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- レンツの法則が何を言っているのか、ピンとこない
- 誘導電流の向きを聞かれると、時計回りか反時計回りかで毎回迷う
- ファラデーの法則のマイナス記号の意味がわからない
- レンツの法則とは何か(変化を妨げる)
- 誘導電流の向きを求める3ステップと右ねじ
- 4つの場合の向きと、ファラデーの法則との関係
- 磁石の向きと動きを選ぶだけの判定ツール
レンツの法則とは、コイルを貫く磁束が変化したとき、誘導電流はその変化を妨げる向きに流れる、という法則です。磁石のN極を近づけると、コイルは近づく側をN極にして押し返し、遠ざけると近い側をS極にして引き留めます。ファラデーの法則 e=−N(ΔΦ/Δt) のマイナス記号が、このレンツの法則を表しています。

レンツの法則とは?誘導電流は「変化を妨げる」
コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりすると、コイルを貫く磁束が変わり、コイルに電流が流れます(電磁誘導)。その電流の向きを決めるのがレンツの法則で、「誘導電流は、磁束の変化を妨げる向きに流れる」というものです。
| 磁石の動き | コイルを貫く磁束 | コイルのふるまい |
|---|---|---|
| 近づける | ふえる | 近づく磁石を押し返す(同じ極を向ける) |
| 遠ざける | へる | 離れる磁石を引き留める(ちがう極を向ける) |
| 止めておく | 変わらない | 何もしない(電流は流れない) |
人に急に押されると踏んばって押し返し、去っていく人には「待って」と引き留める。コイルは「いまの状態を変えられるのがきらい」な性格だと考えると覚えやすくなります。大事なのは、磁束があることではなく、変わることです。
誘導起電力の大きさの計算

誘導電流の向きの求め方|3ステップと右ねじ
| ステップ | やること | N極を近づける例 |
|---|---|---|
| ① 磁束はふえる?へる? | 近づければふえる、遠ざければへる | ふえる |
| ② コイルの磁石側を何極にする? | ふえるなら押し返す(同じ極)、へるなら引き留める(ちがう極) | 磁石側をN極にして押し返す |
| ③ 右ねじで電流の向きを出す | コイルが作る磁界の向き(コイルの中でS→N)に親指を向け、残りの指の巻く向きが電流 | 磁石側から見て反時計回り |
右ねじの法則のポイント
親指を合わせるのは、磁石の磁界ではなく、コイルが作ろうとする磁界の向きです。コイルの磁石側をN極にしたいなら、コイルの中の磁界は磁石の方を向きます。その向きに右手の親指を向けると、残りの4本の指が巻く向きが電流の向きです。見る側から反時計回りに電流が流れると、見ている側がN極になります。

4つの場合の電流の向き(磁石側から見て)
| 磁石 | 動き | 磁束 | コイルの磁石側 | 電流の向き(磁石側から見て) |
|---|---|---|---|---|
| N極 | 近づける | ふえる | N極(押し返す) | 反時計回り |
| N極 | 遠ざける | へる | S極(引き留める) | 時計回り |
| S極 | 近づける | ふえる | S極(押し返す) | 時計回り |
| S極 | 遠ざける | へる | N極(引き留める) | 反時計回り |
近づけると遠ざけるで、電流の向きはちょうど逆になります。また、N極とS極を入れかえても逆になります。「動きを逆にする」か「極を逆にする」と向きが逆、両方逆ならもとと同じ、と覚えると速く確かめられます。

ファラデーの法則のマイナスは、レンツの法則
e = −N × ΔΦ ÷ Δt (e:誘導起電力[V]、N:巻数、ΔΦ:磁束の変化[Wb]、Δt:かかった時間[s])
大きさはファラデーの法則、向きはレンツの法則と役割が分かれています。式の先頭のマイナス記号が「変化と逆向き=変化を妨げる」ことを表しています。大きさだけを聞かれたら、マイナスは気にせず計算します。
100巻のコイルを貫く磁束が0.1秒間に0.02Wbふえた。誘導起電力の大きさは? e=100×0.02÷0.1=20V。向きは、磁束がふえるのを妨げる向き(レンツの法則)です。
なぜ「妨げる」向きなのか|エネルギー保存
もし誘導電流が変化を助ける向きに流れたら、磁石を少し押しただけでどんどん引きこまれ、電気が勝手に生まれ続けてしまいます。これはエネルギー保存の法則に反します。だから、電気を取り出すには、押し返す力に逆らって仕事をする必要があります。発電機に電灯をつなぐと回すのが重くなるのは、このためです。
| 身近な例 | レンツの法則の働き |
|---|---|
| 渦電流ブレーキ(電車など) | 回る金属板に磁石を近づけると、渦電流が動きを妨げてブレーキになる |
| IH調理器 | 鍋の底に渦電流が流れて発熱する |
| 発電機 | 電気を多く取り出すほど、回すのに大きな力が要る |
渦電流と鉄損

誘導電流の向きの判定ツール
磁石の極と動きを選ぶと、電流の向きを出します。巻数・磁束の変化・時間を入れると、誘導起電力の大きさも出します。
選ぶと、その場で判定し直します。入力した内容は画面の中で判定するだけで、どこにも送信されません。
フレミングの右手の法則とのちがい
| レンツの法則 | フレミングの右手の法則 | |
|---|---|---|
| 使う場面 | コイルを貫く磁束が変わるとき | 磁界の中を導体が動くとき |
| わかること | 誘導電流の向き(変化を妨げる) | 誘導起電力の向き(親指=動き、人差し指=磁界、中指=電流) |
| 関係 | どちらも電磁誘導。同じ現象を別の見方で表していて、答えの向きは一致する |
発電機の原理と右手の法則
レンツの法則のよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 近づくN極にS極を向けて押し返す | 押し返すのは同じ極。近づくN極にはN極を向ける |
| 磁石の磁界の向きに親指を合わせる | コイルが作ろうとする磁界の向きに合わせる |
| 磁石を止めていても電流が流れる | 流れるのは磁束が変化しているときだけ |
| マイナス記号は大きさに関係する | マイナスは向き(レンツ)。大きさはN×ΔΦ÷Δt |
| 誘導電流は変化を助ける | 妨げる。助けるとエネルギー保存に反する |

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よくある質問
- レンツの法則=誘導電流は磁束の変化を妨げる向きに流れる
- 近づける→同じ極で押し返す、遠ざける→ちがう極で引き留める
- 向きは3ステップ(増減→磁極→右ねじ)で求める
- N極を近づけると、磁石側から見て反時計回り
- e=−NΔΦ/Δt のマイナスがレンツの法則

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。