実験計画法

直交配列表とは?実験設計を効率化する武器

はじめに

これまで一元配置・二元配置実験を学び、
因子の効果や交互作用をどう調べるかを理解してきました。

しかし、
「すべての条件を全部試す(全数実験)」
をやろうとすると、条件が増えるにつれて試行回数が爆発的に増えてしまいます。

ここで登場するのが、
直交配列表(ちょっこうはいれつひょう)です!

この記事では、
直交配列表の意味と役割、
そしてなぜ実験を効率化できるのかをわかりやすく解説します!

1. 直交配列表とは?

定義

直交配列表とは、少ない試行回数で、たくさんの因子の効果をバランスよく調べられる実験表のこと。

簡単に言うと、
「試行パターンを賢く選んで、全部試さなくても主効果や交互作用を調べられる」
ためのツールです。

2. なぜ直交配列表が必要なのか?

例えば、
3つの因子(A、B、C)がそれぞれ2水準(例えばON/OFF、高低)あるとします。

すべての組み合わせを試す「全数実験」では、

23=8通り

の試行が必要です。

もし因子が5個なら、

25=32通り

になり、すぐに試行回数が膨大になります。

このままだと、

  • 実験時間が膨大

  • 費用もかかる

  • 実行できない

こういう問題が起こります。

直交配列表を使えば、必要最小限の試行だけで因子効果を調べられるので、
時間もコストも大幅に節約できるのです!

3. 直交配列表の特徴

項目 内容
バランス すべての水準が公平に現れる
独立性 因子同士の影響を分離して評価できる
効率性 少ない試行回数で主効果・交互作用を推定できる

4. 具体例:L4直交表

最もシンプルな直交配列表のひとつが
L4直交表です。

これは、

  • 3因子(A、B、C)

  • 各因子2水準(例えば 1=低、2=高)

  • 4試行

という構成になっています。

【L4直交表の例】

試行 因子A 因子B 因子C
1 1 1 1
2 1 2 2
3 2 1 2
4 2 2 1

これを見ればわかる通り、
全8通りの組み合わせのうち、たった4通りを試すだけで、

  • 各因子(A、B、C)の主効果

  • ある程度の交互作用

を推定することができるのです!

5. 直交配列表のメリットまとめ

項目 メリット
実験コスト削減 全数試験に比べて大幅に少ない試行数で済む
効率的なデータ収集 少ないデータで必要な効果を評価できる
計画的なデータ取得 バランスよく試行することで分析しやすい

まとめ

  • 直交配列表は、少ない試行回数で因子効果を調べるための賢い実験表

  • 「全数実験」を回避して、短時間・低コストで必要な情報を得ることができる

  • L4直交表のような基本的なものから、大きな直交表(L8、L9、L18など)まで、
     さまざまなパターンがある

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次の記事では、
具体的なL4直交表・L8直交表の使い方と割付け方法
を、さらに詳しく解説していきます

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