を適用:
E - V₁ - V₂ - V₃ = 0
(起電力は+、電圧降下は-)

12 - 5 - 3 - V₃ = 0
V₃ = 12 - 5 - 3

V₃ = 4V

または:
E = V₁ + V₂ + V₃
12 = 5 + 3 + 4 ✓

🎯 第2法則のポイント

✅ 覚えるべきこと:
対象: 閉回路(ループ)
保存されるもの: 電圧(エネルギー)
物理的意味: エネルギー保存則
使う場面: 直列回路や複雑なループ

💡 符号のルール:ループの向きに進むとき、起電力は+、電圧降下は-!

⚠️ よくある間違い:
• 符号を間違える → ループの向きを決めて統一!
• 電圧降下の向きを逆にする → 電流の向きに注意!
• 複数のループで混乱 → 1つずつ丁寧に!

4️⃣ 第1法則と第2法則の比較

📊 徹底比較表

比較項目 第1法則(電流則) 第2法則(電圧則)
対象 接続点(節点) 閉回路(ループ)
保存量 電流(電荷) 電圧(エネルギー)
基本式 ΣIin = ΣIout ΣV = 0
別表現 ΣI = 0 E = ΣVR
物理的意味 電荷保存則 エネルギー保存則
比喩 水道管の分岐 山登りと下山
使う場面 並列回路の解析 直列回路の解析

🔄 使い分けのコツ

判断基準:

❓ 問題文に「接続点」「節点」が出てきたら?
→ 第1法則(電流則)を使う!

❓ 問題文に「ループ」「閉回路」が出てきたら?
→ 第2法則(電圧則)を使う!

❓ 複雑な回路で全体を解く場合は?
→ 両方組み合わせて連立方程式を作る!

💡 実際には両方セットで使うことが多いです!

5️⃣ 実践!両方使った計算例

📝 例題:複雑な回路の解析

【問題】次の回路の電流I₁、I₂、I₃を求めよ

回路構成:
• 電池E = 10V
• 抵抗R₁ = 2Ω(I₁が流れる)
• 抵抗R₂ = 3Ω(I₂が流れる)
• 抵抗R₃ = 5Ω(I₃が流れる)
• 節点Aで電流が分岐

【解答ステップ】

ステップ1:第1法則を適用(節点A)
I₁ = I₂ + I₃ ... ①

ステップ2:第2法則を適用(ループ1)
E = I₁×R₁ + I₂×R₂
10 = 2I₁ + 3I₂ ... ②

ステップ3:第2法則を適用(ループ2)
I₂×R₂ = I₃×R₃
3I₂ = 5I₃
I₃ = 0.6I₂ ... ③

ステップ4:連立方程式を解く
①に③を代入:
I₁ = I₂ + 0.6I₂ = 1.6I₂

これを②に代入:
10 = 2(1.6I₂) + 3I₂
10 = 3.2I₂ + 3I₂
10 = 6.2I₂
I₂ = 1.61A

I₃ = 0.6 × 1.61 = 0.97A
I₁ = 1.6 × 1.61 = 2.58A

答え: I₁ = 2.58A、I₂ = 1.61A、I₃ = 0.97A

💡 解法のコツ

合格のための5つのポイント:

1. 電流の向きを仮定する
• 最初に全ての電流の向きを矢印で書く
• 間違っていてもOK!(負の値になるだけ)

2. ループの向きを統一する
• 時計回りに統一すると混乱しない
• 一度決めたら変えない!

3. 式を立ててから代入
• いきなり数値を入れない
• 文字式で立ててから最後に代入

4. 符号に注意
• 起電力:ループの向きに進むとき+
• 電圧降下:電流の向きに進むとき-

5. 検算を忘れずに
• 求めた電流を元の式に代入して確認!

6️⃣ よくある間違いと対策

⚠️ 間違いパターン集

❌ 間違い1:電流の向きを途中で変える
→ 最初に仮定した向きを最後まで使う!

❌ 間違い2:符号をテキトーにする
→ ループの向きを明確にして統一!

❌ 間違い3:第1法則と第2法則を混同
→ 節点なら電流、ループなら電圧!

❌ 間違い4:単位を間違える
→ mA→Aの変換に注意!

❌ 間違い5:連立方程式の計算ミス
→ 必ず検算する習慣を!

📝 電験三種での出題パターン

頻出問題タイプ:

1. 基礎問題:単純な直列・並列
「次の回路の電流Iを求めよ」
→ 第1法則または第2法則のどちらか1つで解ける

2. 標準問題:複雑な回路
「各枝の電流を全て求めよ」
→ 両方の法則を組み合わせて連立方程式

3. 応用問題:ブリッジ回路
「平衡条件を満たす抵抗値は?」
→ キルヒホッフの法則から導出

💡 理論科目では毎年必ず1~2問出題される超重要テーマ!

📚 まとめ│キルヒホッフの法則で合格する

🎯 この記事の重要ポイント

  • 第1法則:接続点で電流保存(ΣIin=ΣIout)
  • 第2法則:閉回路で電圧の総和ゼロ(ΣV=0)
  • 第1法則は電荷保存則、第2法則はエネルギー保存則
  • 複雑な回路は両方組み合わせて連立方程式を作る
  • 電流の向きは仮定でOK(負なら逆向き)
  • 電験三種では毎年必出の超重要テーマ!

💪 次のステップ

初心者のあなたへ:
まずは「節点→電流、ループ→電圧」という基本を覚えましょう!水道管と山登りの比喩で理解すると忘れません。

電験三種受験者のあなたへ:
過去問で「キルヒホッフの法則」を使う問題を5問解いてみましょう。両方の法則を組み合わせる練習が重要です!

さらに深く学びたいあなたへ:
ブリッジ回路やホイートストンブリッジなど、キルヒホッフの法則の応用問題にチャレンジしてみましょう!

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